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「急にどうしたんですか」
「呑め」
「へっ」
「いいから、酒でも呑め」
あまりに乱れた心を落ち着かせる為、何故か夢主に酒を勧めた。
本人は呑む気が無いようだ。
「人を酔わせてどうするんですか、一さんは呑まないのに」
「煩い。そんなにご機嫌なんだ、折角だから晩酌に付き合ってやる」
きょとんと目が大きくなる。
照れ隠しに人に酒を勧め、普段と立場が入れ替わった揶揄いを終わらせる。
それが狙いだと思ったが、斎藤は単純に時間がある今宵、付き合ってやると澄ました顔を取り戻していた。
「本当にそれだけですか……」
「あぁ。悪いか」
「いいえ、嬉しいです……滅多にありませんから」
「フン、重ね重ね悪かったな」
「そういう意味じゃっ」
「冗談だ」
「んっ……」
拗ねたと見せて夢主を困らせた斎藤、すっかり立場を逆転させていた。膨れかけた頬が今は真っ赤に染まっている。
唇が塞がれ、何度も弄ばれるように唇は形を変えた。
っふ……深く甘い口吸いに、夢主は堪らず声を漏らした。
「ククッ、さぁ来い」
「もぅ一さんたら……」
夢主を座敷に戻らせ、斎藤は雨戸を開けて冷たい空気を部屋に流し込んだ。
「寒いです……もしかして、月……」
「二夜の月はとっくに終わっちまったがな」
「大きな月が見えます」
隣へやって来て夢主が微笑んだ。
久しぶりに確かめた気がする。斎藤の黄金色に輝く瞳、月明かりに揺らめいている。鋭く尖った目は細くても照り返す光の美しさは細らない。
冷たい冬夜風に頬を撫でられながら、目の前の大きな月を眺めた。
「寒いな、お前が風邪を引く」
「少しなら平気ですよ」
「雨戸を開けて障子戸は閉めるか。冷たい風が直接入るよりいいだろう。これだけ明るい夜だ、硝子の横額で月明かりは感じるさ」
障子にはめられた硝子が月影を通すはず。
夜風で体を冷やし熱を出した事がある夢主は優しい心配りを穏やかに微笑んだ。
「呑め」
「へっ」
「いいから、酒でも呑め」
あまりに乱れた心を落ち着かせる為、何故か夢主に酒を勧めた。
本人は呑む気が無いようだ。
「人を酔わせてどうするんですか、一さんは呑まないのに」
「煩い。そんなにご機嫌なんだ、折角だから晩酌に付き合ってやる」
きょとんと目が大きくなる。
照れ隠しに人に酒を勧め、普段と立場が入れ替わった揶揄いを終わらせる。
それが狙いだと思ったが、斎藤は単純に時間がある今宵、付き合ってやると澄ました顔を取り戻していた。
「本当にそれだけですか……」
「あぁ。悪いか」
「いいえ、嬉しいです……滅多にありませんから」
「フン、重ね重ね悪かったな」
「そういう意味じゃっ」
「冗談だ」
「んっ……」
拗ねたと見せて夢主を困らせた斎藤、すっかり立場を逆転させていた。膨れかけた頬が今は真っ赤に染まっている。
唇が塞がれ、何度も弄ばれるように唇は形を変えた。
っふ……深く甘い口吸いに、夢主は堪らず声を漏らした。
「ククッ、さぁ来い」
「もぅ一さんたら……」
夢主を座敷に戻らせ、斎藤は雨戸を開けて冷たい空気を部屋に流し込んだ。
「寒いです……もしかして、月……」
「二夜の月はとっくに終わっちまったがな」
「大きな月が見えます」
隣へやって来て夢主が微笑んだ。
久しぶりに確かめた気がする。斎藤の黄金色に輝く瞳、月明かりに揺らめいている。鋭く尖った目は細くても照り返す光の美しさは細らない。
冷たい冬夜風に頬を撫でられながら、目の前の大きな月を眺めた。
「寒いな、お前が風邪を引く」
「少しなら平気ですよ」
「雨戸を開けて障子戸は閉めるか。冷たい風が直接入るよりいいだろう。これだけ明るい夜だ、硝子の横額で月明かりは感じるさ」
障子にはめられた硝子が月影を通すはず。
夜風で体を冷やし熱を出した事がある夢主は優しい心配りを穏やかに微笑んだ。