30.後悔のあと
夢主名前設定
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「私は酷いことを……自己満足だったんです……結局私が選んだのは一さんの、私の幸せだけ……」
助けたいと願って動いたはずなのに、これからの出来事を、斎藤との関りを思い出したら何も出来なくなってしまった。
蒼紫を信じて伝えられなかった。
修羅に堕ちずとも力を得たかもしれないし、その力を貸してくれたかもしれないのに、夢主は信じて求めることが出来なかった。
恵との接触を諦め蒼紫に託して逃げてしまった。
「私、最低です……本当に酷い……」
「夢主、何があったか知らんが後は俺に任せろ。すぐに解決とはいかない。誰もが無傷では済むまい。だが俺達は放置している訳ではない」
「一さん……」
「お前は酷くなどない。全ての者が自らの責任で動いている」
「自分の責任……」
「あぁ。自らの意志で道を選ぶ。お前が気に病むその阿呆な若者も身に降りかかる災いは己が招くものだ。周りを巻き込むならばそれも奴自身の責任、お前に責任は何もない。そうだろ」
慰められる夢主は体を震わせながら首を振り、斎藤の腕の中に身を寄せた。
「時がくれば抑えてみせる。お前は見守っていろ、見るのが辛ければ気にするな」
「もうどうしていいか……わからないんです……」
「阿呆が、お前は治安維持の仕事をしているのか、違うだろう。三日経った。約束は守ってもらうぞ、手を引け」
腕の中で首を振り続ける夢主に業を煮やした斎藤は、細い肩を持って強引に体を押し離した。
しっかり目を合わせて己の瞳を見せつける。夢主が吸い込まれそうだと語った鋭くも美しく瞳、妻の正気を取り戻さんと見せつけた。
やがて本当に何かを吸い取られたように夢主は落ち着きを取り戻し、瞬きをして目尻に溜まっていた涙を落とした。
部屋の灯りを映す夫の優しい瞳が目の前で自分を見つめていた。
「落ち着いたな、頼むぞ。これ以上抗うなら俺も方法を知らん。お前を強引に組み敷くことになる」
「一さんって、こんな時でも……厭らしいん……ですね……っふふ」
「お前がそうさせるんだ、大人しくしてくれよ」
今度は斎藤が望むまま小さく頷いた。すっかり参った弱々しい笑顔だが笑っている。
すぐにいつもの笑顔に戻るだろう、斎藤はそう信じて儚く笑む夢主にそっと口吸いを求めた。
「お前が笑っていられるよう阿呆は俺が貫いてやる、刀でな。だからお前は俺を迎えてくれよ、できれば笑ってくれていると嬉しいんだがな」
おどけて首を傾げる斎藤につられ夢主も「ふふっ」と笑い、首を傾げた。
微笑みながら互いの目を見た二人、夢主はありったけの力で斎藤に抱きついた。
回した手が届かないほど広い背中、温かくて頼もしい胸……夢主は目を閉じて夫の体を感じた。
斎藤が優しく「参ったよ」と降参の声を上げるまできつく抱きしめて離さなかった。
助けたいと願って動いたはずなのに、これからの出来事を、斎藤との関りを思い出したら何も出来なくなってしまった。
蒼紫を信じて伝えられなかった。
修羅に堕ちずとも力を得たかもしれないし、その力を貸してくれたかもしれないのに、夢主は信じて求めることが出来なかった。
恵との接触を諦め蒼紫に託して逃げてしまった。
「私、最低です……本当に酷い……」
「夢主、何があったか知らんが後は俺に任せろ。すぐに解決とはいかない。誰もが無傷では済むまい。だが俺達は放置している訳ではない」
「一さん……」
「お前は酷くなどない。全ての者が自らの責任で動いている」
「自分の責任……」
「あぁ。自らの意志で道を選ぶ。お前が気に病むその阿呆な若者も身に降りかかる災いは己が招くものだ。周りを巻き込むならばそれも奴自身の責任、お前に責任は何もない。そうだろ」
慰められる夢主は体を震わせながら首を振り、斎藤の腕の中に身を寄せた。
「時がくれば抑えてみせる。お前は見守っていろ、見るのが辛ければ気にするな」
「もうどうしていいか……わからないんです……」
「阿呆が、お前は治安維持の仕事をしているのか、違うだろう。三日経った。約束は守ってもらうぞ、手を引け」
腕の中で首を振り続ける夢主に業を煮やした斎藤は、細い肩を持って強引に体を押し離した。
しっかり目を合わせて己の瞳を見せつける。夢主が吸い込まれそうだと語った鋭くも美しく瞳、妻の正気を取り戻さんと見せつけた。
やがて本当に何かを吸い取られたように夢主は落ち着きを取り戻し、瞬きをして目尻に溜まっていた涙を落とした。
部屋の灯りを映す夫の優しい瞳が目の前で自分を見つめていた。
「落ち着いたな、頼むぞ。これ以上抗うなら俺も方法を知らん。お前を強引に組み敷くことになる」
「一さんって、こんな時でも……厭らしいん……ですね……っふふ」
「お前がそうさせるんだ、大人しくしてくれよ」
今度は斎藤が望むまま小さく頷いた。すっかり参った弱々しい笑顔だが笑っている。
すぐにいつもの笑顔に戻るだろう、斎藤はそう信じて儚く笑む夢主にそっと口吸いを求めた。
「お前が笑っていられるよう阿呆は俺が貫いてやる、刀でな。だからお前は俺を迎えてくれよ、できれば笑ってくれていると嬉しいんだがな」
おどけて首を傾げる斎藤につられ夢主も「ふふっ」と笑い、首を傾げた。
微笑みながら互いの目を見た二人、夢主はありったけの力で斎藤に抱きついた。
回した手が届かないほど広い背中、温かくて頼もしい胸……夢主は目を閉じて夫の体を感じた。
斎藤が優しく「参ったよ」と降参の声を上げるまできつく抱きしめて離さなかった。