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提案通り雨戸を開けて寝間に戻り障子を閉じれば、肌を凍てつかせていた冬気が遮られた。
夢主は子供のように畳に頬を付けて、硝子越しの月を見上げた。
「ふふっ、ぼんやりするけど確かに丸い月が見えますね、硝子越しも綺麗です」
「その姿勢で呑むか」
無邪気な姿を笑われ、夢主は慌てて背筋を伸ばした。
すると、夢主の背に大きな桃色の丹前が掛けられた。
夢主がはしゃいでる間に斎藤が布団の上からはぎ取った物だ。
斎藤の半纏は新調されているが、夢主の半纏と丹前は京から持ってきた物。正確にいえば、比古が運んでくれた物だ。
綿入りで分厚く、何より斎藤が選んでくれたという温かさがある。
「ありがとうございます。……一さんは」
「寒くない。ほら、持て」
ほんのり染まった頬で礼を述べると猪口が手渡された。
遠慮するなと酒が注がれ、遠慮せずに酒を受ける。
二人だけの時間、斎藤が自分に尽くしてくれるようで照れ臭い。
「昔、一さんが桜の花を入れてくれたことがありましたよね」
「懐かしいな。あれは水だったか酒だったか、猪口の中に花を入れたり景色を映したりするのは面白いもんだ」
「風流ですね」
「フン」
鼻をならすが鋭い瞳は嬉しそうだ。
「月の光、映るでしょうか」
畳には月の光が当たっている。
光の中に手を伸ばすと器の中で酒の表面が白く光り、猪口の縁も艶やかに輝いた。
「わぁ凄い、綺麗ですね」
「悪くないな」
喜んで手元を動かし光を当てて遊びだす。
斎藤は愛らしい姿を微笑ましく見守った。
「いくらでも注いでやるぞ。まずは一杯いったらどうだ」
「ほら」と顎を動かし遠慮せずやれと合図され、夢主はくっと猪口を傾けた。
「あっ、間違えちゃった……」
少しずつ舐めるつもりが、半分ほど流しこんでしまった。
「まぁいいだろう、今夜くらい」
「はぃ……たおれちゃったら、お願いします……」
「あぁ。運ぶまでもないがな」
居室と寝間を兼ねるこの部屋、すぐに布団へ寝転べる。
独り呑みとも違い俺がいる。気にせず好きなように呑めばいい。滅多に出来ないのだから。
斎藤はすっかり寛いで、気を緩める夢主を見守っている。
夢主は子供のように畳に頬を付けて、硝子越しの月を見上げた。
「ふふっ、ぼんやりするけど確かに丸い月が見えますね、硝子越しも綺麗です」
「その姿勢で呑むか」
無邪気な姿を笑われ、夢主は慌てて背筋を伸ばした。
すると、夢主の背に大きな桃色の丹前が掛けられた。
夢主がはしゃいでる間に斎藤が布団の上からはぎ取った物だ。
斎藤の半纏は新調されているが、夢主の半纏と丹前は京から持ってきた物。正確にいえば、比古が運んでくれた物だ。
綿入りで分厚く、何より斎藤が選んでくれたという温かさがある。
「ありがとうございます。……一さんは」
「寒くない。ほら、持て」
ほんのり染まった頬で礼を述べると猪口が手渡された。
遠慮するなと酒が注がれ、遠慮せずに酒を受ける。
二人だけの時間、斎藤が自分に尽くしてくれるようで照れ臭い。
「昔、一さんが桜の花を入れてくれたことがありましたよね」
「懐かしいな。あれは水だったか酒だったか、猪口の中に花を入れたり景色を映したりするのは面白いもんだ」
「風流ですね」
「フン」
鼻をならすが鋭い瞳は嬉しそうだ。
「月の光、映るでしょうか」
畳には月の光が当たっている。
光の中に手を伸ばすと器の中で酒の表面が白く光り、猪口の縁も艶やかに輝いた。
「わぁ凄い、綺麗ですね」
「悪くないな」
喜んで手元を動かし光を当てて遊びだす。
斎藤は愛らしい姿を微笑ましく見守った。
「いくらでも注いでやるぞ。まずは一杯いったらどうだ」
「ほら」と顎を動かし遠慮せずやれと合図され、夢主はくっと猪口を傾けた。
「あっ、間違えちゃった……」
少しずつ舐めるつもりが、半分ほど流しこんでしまった。
「まぁいいだろう、今夜くらい」
「はぃ……たおれちゃったら、お願いします……」
「あぁ。運ぶまでもないがな」
居室と寝間を兼ねるこの部屋、すぐに布団へ寝転べる。
独り呑みとも違い俺がいる。気にせず好きなように呑めばいい。滅多に出来ないのだから。
斎藤はすっかり寛いで、気を緩める夢主を見守っている。