40.相楽左之助
夢主名前設定
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「左之助……左之さん……」
「んっ、どうしたよ」
酒を呑み続ける自分を見つめたまま動かない。
不思議に思い問いかけると、夢主はにこりと微笑むが、その拍子に目尻に涙が浮かんだ。
「おいおい、どうした、泣き上戸か」
「すみいません、知ってる方に良く似ていて……何だか懐かしくて……目が、離せなくて……」
「俺が」
似てる……誰にだ。
そういえばいつだったか声を掛けられた日も人違いで呼び止められてだった。
思い出した左之助は夢主の目尻に浮かぶ涙に戸惑いを見せ、辺りを見回した。
「おいおい、俺が泣かせたみたいじゃねぇか、落ち着け」
「すみま……せん……」
「全くよぉ……どんな男なんだ、その似てる奴ってのは。嬢ちゃんにとって大事な男だったのか」
「はい……とても親切にしてくださった方で……大好きでした……」
大好きの言葉の本当の意味を知らない左之助は、自分に似た顔を好きだと言い切った夢主を驚いて見つめた。
「そっ、そうか……そいつは何だな、また会えるといいな」
「はい……無事に生き延びていたら、きっと……信じてます」
「生き延びてって……そいつはまた……」
「幕末からの戦で、どうなったかわからないんです」
「そうか……そいつぁ悲しいな」
先程濁した旦那の話はもしかして自分に似ている男の事なのか。
左之助は誤解して思い込んだ。
だからこんなにも俺を見つめ、笑っていたかと思えば悲しそうにしているのだと。
「俺も大切な人を失くしちまったんだ……」
「左之助さん……」
赤報隊隊長・相楽総三、幕末から維新にかけて戦の中、最も慕った男を失った。
左之助は気を落とす夢主に酷く同情した。
「そいつはなんて名前なんだ」
「はい……名前は……原田さんって言うんです」
原田左之助、下の名が同じ事は敢えて伏せた。新選組の原田左之助を知っているかもしれないからだ。
元気を取り戻した夢主は、話を聞いてくれる左之助に微笑みかけた。
「原田さんか」
井上じゃねぇんだな……嫁ぐ前に戦に身を投じまったのか。ますます辛ぇな。
左之助は話を聞きながら、納得いく筋書きを考えていた。
「いい男だったか、俺に似てるってことぁ同じくらいの歳か」
「いえ、三十くらいだったと思います……」
「三十!おっさんじゃねぇか!」
「おっさんだなんて……とても強くて優しくて恰好良くて、素敵な方だったんです!あったかくて……」
自分に似た男を手放しに褒める言葉に、何故か左之助が赤くなる。
誤魔化そうとまたも酒を流し込んだ。
「そうか、いい男なんだな。ちょいと言い過ぎたぜ、すまねぇ。しかし相手が三十過ぎたぁ随分年が離れてるな」
原田を夢主の好い人と勘違いした左之助は、不思議そうに呟いた。
歳が一回り違うなど、江戸の時代には珍しくなかったが、左之助にとっては違うようだ。
「歳は離れてますけど、私もあの頃二十幾つだったから今はもう……」
自らの歳に驚いてしまう。
斎藤に出会ったあの頃からそれ程の年月が流れているのだ。
「嘘だろっ、お前、俺と一緒ぐらいじゃねぇのか、皺も無けりゃ肌もつやっつやじゃねぇか!綺麗なもんだ!」
「痛っ」
勢いで夢主の手を掴んだ左之助、力が入りすぎ、涙が滲んだ。
「あぁああすまねぇ、ついいつもの調子で!」
赤い手をさすりながら夢主が恨めしそうに左之助を見上げる。
左之助は悪い悪いと謝りながら心の中では、気持ちいい肌だな……そんなことを考えていた。
「んっ、どうしたよ」
酒を呑み続ける自分を見つめたまま動かない。
不思議に思い問いかけると、夢主はにこりと微笑むが、その拍子に目尻に涙が浮かんだ。
「おいおい、どうした、泣き上戸か」
「すみいません、知ってる方に良く似ていて……何だか懐かしくて……目が、離せなくて……」
「俺が」
似てる……誰にだ。
そういえばいつだったか声を掛けられた日も人違いで呼び止められてだった。
思い出した左之助は夢主の目尻に浮かぶ涙に戸惑いを見せ、辺りを見回した。
「おいおい、俺が泣かせたみたいじゃねぇか、落ち着け」
「すみま……せん……」
「全くよぉ……どんな男なんだ、その似てる奴ってのは。嬢ちゃんにとって大事な男だったのか」
「はい……とても親切にしてくださった方で……大好きでした……」
大好きの言葉の本当の意味を知らない左之助は、自分に似た顔を好きだと言い切った夢主を驚いて見つめた。
「そっ、そうか……そいつは何だな、また会えるといいな」
「はい……無事に生き延びていたら、きっと……信じてます」
「生き延びてって……そいつはまた……」
「幕末からの戦で、どうなったかわからないんです」
「そうか……そいつぁ悲しいな」
先程濁した旦那の話はもしかして自分に似ている男の事なのか。
左之助は誤解して思い込んだ。
だからこんなにも俺を見つめ、笑っていたかと思えば悲しそうにしているのだと。
「俺も大切な人を失くしちまったんだ……」
「左之助さん……」
赤報隊隊長・相楽総三、幕末から維新にかけて戦の中、最も慕った男を失った。
左之助は気を落とす夢主に酷く同情した。
「そいつはなんて名前なんだ」
「はい……名前は……原田さんって言うんです」
原田左之助、下の名が同じ事は敢えて伏せた。新選組の原田左之助を知っているかもしれないからだ。
元気を取り戻した夢主は、話を聞いてくれる左之助に微笑みかけた。
「原田さんか」
井上じゃねぇんだな……嫁ぐ前に戦に身を投じまったのか。ますます辛ぇな。
左之助は話を聞きながら、納得いく筋書きを考えていた。
「いい男だったか、俺に似てるってことぁ同じくらいの歳か」
「いえ、三十くらいだったと思います……」
「三十!おっさんじゃねぇか!」
「おっさんだなんて……とても強くて優しくて恰好良くて、素敵な方だったんです!あったかくて……」
自分に似た男を手放しに褒める言葉に、何故か左之助が赤くなる。
誤魔化そうとまたも酒を流し込んだ。
「そうか、いい男なんだな。ちょいと言い過ぎたぜ、すまねぇ。しかし相手が三十過ぎたぁ随分年が離れてるな」
原田を夢主の好い人と勘違いした左之助は、不思議そうに呟いた。
歳が一回り違うなど、江戸の時代には珍しくなかったが、左之助にとっては違うようだ。
「歳は離れてますけど、私もあの頃二十幾つだったから今はもう……」
自らの歳に驚いてしまう。
斎藤に出会ったあの頃からそれ程の年月が流れているのだ。
「嘘だろっ、お前、俺と一緒ぐらいじゃねぇのか、皺も無けりゃ肌もつやっつやじゃねぇか!綺麗なもんだ!」
「痛っ」
勢いで夢主の手を掴んだ左之助、力が入りすぎ、涙が滲んだ。
「あぁああすまねぇ、ついいつもの調子で!」
赤い手をさすりながら夢主が恨めしそうに左之助を見上げる。
左之助は悪い悪いと謝りながら心の中では、気持ちいい肌だな……そんなことを考えていた。