42.長旅
夢主名前設定
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「これは……総司さん、見てください!」
「おや、これは……」
沖田が渡された新聞を抱えてゆっくり後を追って来た。
手にしたばかりの新聞を広げた夢主が目を輝かせている。
紙面に目を走らせてすぐ待ちかねた名前が目に飛び込んできたのだ。
「一さん!!総司さん、一さんの記事です!!」
「ようやくですか、どれどれ……本当に斎藤さんですね!これは驚きました。半隊長、藤田五郎」
「あぁっ凄い!!本当に記事になってる!!怪我は……入院はどうなったんだろう……」
「夢主ちゃん、あまり大きな声で騒がない方がいいですよ、皆が見ています。家に帰ってゆっくり読みましょう」
「はぃ……」
藤田五郎が元新選組三番隊隊長・斎藤一だと知る者もいる。
その者に聞かれたら、また面倒が起きかねない。
夢主は落ち着くよう諭されて大きく深く息を吸った。
ついに斎藤の名が載る新聞を入手し、ひとつ、歴史が変わっていない事実が確認出来た。
夢主は安堵してもう一度大きく息を吸い込んだ。
二人は人目を避けて道場へ戻り、改めて記事に目を走らせた。
「半隊長藤田五郎……賊塁を撃て直に之を抜き……この時藤田五郎銃創を負う……退くるといえども左翼の兵己に迂廻して高床の賊兵を攻撃す……一さんの事ですよね!!」
「えぇ、間違いありませんね。日付は七月ですが、きっとそうでしょう。警視局の方が電信を届けてくださった入院の知らせ、それがこの時の被弾で、それで入院したんですね」
「でも日付が随分前……今はどこでどうしてるんだろう……」
記事には七月に受け取った記者の手紙の内容を載せると書かれている。
今は八月。現在の状況は全く予想がつかない。
「まだ病院にいるのかな……怪我が治ったらどうなるんでしょうか」
「えぇっ、僕にも分かりませんけどきっと……復隊するでしょうね」
「そんなっ」
「望めば帰還できるかもしれません。ですが斎藤さんは望まないでしょう。それに任務上の立場があります。もしかしたら望んでも帰れないかもしれない」
「一さんは……」
斎藤一の性格は誰よりも分かっている。戦が終わるまで、帰還を指示されない限り残るに決まっている。
入院が長引けば良いと望むのはおかしいが、再び砲弾の中へ戻るより良いのでは。
夢主は斎藤が戦地へ戻るより早く戦が終わるよう願っていた。
「おや、これは……」
沖田が渡された新聞を抱えてゆっくり後を追って来た。
手にしたばかりの新聞を広げた夢主が目を輝かせている。
紙面に目を走らせてすぐ待ちかねた名前が目に飛び込んできたのだ。
「一さん!!総司さん、一さんの記事です!!」
「ようやくですか、どれどれ……本当に斎藤さんですね!これは驚きました。半隊長、藤田五郎」
「あぁっ凄い!!本当に記事になってる!!怪我は……入院はどうなったんだろう……」
「夢主ちゃん、あまり大きな声で騒がない方がいいですよ、皆が見ています。家に帰ってゆっくり読みましょう」
「はぃ……」
藤田五郎が元新選組三番隊隊長・斎藤一だと知る者もいる。
その者に聞かれたら、また面倒が起きかねない。
夢主は落ち着くよう諭されて大きく深く息を吸った。
ついに斎藤の名が載る新聞を入手し、ひとつ、歴史が変わっていない事実が確認出来た。
夢主は安堵してもう一度大きく息を吸い込んだ。
二人は人目を避けて道場へ戻り、改めて記事に目を走らせた。
「半隊長藤田五郎……賊塁を撃て直に之を抜き……この時藤田五郎銃創を負う……退くるといえども左翼の兵己に迂廻して高床の賊兵を攻撃す……一さんの事ですよね!!」
「えぇ、間違いありませんね。日付は七月ですが、きっとそうでしょう。警視局の方が電信を届けてくださった入院の知らせ、それがこの時の被弾で、それで入院したんですね」
「でも日付が随分前……今はどこでどうしてるんだろう……」
記事には七月に受け取った記者の手紙の内容を載せると書かれている。
今は八月。現在の状況は全く予想がつかない。
「まだ病院にいるのかな……怪我が治ったらどうなるんでしょうか」
「えぇっ、僕にも分かりませんけどきっと……復隊するでしょうね」
「そんなっ」
「望めば帰還できるかもしれません。ですが斎藤さんは望まないでしょう。それに任務上の立場があります。もしかしたら望んでも帰れないかもしれない」
「一さんは……」
斎藤一の性格は誰よりも分かっている。戦が終わるまで、帰還を指示されない限り残るに決まっている。
入院が長引けば良いと望むのはおかしいが、再び砲弾の中へ戻るより良いのでは。
夢主は斎藤が戦地へ戻るより早く戦が終わるよう願っていた。