30.後悔のあと
夢主名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「怒った顔も好いとは言わなかったか」
「もぉ、何しても揶揄うんですから!」
「当然だ。お前の反応がいちいち可愛いから面白い」
「可愛っ……」
ますます夢主がむくれて反抗すると、思いもよらない言葉が返ってきた。
熱く火照って固まった顔を斎藤が覗いてさらに面白がっている。
「その百変化の顔、絵に写したいくらいだな」
珍しい言葉を貰い恥ずかしい所へ揶揄いの言葉を受け、夢主は斎藤の胸におでこをつけて顔を隠してしまった。
「もう顔見せてあげないんです」
思わぬ夢主の仕返しを斎藤はまたも笑い飛ばした。
「ハハッ、顔を見れんのは辛いな、顔も見たいし声も聞きたい、無理矢理にでもな」
「ひゃぁああっ」
つつつと斎藤が夢主の背中を指でなぞると、はしたない声を出して夢主は顔を上げた。
「もぉ酷い」
「顔を隠すお前が、だ。隠すのは厄介ごとだけにしておけ」
うっ、と痛い言葉に息を詰めるが斎藤の目はニッと笑っていた。
やはりこの人は何もかも知ったうえで好き勝手動く自分を見守ってくれているらしい。
敵わないんだから……、素直に認めて夫の体に添えた手をきゅっと握った。このまま甘えてしまおう……そう思った時、またも揶揄う言葉に夢主は顔を上げた。
「お前の笑う顔も怒る顔も見ていたい、それに……」
「あぁっもうわかりましたから!厭らしいこと言わないでください!」
「まだ俺は何も言ってないんだがな、まぁ言わんとしたことは伝わったようだ。だから明日、一日好きに動いていいが無理はするな。忘れるなよ、危ない事はするな」
「一さん……わかっています」
「分かっているなら大丈夫だな」
恥ずかしさと申し訳なさで縮こまる夢主を諭すように語った斎藤は、伝えたい言葉を言い終えると小さな頭をそっと自らの胸に押し付けた。
斎藤とて全く放置してはいない。
仲間の密偵が武田を既に探っている。私兵団を整えつつあるようだが戦力は至って平凡、寄せ集めの破落戸集団に脅威は無く、すぐに突破できる。
武田本人も何か企みがあるのか目立つことを避けている。夢主自身が無謀な行いをしなければ危険はないだろう。
もし危険を冒したならば夢主自身の責任。
無論捕らわれれば助け出すつもりだが、行動を起こすからには覚悟して動いてもらわねばならない。
無茶をしないよう妻を諭すのが斎藤の今の仕事だった。
あと一日過ぎればそれも終わる。夢主には悪いがそれで手を引いてもらい、事は終わる。
「もぉ、何しても揶揄うんですから!」
「当然だ。お前の反応がいちいち可愛いから面白い」
「可愛っ……」
ますます夢主がむくれて反抗すると、思いもよらない言葉が返ってきた。
熱く火照って固まった顔を斎藤が覗いてさらに面白がっている。
「その百変化の顔、絵に写したいくらいだな」
珍しい言葉を貰い恥ずかしい所へ揶揄いの言葉を受け、夢主は斎藤の胸におでこをつけて顔を隠してしまった。
「もう顔見せてあげないんです」
思わぬ夢主の仕返しを斎藤はまたも笑い飛ばした。
「ハハッ、顔を見れんのは辛いな、顔も見たいし声も聞きたい、無理矢理にでもな」
「ひゃぁああっ」
つつつと斎藤が夢主の背中を指でなぞると、はしたない声を出して夢主は顔を上げた。
「もぉ酷い」
「顔を隠すお前が、だ。隠すのは厄介ごとだけにしておけ」
うっ、と痛い言葉に息を詰めるが斎藤の目はニッと笑っていた。
やはりこの人は何もかも知ったうえで好き勝手動く自分を見守ってくれているらしい。
敵わないんだから……、素直に認めて夫の体に添えた手をきゅっと握った。このまま甘えてしまおう……そう思った時、またも揶揄う言葉に夢主は顔を上げた。
「お前の笑う顔も怒る顔も見ていたい、それに……」
「あぁっもうわかりましたから!厭らしいこと言わないでください!」
「まだ俺は何も言ってないんだがな、まぁ言わんとしたことは伝わったようだ。だから明日、一日好きに動いていいが無理はするな。忘れるなよ、危ない事はするな」
「一さん……わかっています」
「分かっているなら大丈夫だな」
恥ずかしさと申し訳なさで縮こまる夢主を諭すように語った斎藤は、伝えたい言葉を言い終えると小さな頭をそっと自らの胸に押し付けた。
斎藤とて全く放置してはいない。
仲間の密偵が武田を既に探っている。私兵団を整えつつあるようだが戦力は至って平凡、寄せ集めの破落戸集団に脅威は無く、すぐに突破できる。
武田本人も何か企みがあるのか目立つことを避けている。夢主自身が無謀な行いをしなければ危険はないだろう。
もし危険を冒したならば夢主自身の責任。
無論捕らわれれば助け出すつもりだが、行動を起こすからには覚悟して動いてもらわねばならない。
無茶をしないよう妻を諭すのが斎藤の今の仕事だった。
あと一日過ぎればそれも終わる。夢主には悪いがそれで手を引いてもらい、事は終わる。