50.一繋がりの
夢主名前設定
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薫が心配するからと日暮れ前に二人は別れ、帰宅した夢主は晩飯の支度に取り掛かった。
手慣れた食材の下拵え、鍋に入れて火をかける。鍋の様子を見ながら意識は剣心との会話に飛んでいた。
「また剣心に会っちゃった……一さんが知ったら驚くんだろうな。いつかはわかる事だけど……」
今、知ったらどうするんだろう。
斎藤にとって剣心は未だ緋村抜刀斎。
夢主が抜刀斎と東京で出会い酒まで酌み交わしたのを知れば怒るだろうか。やきもちを妬くかもしれない。
だが互いに言えない事があると確認しているのだから、やれやれと困った顔を見せるに止まるか。
「もしかして……もう知ってるのかな」
抜刀斎の姿を捉え動向を見張るならば今日も本人か密偵仲間に覗かれていたかもしれない。
辺りに人けは無かった。あれば剣心が気付いたはず。
万一見られていても会話の内容までは知られないだろう。
考え耽りながらの料理を終えると合わせたように斎藤が帰宅した。
玄関を覗けば、疲れているのか調子が良いのか分かり難いいつも通りの顔が見える。
「お帰りさない」
「あぁ戻った」
変わらない挨拶で斎藤は家に上がった。
「今はお仕事落ち着いているんですか」
「んっ、そうだな。まぁいろいろとあるんだが任せている案件が多くて俺は報告を受けるのみだ。俺が動くのはもう少し先さ」
フッと歪んだ顔はとても嬉しそうだ。
斎藤が動く時、それが待ち望んだ時、抜刀斎との対峙だと容易に想像がつく。
「肝心な件は俺が対応しているが一度の接見は短い。だから今夜も帰った」
「はぃ、嬉しいです」
それで良かったか、おどけて顔を傾ける斎藤が愛おしくて夢主はもちろんと頷いた。
昼間に河原で交わした会話が脳裏に蘇る。
剣心が東京にいること、左之助に喧嘩を売られていること、比留間が再び現れること。斎藤はどこまで把握しているのか。
「何か問いたげな」
「いぇ、特に何も……」
「そうか。俺はお前が言えずにいることが徐々に分かってきた気がする」
「私が言えないことですか」
「そうだ。俺に言わずに内に秘めているこれからの出来事。ま、訊く気はないがな」
お前が胸の内に秘めている……斎藤は己の胸を指でトンとした。
この町で起きているいくつかの問題に共通点が見えてきた。
夢主が好んで接触する人物、偶然繋がりを得た人物、その人々を更に繋ぐであろう存在。勘のいい斎藤は気付き始めている。
唯一、緋村剣心との再会を掴んでいないがそれも時間の問題だ。
「所で夢主」
「はぃ……」
「……いや、何でもない」
男の知り合いが増えたな。
今朝も旅立つ若造を親しげに見送っただろう。
ちくりと言いたくなるが、信頼するならばどうこう言えまい。
大きく息を吐いて斎藤は腰を下ろした。
手慣れた食材の下拵え、鍋に入れて火をかける。鍋の様子を見ながら意識は剣心との会話に飛んでいた。
「また剣心に会っちゃった……一さんが知ったら驚くんだろうな。いつかはわかる事だけど……」
今、知ったらどうするんだろう。
斎藤にとって剣心は未だ緋村抜刀斎。
夢主が抜刀斎と東京で出会い酒まで酌み交わしたのを知れば怒るだろうか。やきもちを妬くかもしれない。
だが互いに言えない事があると確認しているのだから、やれやれと困った顔を見せるに止まるか。
「もしかして……もう知ってるのかな」
抜刀斎の姿を捉え動向を見張るならば今日も本人か密偵仲間に覗かれていたかもしれない。
辺りに人けは無かった。あれば剣心が気付いたはず。
万一見られていても会話の内容までは知られないだろう。
考え耽りながらの料理を終えると合わせたように斎藤が帰宅した。
玄関を覗けば、疲れているのか調子が良いのか分かり難いいつも通りの顔が見える。
「お帰りさない」
「あぁ戻った」
変わらない挨拶で斎藤は家に上がった。
「今はお仕事落ち着いているんですか」
「んっ、そうだな。まぁいろいろとあるんだが任せている案件が多くて俺は報告を受けるのみだ。俺が動くのはもう少し先さ」
フッと歪んだ顔はとても嬉しそうだ。
斎藤が動く時、それが待ち望んだ時、抜刀斎との対峙だと容易に想像がつく。
「肝心な件は俺が対応しているが一度の接見は短い。だから今夜も帰った」
「はぃ、嬉しいです」
それで良かったか、おどけて顔を傾ける斎藤が愛おしくて夢主はもちろんと頷いた。
昼間に河原で交わした会話が脳裏に蘇る。
剣心が東京にいること、左之助に喧嘩を売られていること、比留間が再び現れること。斎藤はどこまで把握しているのか。
「何か問いたげな」
「いぇ、特に何も……」
「そうか。俺はお前が言えずにいることが徐々に分かってきた気がする」
「私が言えないことですか」
「そうだ。俺に言わずに内に秘めているこれからの出来事。ま、訊く気はないがな」
お前が胸の内に秘めている……斎藤は己の胸を指でトンとした。
この町で起きているいくつかの問題に共通点が見えてきた。
夢主が好んで接触する人物、偶然繋がりを得た人物、その人々を更に繋ぐであろう存在。勘のいい斎藤は気付き始めている。
唯一、緋村剣心との再会を掴んでいないがそれも時間の問題だ。
「所で夢主」
「はぃ……」
「……いや、何でもない」
男の知り合いが増えたな。
今朝も旅立つ若造を親しげに見送っただろう。
ちくりと言いたくなるが、信頼するならばどうこう言えまい。
大きく息を吐いて斎藤は腰を下ろした。