14.粛清の日
夢主名前設定
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「お梅さん!」
「ふふ、えらぃ、かいらしぃお侍さんだこと」
お梅は目の前の小さな隊士に微笑んだ。夢主は咄嗟に斎藤の顔色を窺った。
「少しだけだぞ」
そう言うとお梅と話す時間をくれた。二人は揃って物陰に隠れた。
「昨日は、堪忍どす。芹沢はんえろぅ荒れてはって……堪忍したってんか……」
「お梅さん……昨日は助けて下さって、ありがとうございます。本当に助かりました……」
「怖かったやろぉ?あの人も根ぇは悪いお人やあらへんのや……ただ、ほんに淋しいお人なんどす……」
お梅は夢主に謝りながら芹沢を庇った。
悪い癖があるが、お梅にはとても大事な存在。
「せやけど悪いけども、うちにも、あんさんが巫女はんには見えへんかったわぁ、せやろぉ……」
「そうですよね……ふふ。私もそう思います」
そう言うと二人で笑い合った。
女の小さな笑い声が重なり、とても穏やかに聞こえる。
「前にあんさんが、斎藤はんのお着物抱えて笑ぅてはるのをみて、あぁ、斎藤はんの事がほんに好きなんやなぁ思て……そやさかい、芹沢はんがあないな事するん、目ぇつむれへんかったんよ……一番大事なお人に愛されなぁあかんて……思たんよ」
お梅の言葉は優しかった。
お梅さんを助けてあげたい……
お梅に告げれば芹沢に知れるかもしれない。
芹沢が生き延びれば近藤が討たれるかもしれない。
土方も責任を負って腹を斬らされるかもしれない。これからの新選組の歴史が大きく変わってしまう。
新選組が機能せず薩長が奢れば……幕府どころか朝廷さえ潰され兼ねない……早くに軍事国家が形成されてしまうかもしれない。
平和国家の日本の行く末に大きな影響が出るかもしれないのだ。
「お梅さん……芹沢さんと一緒にいて怖くないのですか」
「ふふ、今のうちには、あの人と一緒にいるのが全てなんどす。たとえ命尽きる時であっても……うちは一緒にいたいんどす……」
「お梅さん……」
お梅のどこまでも優しい言葉に、夢主は悲しみが沸いてきた。
「お梅さんは幸せになれます……これはお告げです」
巫女ではないとばれているお梅に、少し悪戯に笑って見せた。
「そないな嘘ぉ言わんでぇな、もぉかまへんぇ……うちは……芹沢さんと添い遂げる覚悟がおます……でも、覚悟ゆうたかて……ぅちにはそれが一番の幸せかもしれへんな」
これから起こる全てを知った上で納得しているような微笑み。
優しく夢主の顔を見て続けた。
「そんな悲しい顔せんとぃてぇな……さみしいやろぉ?うち……あんさんの名前、きぃてへんかったなぁ」
「夢主と……言います」
「夢主はん……あんさんにぴったりの、かぃらしい名前や」
目いっぱいの笑顔でお梅が言った。
夢主は込み上げる涙を必死に堪えて頷いた。
「もう行かないと……お梅さん……ありがとうございました」
「こちらこそ、おぉきに。斎藤はんと、幸せになっとくれやす」
これがお梅の最後の姿になるだろう。大好きになってしまったお梅に向け、夢主は精一杯の笑顔で会釈をした。
決して振り返らないよう、斎藤の後ろについて外に出た。
「ふふ、えらぃ、かいらしぃお侍さんだこと」
お梅は目の前の小さな隊士に微笑んだ。夢主は咄嗟に斎藤の顔色を窺った。
「少しだけだぞ」
そう言うとお梅と話す時間をくれた。二人は揃って物陰に隠れた。
「昨日は、堪忍どす。芹沢はんえろぅ荒れてはって……堪忍したってんか……」
「お梅さん……昨日は助けて下さって、ありがとうございます。本当に助かりました……」
「怖かったやろぉ?あの人も根ぇは悪いお人やあらへんのや……ただ、ほんに淋しいお人なんどす……」
お梅は夢主に謝りながら芹沢を庇った。
悪い癖があるが、お梅にはとても大事な存在。
「せやけど悪いけども、うちにも、あんさんが巫女はんには見えへんかったわぁ、せやろぉ……」
「そうですよね……ふふ。私もそう思います」
そう言うと二人で笑い合った。
女の小さな笑い声が重なり、とても穏やかに聞こえる。
「前にあんさんが、斎藤はんのお着物抱えて笑ぅてはるのをみて、あぁ、斎藤はんの事がほんに好きなんやなぁ思て……そやさかい、芹沢はんがあないな事するん、目ぇつむれへんかったんよ……一番大事なお人に愛されなぁあかんて……思たんよ」
お梅の言葉は優しかった。
お梅さんを助けてあげたい……
お梅に告げれば芹沢に知れるかもしれない。
芹沢が生き延びれば近藤が討たれるかもしれない。
土方も責任を負って腹を斬らされるかもしれない。これからの新選組の歴史が大きく変わってしまう。
新選組が機能せず薩長が奢れば……幕府どころか朝廷さえ潰され兼ねない……早くに軍事国家が形成されてしまうかもしれない。
平和国家の日本の行く末に大きな影響が出るかもしれないのだ。
「お梅さん……芹沢さんと一緒にいて怖くないのですか」
「ふふ、今のうちには、あの人と一緒にいるのが全てなんどす。たとえ命尽きる時であっても……うちは一緒にいたいんどす……」
「お梅さん……」
お梅のどこまでも優しい言葉に、夢主は悲しみが沸いてきた。
「お梅さんは幸せになれます……これはお告げです」
巫女ではないとばれているお梅に、少し悪戯に笑って見せた。
「そないな嘘ぉ言わんでぇな、もぉかまへんぇ……うちは……芹沢さんと添い遂げる覚悟がおます……でも、覚悟ゆうたかて……ぅちにはそれが一番の幸せかもしれへんな」
これから起こる全てを知った上で納得しているような微笑み。
優しく夢主の顔を見て続けた。
「そんな悲しい顔せんとぃてぇな……さみしいやろぉ?うち……あんさんの名前、きぃてへんかったなぁ」
「夢主と……言います」
「夢主はん……あんさんにぴったりの、かぃらしい名前や」
目いっぱいの笑顔でお梅が言った。
夢主は込み上げる涙を必死に堪えて頷いた。
「もう行かないと……お梅さん……ありがとうございました」
「こちらこそ、おぉきに。斎藤はんと、幸せになっとくれやす」
これがお梅の最後の姿になるだろう。大好きになってしまったお梅に向け、夢主は精一杯の笑顔で会釈をした。
決して振り返らないよう、斎藤の後ろについて外に出た。