51.お前の中に映るもの
夢主名前設定
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「昼間はあの……」
「偶然か、いや、知ってたんだな」
上がり框に腰を落とす斎藤につられ夢主もそっと正座をして、頷いたと感じないほど僅かに顎を引いた。
またも首を突っ込みかけた妻の行動に斎藤から溜め息が漏れる。夢主は居た堪れず肩をすぼめた。
「すみません、でもちゃんと離れてました。危なくないように……それであの、男の方が倒れたのでは……」
「安心しろ、医者に担ぎ込まれたさ。頑丈な男と見た、心配いらん」
呆れているが不安を取り除く為に可能な限り質問には答える、話をしながら斎藤は頭を抱えたい気分だった。
危険を顧みず他人を気にかけるのは夢主らしい。だが危険に首を突っ込むなと約束したはずだ。なれども行動の自由は奪いたくない。
斎藤は短い間に様々な葛藤を解決すべく頭を回転させていた。
夢主は夢主で斎藤が何をしていたのか知りたかった。左之助を知っているのかも同様だ。
「緋村さんを……見張っていたのですか」
「緋村か。緋村抜刀斎、奴とはお前も関わりがあったな。沖田君からも話は聞いている。俺が抜刀斎を張っていたかどうかは、お前には関係ない。悪いな」
お前にとっては緋村剣心、俺にとってはただの抜刀斎だ。
斎藤は抜刀斎に対する親しげな夢主の言葉を密かに否定した。
「いえ……悪いだなんて」
「抜刀斎と相手は喧嘩屋」
「有名な喧嘩屋さん……って聞いています。一さんもご存知だったんですね」
「お前こそ」
「……知っています、最初に会ったのは永倉さんと一緒にいる時で、いつだったか……」
「随分と前だな」
「ごめんなさい、いつかは分かると思って言いませんでした……」
「構わんさ」
気にするなと言う割に斎藤が溜め息を吐くように肩を落として見えた。
咎める気は無くても、気にはなるのだ。
斎藤と左之助が神谷道場で出会うのは避けられなくても、それより前に余計な衝突が起きなければ良いが。
血の気が多い左之助と、向かって来れば容赦なく打ちのめしてしまいそうな斎藤。
二人が出会うべき時に出会いますように、そんな事を願ってしまう。
「一さんは喧嘩なんてしませんよね」
「まぁな。俺が斬るのは悪だけだ。必要ならば泳がせることもあるが、私情に走った喧嘩なんざせん」
「じゃあ左之助さんは悪なんかじゃありませんから……大丈夫ですね……」
「随分と肩を持つな」
良かったと呟いた言葉に斎藤が反応した。
下の名で呼ぶほど親しい仲とは俺は知らんぞ、そんな心情が顔に浮かんでいる。
「偶然か、いや、知ってたんだな」
上がり框に腰を落とす斎藤につられ夢主もそっと正座をして、頷いたと感じないほど僅かに顎を引いた。
またも首を突っ込みかけた妻の行動に斎藤から溜め息が漏れる。夢主は居た堪れず肩をすぼめた。
「すみません、でもちゃんと離れてました。危なくないように……それであの、男の方が倒れたのでは……」
「安心しろ、医者に担ぎ込まれたさ。頑丈な男と見た、心配いらん」
呆れているが不安を取り除く為に可能な限り質問には答える、話をしながら斎藤は頭を抱えたい気分だった。
危険を顧みず他人を気にかけるのは夢主らしい。だが危険に首を突っ込むなと約束したはずだ。なれども行動の自由は奪いたくない。
斎藤は短い間に様々な葛藤を解決すべく頭を回転させていた。
夢主は夢主で斎藤が何をしていたのか知りたかった。左之助を知っているのかも同様だ。
「緋村さんを……見張っていたのですか」
「緋村か。緋村抜刀斎、奴とはお前も関わりがあったな。沖田君からも話は聞いている。俺が抜刀斎を張っていたかどうかは、お前には関係ない。悪いな」
お前にとっては緋村剣心、俺にとってはただの抜刀斎だ。
斎藤は抜刀斎に対する親しげな夢主の言葉を密かに否定した。
「いえ……悪いだなんて」
「抜刀斎と相手は喧嘩屋」
「有名な喧嘩屋さん……って聞いています。一さんもご存知だったんですね」
「お前こそ」
「……知っています、最初に会ったのは永倉さんと一緒にいる時で、いつだったか……」
「随分と前だな」
「ごめんなさい、いつかは分かると思って言いませんでした……」
「構わんさ」
気にするなと言う割に斎藤が溜め息を吐くように肩を落として見えた。
咎める気は無くても、気にはなるのだ。
斎藤と左之助が神谷道場で出会うのは避けられなくても、それより前に余計な衝突が起きなければ良いが。
血の気が多い左之助と、向かって来れば容赦なく打ちのめしてしまいそうな斎藤。
二人が出会うべき時に出会いますように、そんな事を願ってしまう。
「一さんは喧嘩なんてしませんよね」
「まぁな。俺が斬るのは悪だけだ。必要ならば泳がせることもあるが、私情に走った喧嘩なんざせん」
「じゃあ左之助さんは悪なんかじゃありませんから……大丈夫ですね……」
「随分と肩を持つな」
良かったと呟いた言葉に斎藤が反応した。
下の名で呼ぶほど親しい仲とは俺は知らんぞ、そんな心情が顔に浮かんでいる。