48.小高い社
夢主名前設定
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「あの、一さんにお聞きしたいんですけど……」
「何だ」
斎藤が続きを待って首を傾げるのを見て、夢主は思い切って訊ねた。
この社に来る前の出来事、弥彦の言葉。
「警察に言いたきゃ言えよ」他の誰かに同じことを言い通報されてもおかしくない。
すばしっこくともこの町で生きていかなければならないのなら、いずれ捕まってしまう。
「スリって……捕まったらどれくらいの罪になるんですか」
「スリ」
うん、うんと夢主は不安そうに何度も頷いた。
心にある引っ掛かり、斎藤に思い当たるのは以前話に聞いた子供のスリ。
面倒を見るわけにもいかず見守るだけの今、万一捕まったらと言う事か。
「さぁて、俺の管轄外だから何とも分からんが、スリは案外取り締まりが緩い。相手が悪くなければ、あと人を傷つけなければな」
「本当ですか」
「あぁ。こちら側で情報屋として利用する者も多いんだよ」
「そうですか……」
「だからと言っていい話ではないがな」
「わかっています。少し気になっただけですから。お仕事中にすみませんでした。一さんはこんな場所で何を……ぁ、聞かない方がいいですよね……ごめんなさい」
余りに続けて落ち込む姿に笑いが込み上げてくる。
斎藤は面白半分に顔を覗き込みながら隣に腰掛けた。
「さぁて、お前に会う為だったらどうする」
「ぇ……ふふっ、そんなの絶対に嘘です」
「分からんぞ、一日中つけていたのかもな」
「えっ」
「冗談だよ、俺に見られちゃまずいことでも起きたか」
「いぇ……また同じスリの子に会ったくらいで……あとは川沿いを歩いて、穏やかな一日でした」
「そうか」
良かったな、斎藤の顔が緩んで大きな手が頭に乗せられた。
手袋の生地の感触が頭を撫でる。
手伝いが無いのなら家で休めと言いたいが、気散じをして閑やかに笑んでいるなら散歩も悪くない。
出来るもんなら散歩を楽しむお前を一日覗いて見たいもんだが……そんな事を考えながら撫でていた手を離した。
「一さんはお忙しそうですね」
「そうだな、今日は一日人捜しだ」
「人捜し……お目当ての方は」
「その件はまぁいいさ、それに人を捜し続けて最後にお前を見つけたからな」
肩を浮かせ人捜しの成果はさっぱりと伝える姿を、くすっと笑ってしまう。
自分の姿が斎藤の気晴らしになったのなら本望だ。
実のところ、斎藤の抜刀斎探しは町にいる気配を掴み手応えを感じている。
予測可能な騒動に夢主を巻き込まぬよう誤魔化したのだ。
「何だ」
斎藤が続きを待って首を傾げるのを見て、夢主は思い切って訊ねた。
この社に来る前の出来事、弥彦の言葉。
「警察に言いたきゃ言えよ」他の誰かに同じことを言い通報されてもおかしくない。
すばしっこくともこの町で生きていかなければならないのなら、いずれ捕まってしまう。
「スリって……捕まったらどれくらいの罪になるんですか」
「スリ」
うん、うんと夢主は不安そうに何度も頷いた。
心にある引っ掛かり、斎藤に思い当たるのは以前話に聞いた子供のスリ。
面倒を見るわけにもいかず見守るだけの今、万一捕まったらと言う事か。
「さぁて、俺の管轄外だから何とも分からんが、スリは案外取り締まりが緩い。相手が悪くなければ、あと人を傷つけなければな」
「本当ですか」
「あぁ。こちら側で情報屋として利用する者も多いんだよ」
「そうですか……」
「だからと言っていい話ではないがな」
「わかっています。少し気になっただけですから。お仕事中にすみませんでした。一さんはこんな場所で何を……ぁ、聞かない方がいいですよね……ごめんなさい」
余りに続けて落ち込む姿に笑いが込み上げてくる。
斎藤は面白半分に顔を覗き込みながら隣に腰掛けた。
「さぁて、お前に会う為だったらどうする」
「ぇ……ふふっ、そんなの絶対に嘘です」
「分からんぞ、一日中つけていたのかもな」
「えっ」
「冗談だよ、俺に見られちゃまずいことでも起きたか」
「いぇ……また同じスリの子に会ったくらいで……あとは川沿いを歩いて、穏やかな一日でした」
「そうか」
良かったな、斎藤の顔が緩んで大きな手が頭に乗せられた。
手袋の生地の感触が頭を撫でる。
手伝いが無いのなら家で休めと言いたいが、気散じをして閑やかに笑んでいるなら散歩も悪くない。
出来るもんなら散歩を楽しむお前を一日覗いて見たいもんだが……そんな事を考えながら撫でていた手を離した。
「一さんはお忙しそうですね」
「そうだな、今日は一日人捜しだ」
「人捜し……お目当ての方は」
「その件はまぁいいさ、それに人を捜し続けて最後にお前を見つけたからな」
肩を浮かせ人捜しの成果はさっぱりと伝える姿を、くすっと笑ってしまう。
自分の姿が斎藤の気晴らしになったのなら本望だ。
実のところ、斎藤の抜刀斎探しは町にいる気配を掴み手応えを感じている。
予測可能な騒動に夢主を巻き込まぬよう誤魔化したのだ。