13.血の臭い
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お梅を待ち望むうち、ふと酔いの中で聞き捨てていたお梅の言葉を思い出した。
――かいらしぃ迷い猫がいてはるみたぃやすなぁ……
「迷い猫だぁ」
芹沢は眉間に深い皺を作り、八木邸から出て前川邸へ踏み入った。
尖った気を放ちながら廊下を乱暴に歩いていく。すれ違う平隊士は驚き飛び退いて行く手を空けた。
そんな中、勇気ある一人の隊士が声を掛けた。
「せ、芹沢先生!珍しいですね、こちらにいらっしゃるとは。今日は近藤先生、土方先生はじめ先生方は皆様席を外しておりますがどちらへ……」
芹沢はゆっくり平隊士の顔を見遣ると、一息に鉄扇を横薙ぎに払い、隊士を叩き飛ばした。
「ぐわぁああ!!」
鉄の塊で打ち付けられた隊士は床に体をぶつけ、叩かれた箇所を押さえてうずくまった。痛みを堪えて震えている。
「フン、張り合いの無い」
そう言って芹沢は再び荒々しく歩み始めた。
「猫じゃ!猫がおるのだろう!!出てこんかぁああ!!」
芹沢の叫びは斎藤の部屋に潜む夢主にも届いていた。
「どうしよう、私の事を探しているんだ……どこで耳に入ったんだろう……」
一部屋ずつ障子を開け放って中を探す様子が伝わってくる。
「このままじゃ見つかっちゃう、ここにいたら斎藤さんにも迷惑が……」
夢主は青ざめた顔で、普段は閉ざされた部屋の奥の襖から別の部屋へと移動した。
そのまま廊下へ逃れ、どこかへ隠れようと体を小さく屈めて忍び歩く。
「……見つけたぞ」
その時、背後から低く凄んだ声が聞こえた。
怯えながら振り返ると、陰惨な芹沢の顔が夢主を見下していた。
口元が卑しく歪み、有無を言わさず夢主を物陰から引っ張り出した。
「や、やめて下さい!!いっ、痛いです!!」
右の手首を掴まれ、引きずられるように芹沢に連れて行かれる。
夢主の存在を知らなかった、居合わせた平隊士は驚きの目で見ていた。
幹部の誰かが囲っている女かと思い巡らすが、芹沢の凶行にも恐ろしさの余り何もする事ができずに見て見ぬふりをしている。
「いやっ、離してくださいっ!!!痛っ……」
ついには八木邸が暮らす芹沢の座敷に引きずられて行った。
――かいらしぃ迷い猫がいてはるみたぃやすなぁ……
「迷い猫だぁ」
芹沢は眉間に深い皺を作り、八木邸から出て前川邸へ踏み入った。
尖った気を放ちながら廊下を乱暴に歩いていく。すれ違う平隊士は驚き飛び退いて行く手を空けた。
そんな中、勇気ある一人の隊士が声を掛けた。
「せ、芹沢先生!珍しいですね、こちらにいらっしゃるとは。今日は近藤先生、土方先生はじめ先生方は皆様席を外しておりますがどちらへ……」
芹沢はゆっくり平隊士の顔を見遣ると、一息に鉄扇を横薙ぎに払い、隊士を叩き飛ばした。
「ぐわぁああ!!」
鉄の塊で打ち付けられた隊士は床に体をぶつけ、叩かれた箇所を押さえてうずくまった。痛みを堪えて震えている。
「フン、張り合いの無い」
そう言って芹沢は再び荒々しく歩み始めた。
「猫じゃ!猫がおるのだろう!!出てこんかぁああ!!」
芹沢の叫びは斎藤の部屋に潜む夢主にも届いていた。
「どうしよう、私の事を探しているんだ……どこで耳に入ったんだろう……」
一部屋ずつ障子を開け放って中を探す様子が伝わってくる。
「このままじゃ見つかっちゃう、ここにいたら斎藤さんにも迷惑が……」
夢主は青ざめた顔で、普段は閉ざされた部屋の奥の襖から別の部屋へと移動した。
そのまま廊下へ逃れ、どこかへ隠れようと体を小さく屈めて忍び歩く。
「……見つけたぞ」
その時、背後から低く凄んだ声が聞こえた。
怯えながら振り返ると、陰惨な芹沢の顔が夢主を見下していた。
口元が卑しく歪み、有無を言わさず夢主を物陰から引っ張り出した。
「や、やめて下さい!!いっ、痛いです!!」
右の手首を掴まれ、引きずられるように芹沢に連れて行かれる。
夢主の存在を知らなかった、居合わせた平隊士は驚きの目で見ていた。
幹部の誰かが囲っている女かと思い巡らすが、芹沢の凶行にも恐ろしさの余り何もする事ができずに見て見ぬふりをしている。
「いやっ、離してくださいっ!!!痛っ……」
ついには八木邸が暮らす芹沢の座敷に引きずられて行った。