13.血の臭い
夢主名前設定
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夢主が井戸の前で震えていたと伝え、原因は分からないと首を振る。
話を聞いた斎藤も何事かと周りを見回し、腰を抜かした平隊士達を見つけて事情を問い質した。
「この腰抜けが!女が連れて行かれるのを黙って見ていたのか!!」
「原田さん、仕方がありませんよ。こいつは腰を打ち抜かれている」
「くっそぉ……」
原田が八木邸に向かおうとし、斎藤は止めた。
ここで感情的になってはならない。
「原田さん、ここは俺に預からせてください。まずは夢主に話を聞きます。近藤さん達抜きに芹沢さんと事を荒立てるのは良くありません」
「ちきしょう、芹沢め……分かった、斎藤。何か分かったら知らせろよ」
「はい。ありがとうございます原田さん」
斎藤の静かな口調に原田も自らを宥めた。
互いの意思を確認し、二人は自らの部屋へ戻っていった。
部屋に入った斎藤は、誰の姿もなく一瞬顔をしかめるが、すぐに気配を察した。弱々しく怯えた気配。
衝立の裏の片隅で夢主が小さく正座をし、胸に手をあてて震えていた。
「どうした、何があった」
「な……なにも……」
夢主は何かに怯え青ざめていた。
何かを伝えらずにいる後ろめたさを感じている。
斎藤は夢主が左手で右手首を庇ったのを見逃さなかった。
「おい、見せろ」
咄嗟に近付き手首を取った。
反射的に夢主は顔を歪めて声を漏らした。
「っふぅ……痛っ……」
「この痣は……芹沢さんか」
斎藤は表情を確認すべく夢主の顔を覗き込んだ。
長い睫を伏せて黙っている。
何かを伝えるべきか迷って揺れる瞳、唇も少し震えていた。
次の瞬間、斎藤は痺れを切らして叫んでしまった。
「阿呆ぅが!!隠し通せると思うのか!!」
「ご、ごめんなさぃっ……」
夢主は怯えて体を縮こまらせ、この状況を招いている原因の痣を隠した。
「違う、これでは芹沢と一緒ではないか……」
小さくなって震える姿。
斎藤は自らの顔を手で隠すと、己を戒めるように呟いた。
「すまん……いいから、言ってみろ。俺には何でも話せ。もっと頼れ。俺を信じろ」
斎藤は夢主の目線に合わせる為に腰を落とし、柔らかい物腰で訊ねた。
怒鳴りつけた男の怖さは消え、真摯に向き合おうとする瞳が見える。
「何があったか……話してくれ」
夢主は小さく頷き、怯える声で先程の出来事を斎藤に伝えた。
話を聞いた斎藤も何事かと周りを見回し、腰を抜かした平隊士達を見つけて事情を問い質した。
「この腰抜けが!女が連れて行かれるのを黙って見ていたのか!!」
「原田さん、仕方がありませんよ。こいつは腰を打ち抜かれている」
「くっそぉ……」
原田が八木邸に向かおうとし、斎藤は止めた。
ここで感情的になってはならない。
「原田さん、ここは俺に預からせてください。まずは夢主に話を聞きます。近藤さん達抜きに芹沢さんと事を荒立てるのは良くありません」
「ちきしょう、芹沢め……分かった、斎藤。何か分かったら知らせろよ」
「はい。ありがとうございます原田さん」
斎藤の静かな口調に原田も自らを宥めた。
互いの意思を確認し、二人は自らの部屋へ戻っていった。
部屋に入った斎藤は、誰の姿もなく一瞬顔をしかめるが、すぐに気配を察した。弱々しく怯えた気配。
衝立の裏の片隅で夢主が小さく正座をし、胸に手をあてて震えていた。
「どうした、何があった」
「な……なにも……」
夢主は何かに怯え青ざめていた。
何かを伝えらずにいる後ろめたさを感じている。
斎藤は夢主が左手で右手首を庇ったのを見逃さなかった。
「おい、見せろ」
咄嗟に近付き手首を取った。
反射的に夢主は顔を歪めて声を漏らした。
「っふぅ……痛っ……」
「この痣は……芹沢さんか」
斎藤は表情を確認すべく夢主の顔を覗き込んだ。
長い睫を伏せて黙っている。
何かを伝えるべきか迷って揺れる瞳、唇も少し震えていた。
次の瞬間、斎藤は痺れを切らして叫んでしまった。
「阿呆ぅが!!隠し通せると思うのか!!」
「ご、ごめんなさぃっ……」
夢主は怯えて体を縮こまらせ、この状況を招いている原因の痣を隠した。
「違う、これでは芹沢と一緒ではないか……」
小さくなって震える姿。
斎藤は自らの顔を手で隠すと、己を戒めるように呟いた。
「すまん……いいから、言ってみろ。俺には何でも話せ。もっと頼れ。俺を信じろ」
斎藤は夢主の目線に合わせる為に腰を落とし、柔らかい物腰で訊ねた。
怒鳴りつけた男の怖さは消え、真摯に向き合おうとする瞳が見える。
「何があったか……話してくれ」
夢主は小さく頷き、怯える声で先程の出来事を斎藤に伝えた。