36.慰霊碑のそばで
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鎮魂の祈りを終えた夢主達は、連れ立って永倉が泊まる宿を目指した。
次第に愛らしく思えてきた蛙の声も徐々に遠のいていく。
「いつ北海道に帰るんですか、まだ先なのかと思ってました」
「そのつもりだったんだけどな、目的を果たしたなら早く帰ってこいって怒られちまってよ」
本音ではずっとこの地にいてもいいと思っている。だが首を討たれるはずの己を婿養子に迎えてくれた杉村家だ。
おまけに、ここまで自由にさせてもらった。戻れと言われていつまでも放浪してはいられない。
「だがずっと大人しくしているつもりはねぇからな、また会う機会はあるさ」
「ははっ、いけないんだ。でも僕はもっと話を聞きたかったんですよ」
「私もです、永倉さん」
「すまねぇな、だが今夜はゆっくりできるだろう、いくらでも話してやるぞ!何が聞きたい」
一人が寝て休む為の小さな部屋に上がり込む四人。提灯は消され、行灯の明かりがそれぞれを優しく照らしている。
互いの距離が近く、温かい明かりに親密感が増す。
気を緩めて座り込んだ途端、夢主は足の疲れを思い出し、ふぅっと息を吐き出した。
「ははっ、疲れたな。遠かっただろう」
「はい、正直。でも、淋しい場所だと思ったんですけど、昼間に歩けばきっと景色が綺麗なんでしょうね」
「あぁ、昼間はそう悪くねぇぜ。死体がありゃあ別だけどな」
「フッ、女郎が打ち捨てられるのは哀れだが、副長の魂があれば女どもを慰めるのにうってつけでしょう」
「一さん!」
「なんだ」
女達も副長もお喜びだ。ふざけると夢主が一喝した。
しかし沖田も永倉も斎藤の意見に賛成のようだ。歯を見せて大笑いしている。
「不謹慎だなぁ~!でもそれは間違いじゃありませんね、あはははっ」
「おぉぅ、なんなら俺も死んだらあそこに墓を建ててくれよ、みんなのそばに眠れるんならよ」
「女が目当てじゃないんですか」
「ははっ、見え見えだったか」
「杉村家の墓はどうするんです、婿養子なんですから入らないとでしょう」
沖田の至極正当な問いに、永倉は腕を組んで深く唸った。
「分骨だな、分骨!それで万事解決!!」
文句ねぇだろうと言い切り、酒瓶を取り出して床に落とす勢いで置いた。どんと鳴ると共に「ちゃぽん」と満杯の酒が音を鳴らす。
にやりと嬉しそうな永倉を見て、三人は夜通し語り明かす覚悟を決めた。
次第に愛らしく思えてきた蛙の声も徐々に遠のいていく。
「いつ北海道に帰るんですか、まだ先なのかと思ってました」
「そのつもりだったんだけどな、目的を果たしたなら早く帰ってこいって怒られちまってよ」
本音ではずっとこの地にいてもいいと思っている。だが首を討たれるはずの己を婿養子に迎えてくれた杉村家だ。
おまけに、ここまで自由にさせてもらった。戻れと言われていつまでも放浪してはいられない。
「だがずっと大人しくしているつもりはねぇからな、また会う機会はあるさ」
「ははっ、いけないんだ。でも僕はもっと話を聞きたかったんですよ」
「私もです、永倉さん」
「すまねぇな、だが今夜はゆっくりできるだろう、いくらでも話してやるぞ!何が聞きたい」
一人が寝て休む為の小さな部屋に上がり込む四人。提灯は消され、行灯の明かりがそれぞれを優しく照らしている。
互いの距離が近く、温かい明かりに親密感が増す。
気を緩めて座り込んだ途端、夢主は足の疲れを思い出し、ふぅっと息を吐き出した。
「ははっ、疲れたな。遠かっただろう」
「はい、正直。でも、淋しい場所だと思ったんですけど、昼間に歩けばきっと景色が綺麗なんでしょうね」
「あぁ、昼間はそう悪くねぇぜ。死体がありゃあ別だけどな」
「フッ、女郎が打ち捨てられるのは哀れだが、副長の魂があれば女どもを慰めるのにうってつけでしょう」
「一さん!」
「なんだ」
女達も副長もお喜びだ。ふざけると夢主が一喝した。
しかし沖田も永倉も斎藤の意見に賛成のようだ。歯を見せて大笑いしている。
「不謹慎だなぁ~!でもそれは間違いじゃありませんね、あはははっ」
「おぉぅ、なんなら俺も死んだらあそこに墓を建ててくれよ、みんなのそばに眠れるんならよ」
「女が目当てじゃないんですか」
「ははっ、見え見えだったか」
「杉村家の墓はどうするんです、婿養子なんですから入らないとでしょう」
沖田の至極正当な問いに、永倉は腕を組んで深く唸った。
「分骨だな、分骨!それで万事解決!!」
文句ねぇだろうと言い切り、酒瓶を取り出して床に落とす勢いで置いた。どんと鳴ると共に「ちゃぽん」と満杯の酒が音を鳴らす。
にやりと嬉しそうな永倉を見て、三人は夜通し語り明かす覚悟を決めた。