50.一繋がりの
夢主名前設定
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厨房の手伝いを一通り済ませて店内を覗くと、知った顔が三人揃って現れた。
目を丸くするのはお互い様だった。
訪れるのは珍しくないが久しぶりに顔を見せた薫に連れられ、剣心と弥彦がやって来たのだ。
「夢主殿ではござらんか」
「あぁっ、てめえは」
「えっ、えっ、剣心も弥彦も夢主さんを知ってるの?」
驚く三人に薫も目を丸くした。
顔を見回して関係を探っている。薫は既に剣心に淡い恋心を抱いていた。
言い訳は話をややこしくし兼ねない。薫に心配を掛けない言葉を選んで、ただの知り合いだと説明しなければ。
「あぁ……えぇっと……」
「夢主殿とは幕末からの知り合いでござる」
「えぇっ?!」
「えっ」
当たり障りなく話を合わせなければと考える夢主を余所に、剣心はぽろりと真実を告げた。夢主は目玉が飛び出そうになった。
驚く薫は剣心の胸倉を掴みそうな勢いだ。
「どういうことっ、二人が?そんな、二人がそんな昔から……私の知らない剣心を……」
「あのねっ、幕末って言ってもたまたま助けてもらっただけで……ね、緋村さん!それだけですよね!」
「あ、あぁまぁ確かに助けたでござるが」
「それだけですよね!!」
「おろ」
珍しい夢主の強い眼力に剣心は首を傾げながら頷いた。
夢主は何で言っちゃうのと眩暈を覚えている。さすがの剣心も話してはならなかったと気付いて口を閉ざした。
黙って見ていた薫は剣心が口を閉ざしたところで、聞きたいことがあると割って入って来た。
「幕末に助けられたって」
「幕末は治安が悪かったですから、変な人に絡まれたのを助けていただいただけです。すぐそばに連れがいたんですけどちょっと離れた隙に……運が悪くて」
「そうなんですか」
「はい、緋村さんに追い払ってもらって、それから気付いた連れがすぐに戻ってくれたので大丈夫でした。後はその方に守っていただいたんです」
男の連れがそばにいたとほのめかすと薫は安心したようだ。
剣心との関わりは分かったが、今度は弥彦との繋がりが見えない。
薫が関わりを聞こうとしているのを察し、弥彦は顔を背けた。堂々と語れるような出会いでは無かったからだ。
「弥彦も知り合いなの、夢主さんと」
「知り合いって言うかよ……」
「そう、その……ちょっと町中で会ったことがあるって言うか……」
「まさか弥彦、夢主さんからもスリしたんじゃないでしょうね!ちゃんと返したの、どうなのよ!」
「待って薫さん、本当に何でもないんです、ね、弥彦君は本当にいい子ですから、だから……」
「薫殿、夢主殿もこう言っているでござる。過去は聞かないのではなかったでござるか」
「それは……そうだけど」
助け舟を出そうとするが逆効果で薫の感情が昂ってしまった。夢主は剣心の協力を得てなんとか薫を宥めた。
場が落ち着いて、弥彦は薫に聞こえないようぼやいた。
「この前はいなかったじゃねぇか」
「この前……毎日いるわけじゃないの、お手伝いにはよく来るんだけど」
「そうかよ」
フンと鼻をならしてどこか不満そうだが、牛鍋を楽しみたいからか、弥彦は素直に引き下がった。
薫は剣心とにこやかに会話を始めた。
剣心を引き離して一言伝えておきたいが、今この場で連れ出せば事態は複雑になってしまう。
ここは我慢して機会を待とう。夢主はそわそわしながら給仕と洗い場の仕事に努めた。
目を丸くするのはお互い様だった。
訪れるのは珍しくないが久しぶりに顔を見せた薫に連れられ、剣心と弥彦がやって来たのだ。
「夢主殿ではござらんか」
「あぁっ、てめえは」
「えっ、えっ、剣心も弥彦も夢主さんを知ってるの?」
驚く三人に薫も目を丸くした。
顔を見回して関係を探っている。薫は既に剣心に淡い恋心を抱いていた。
言い訳は話をややこしくし兼ねない。薫に心配を掛けない言葉を選んで、ただの知り合いだと説明しなければ。
「あぁ……えぇっと……」
「夢主殿とは幕末からの知り合いでござる」
「えぇっ?!」
「えっ」
当たり障りなく話を合わせなければと考える夢主を余所に、剣心はぽろりと真実を告げた。夢主は目玉が飛び出そうになった。
驚く薫は剣心の胸倉を掴みそうな勢いだ。
「どういうことっ、二人が?そんな、二人がそんな昔から……私の知らない剣心を……」
「あのねっ、幕末って言ってもたまたま助けてもらっただけで……ね、緋村さん!それだけですよね!」
「あ、あぁまぁ確かに助けたでござるが」
「それだけですよね!!」
「おろ」
珍しい夢主の強い眼力に剣心は首を傾げながら頷いた。
夢主は何で言っちゃうのと眩暈を覚えている。さすがの剣心も話してはならなかったと気付いて口を閉ざした。
黙って見ていた薫は剣心が口を閉ざしたところで、聞きたいことがあると割って入って来た。
「幕末に助けられたって」
「幕末は治安が悪かったですから、変な人に絡まれたのを助けていただいただけです。すぐそばに連れがいたんですけどちょっと離れた隙に……運が悪くて」
「そうなんですか」
「はい、緋村さんに追い払ってもらって、それから気付いた連れがすぐに戻ってくれたので大丈夫でした。後はその方に守っていただいたんです」
男の連れがそばにいたとほのめかすと薫は安心したようだ。
剣心との関わりは分かったが、今度は弥彦との繋がりが見えない。
薫が関わりを聞こうとしているのを察し、弥彦は顔を背けた。堂々と語れるような出会いでは無かったからだ。
「弥彦も知り合いなの、夢主さんと」
「知り合いって言うかよ……」
「そう、その……ちょっと町中で会ったことがあるって言うか……」
「まさか弥彦、夢主さんからもスリしたんじゃないでしょうね!ちゃんと返したの、どうなのよ!」
「待って薫さん、本当に何でもないんです、ね、弥彦君は本当にいい子ですから、だから……」
「薫殿、夢主殿もこう言っているでござる。過去は聞かないのではなかったでござるか」
「それは……そうだけど」
助け舟を出そうとするが逆効果で薫の感情が昂ってしまった。夢主は剣心の協力を得てなんとか薫を宥めた。
場が落ち着いて、弥彦は薫に聞こえないようぼやいた。
「この前はいなかったじゃねぇか」
「この前……毎日いるわけじゃないの、お手伝いにはよく来るんだけど」
「そうかよ」
フンと鼻をならしてどこか不満そうだが、牛鍋を楽しみたいからか、弥彦は素直に引き下がった。
薫は剣心とにこやかに会話を始めた。
剣心を引き離して一言伝えておきたいが、今この場で連れ出せば事態は複雑になってしまう。
ここは我慢して機会を待とう。夢主はそわそわしながら給仕と洗い場の仕事に努めた。