48.小高い社
夢主名前設定
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「今夜はどうするんですか」
「今夜か」
「このまま警察署に戻るんなら大丈夫ですよ、私は一人で戻れますし、まっすぐ戻って一さんも休んでください」
「構わんさ、家にお前を送るぐらい一瞬だ。それから警視庁に戻って色々と報告だな、する方と受ける方。今夜は大変そうだ」
「ふふっ、素直な一さん」
仕事は嫌いではないが面倒だ。
そんな表情でニッと片眉を上げおどける姿には余裕を感じる。
「じゃあお言葉に甘えてお願いします。家まで一緒に」
「そのつもりだ」
空の茜色に藍色が混ざり始め、二人は社をあとにした。
町に下りて進むうちに日は沈んでいった。
行く道はいつもの抜け道とは違う方角。
沖田屋敷の敷地を通らないのはどうしてか、夢主は斎藤をちらと見上げた。
考えすぎかもしれないが二人の時間を邪魔されたくないのかもしれない。
横顔をにこにこ見つめていると、「んっ」と目を合わせてくれる。無言で微笑み何でもありませんと伝える楽しい帰り道だ。
「そう言えば先日の頼み事を覚えているか」
「ぅ……覚えてますけど……」
「阿呆、一つ目の頼みだぞ」
「はっはい、もちろんです!」
薄暗くなった道でも潤んだ瞳で赤面が伝わる。
夢主は二つの願いを告げられた夜の二つ目を思い出して顔を熱くするが、一つ目の話だと小さく笑われた。
「別件が忙しい。もう少し後になるが必要なものを持って俺が家に帰るからその時は頼んだ」
「わかりました。楽しみに待ってますね、洋装でお買い物」
そう言って両袖を広げて肩を傾ける仕草をした。
斎藤には妙に懐かしかった。
そうだ、随分と前にあの白いワンピースとやらでして見せた仕草と同じか。
「懐かしいな」
「えっ……」
「いや、きっと似合うだろう。俺も楽しみにしている」
「は……はい」
思いがけない嬉しい言葉。
夢主は笑顔で飛びつくように自ら口づけを求めた。
ここはもう家の前。行ってらっしゃいと顔を引き寄せる。
背の高い斎藤が満更でもない顔で前かがみになった。
「お気をつけて」
「あぁ」
そっと唇を合わせて、夢主は斎藤を送り出した。
「今夜か」
「このまま警察署に戻るんなら大丈夫ですよ、私は一人で戻れますし、まっすぐ戻って一さんも休んでください」
「構わんさ、家にお前を送るぐらい一瞬だ。それから警視庁に戻って色々と報告だな、する方と受ける方。今夜は大変そうだ」
「ふふっ、素直な一さん」
仕事は嫌いではないが面倒だ。
そんな表情でニッと片眉を上げおどける姿には余裕を感じる。
「じゃあお言葉に甘えてお願いします。家まで一緒に」
「そのつもりだ」
空の茜色に藍色が混ざり始め、二人は社をあとにした。
町に下りて進むうちに日は沈んでいった。
行く道はいつもの抜け道とは違う方角。
沖田屋敷の敷地を通らないのはどうしてか、夢主は斎藤をちらと見上げた。
考えすぎかもしれないが二人の時間を邪魔されたくないのかもしれない。
横顔をにこにこ見つめていると、「んっ」と目を合わせてくれる。無言で微笑み何でもありませんと伝える楽しい帰り道だ。
「そう言えば先日の頼み事を覚えているか」
「ぅ……覚えてますけど……」
「阿呆、一つ目の頼みだぞ」
「はっはい、もちろんです!」
薄暗くなった道でも潤んだ瞳で赤面が伝わる。
夢主は二つの願いを告げられた夜の二つ目を思い出して顔を熱くするが、一つ目の話だと小さく笑われた。
「別件が忙しい。もう少し後になるが必要なものを持って俺が家に帰るからその時は頼んだ」
「わかりました。楽しみに待ってますね、洋装でお買い物」
そう言って両袖を広げて肩を傾ける仕草をした。
斎藤には妙に懐かしかった。
そうだ、随分と前にあの白いワンピースとやらでして見せた仕草と同じか。
「懐かしいな」
「えっ……」
「いや、きっと似合うだろう。俺も楽しみにしている」
「は……はい」
思いがけない嬉しい言葉。
夢主は笑顔で飛びつくように自ら口づけを求めた。
ここはもう家の前。行ってらっしゃいと顔を引き寄せる。
背の高い斎藤が満更でもない顔で前かがみになった。
「お気をつけて」
「あぁ」
そっと唇を合わせて、夢主は斎藤を送り出した。