40.相楽左之助
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「あのっ」
「おっ、なんでい、何か用か」
声を掛けられた左之助はぶっきらぼうに振り向くが、目に入った小柄な女の素直な表情に、不機嫌な顔を引っ込めた。
びゅんと頭上を斬馬刀が通過した夢主は驚いて左之助を見上げている。
「あの、お財布、落とされました……」
……本当に原田さんに似てる……
……子供っぽいと思ってたのに、近くで見るとなんか……男らしいというか、男くさいって言うか……ちょっと、頼もしいって言うのかな……
自分を見下ろす顔は精悍で、力満ちた瞳をしている。
若々しい生命力を感じる体からは自信も溢れていた。
「おぉ、財布!すまねぇな、なけなしの金を落としちまう所だったぜ!あんたも人がいいな、黙って持ってきゃいいもんを」
拾ったらめっけもんだろう、と言いたげに笑っている。
そんな素直に感情を表すところも原田に良く似ている。夢主は目を離せずに見つめていた。
「そんな事、しませんよ……人様のものを」
「そうか。……お前ぇ、前もここで会った女だな」
「はっ、はぃ……前も、ここで……」
半ば呆然として左之助の顔から視線を外せない。
返事もあやふやだが、左之助は気にせずに相変わらずの上機嫌だ。
「そうか、これも何かの縁だな。色街に行くつもりだったが気が変わったぜ、何か美味いもん奢ってやるよ。財布の礼だ」
「えっ、色街っ」
「おぉっ、知らねぇのか」
夢主は予想外の単語に我に返った。
色街について語り始めそうな左之助を急いで止めた。
意外と女好きなのか。そんな一面もまた原田によく似ていた。
「いぃえっ、わかりますから説明は大丈夫です!」
「そっかぁ?じゃあ、ま、遠慮すんな。ちょうど金が入ったばっかりなんだ。財布重かっただろ」
「あ……はい……えっ、でも大丈夫なんですか」
「あぁ、気を使うこたぁねぇぜ、お前が届けてくれなけりゃ無一文だったんだからよ。どうせこれから晩飯なんだろう」
食事の誘い。
即答しそうになるが、すぐさま斎藤の顔が浮かんだ。
東京にいない今、一度食事をするだけなら構わないだろうか。人との関わり、誰かとの食事、普段から好きにしろと言われている。
でも相手が……俯きかけるが、目の前で「なっ?」と笑う顔につられて夢主も笑っていた。
もう少しこの顔を見ていたい。あったかくて懐かしい人に似た顔を……。
夢主は静かに頷いた。
喧嘩に勝った後なのか、金を持った左之助はご機嫌に夢主を連れて歩いた。
馴染の店があるのか、迷いも見せず真っ直ぐ進む。
夢主は左之助が肩に担いだ長い布包み、斬馬刀にどうしても目が行ってしまった。
「あの……それ、どうするんですか」
「あぁっ?」
「斬馬刀……」
「おぉっ?よく分かったな!ってか、よく知ってんな。大体の野郎は長いだけで槍だって言うんだぜ。こんなぶっとくて重たい槍があるかっつーの」
「ふふっ」
包みを見て言い当てられ驚くが、ますます機嫌を良くした。どうやら夢主を気に入ったようだ。
関係が悪いものにならずひとまず一安心、夢主の心が少し軽くなった。
「それを持ってお店に……ですか」
「大丈夫でぇ、店の入口に置いて入るぜ」
「置きっぱなしにして大丈夫なんですか」
「その辺置いたって平気さ、なんたってこの重さだ。持てる奴がいねぇからな」
「ふふっ、確かにそうですね」
左之助の得意げな顔に夢主が笑い、夢主が笑うと左之助の表情も和らぐ。
二人の間には早くも馴染みの空気が漂っていた。
「おっ、なんでい、何か用か」
声を掛けられた左之助はぶっきらぼうに振り向くが、目に入った小柄な女の素直な表情に、不機嫌な顔を引っ込めた。
びゅんと頭上を斬馬刀が通過した夢主は驚いて左之助を見上げている。
「あの、お財布、落とされました……」
……本当に原田さんに似てる……
……子供っぽいと思ってたのに、近くで見るとなんか……男らしいというか、男くさいって言うか……ちょっと、頼もしいって言うのかな……
自分を見下ろす顔は精悍で、力満ちた瞳をしている。
若々しい生命力を感じる体からは自信も溢れていた。
「おぉ、財布!すまねぇな、なけなしの金を落としちまう所だったぜ!あんたも人がいいな、黙って持ってきゃいいもんを」
拾ったらめっけもんだろう、と言いたげに笑っている。
そんな素直に感情を表すところも原田に良く似ている。夢主は目を離せずに見つめていた。
「そんな事、しませんよ……人様のものを」
「そうか。……お前ぇ、前もここで会った女だな」
「はっ、はぃ……前も、ここで……」
半ば呆然として左之助の顔から視線を外せない。
返事もあやふやだが、左之助は気にせずに相変わらずの上機嫌だ。
「そうか、これも何かの縁だな。色街に行くつもりだったが気が変わったぜ、何か美味いもん奢ってやるよ。財布の礼だ」
「えっ、色街っ」
「おぉっ、知らねぇのか」
夢主は予想外の単語に我に返った。
色街について語り始めそうな左之助を急いで止めた。
意外と女好きなのか。そんな一面もまた原田によく似ていた。
「いぃえっ、わかりますから説明は大丈夫です!」
「そっかぁ?じゃあ、ま、遠慮すんな。ちょうど金が入ったばっかりなんだ。財布重かっただろ」
「あ……はい……えっ、でも大丈夫なんですか」
「あぁ、気を使うこたぁねぇぜ、お前が届けてくれなけりゃ無一文だったんだからよ。どうせこれから晩飯なんだろう」
食事の誘い。
即答しそうになるが、すぐさま斎藤の顔が浮かんだ。
東京にいない今、一度食事をするだけなら構わないだろうか。人との関わり、誰かとの食事、普段から好きにしろと言われている。
でも相手が……俯きかけるが、目の前で「なっ?」と笑う顔につられて夢主も笑っていた。
もう少しこの顔を見ていたい。あったかくて懐かしい人に似た顔を……。
夢主は静かに頷いた。
喧嘩に勝った後なのか、金を持った左之助はご機嫌に夢主を連れて歩いた。
馴染の店があるのか、迷いも見せず真っ直ぐ進む。
夢主は左之助が肩に担いだ長い布包み、斬馬刀にどうしても目が行ってしまった。
「あの……それ、どうするんですか」
「あぁっ?」
「斬馬刀……」
「おぉっ?よく分かったな!ってか、よく知ってんな。大体の野郎は長いだけで槍だって言うんだぜ。こんなぶっとくて重たい槍があるかっつーの」
「ふふっ」
包みを見て言い当てられ驚くが、ますます機嫌を良くした。どうやら夢主を気に入ったようだ。
関係が悪いものにならずひとまず一安心、夢主の心が少し軽くなった。
「それを持ってお店に……ですか」
「大丈夫でぇ、店の入口に置いて入るぜ」
「置きっぱなしにして大丈夫なんですか」
「その辺置いたって平気さ、なんたってこの重さだ。持てる奴がいねぇからな」
「ふふっ、確かにそうですね」
左之助の得意げな顔に夢主が笑い、夢主が笑うと左之助の表情も和らぐ。
二人の間には早くも馴染みの空気が漂っていた。