13.血の臭い
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斎藤は部屋から離れた廊下で皆を呼び止めた。
「血の臭いだ」
「血の?」
斎藤は夢主の異変を説明した。
「俺達は慣れているから気にも留めないが、あいつには辛いんだろう」
「そっか……僕達、帰ったそのままで夢主ちゃんに会いに行っちゃったね……悪い事しちゃったな」
「すまんな、斎藤」
同じ部屋にいながら夢主に血の臭いを悟らせない斎藤は一体どのように過ごしているのか。余程の気遣いを感じる。
斎藤は手短に告げて踵を返した。
部屋では夢主は幾らか明るくなった顔色で待っていた。
「すみません、私にはまだ……覚悟が足りないみたいですね……ふふ……」
覚悟。
俺達と共に過ごす覚悟か。霞んだ笑顔で夢主は続けた。
「次は……芹沢さんですか」
その為に一番手強い相手を切腹に追い込んだのだ。
会津や皆を最も悩ませる男の粛清が、間もなく行われるに違いない。
「近いだろうな」
「そうですか……」
会った事もない芹沢に迫る死に、夢主は顔を曇らせた。
斎藤達も土方を中心にまた話し合いに忙しくなるだろう。
「斎藤さんも無理なさらないで」
頷く斎藤だが、早速昼の巡察に赴いた。
慌しい時節、夢主が暮らす前川邸から斎藤だけではなく幹部が一人もいなくなる事もある。
そんな時はじっと部屋で身を隠すように過ごした。
一方、大事な右腕を失った芹沢は焦燥を感じていた。
屯所で呑み飽きると島原に繰り出し、呑み暴れては屯所に戻り、お梅を呼んだ。
芹沢戻る時はいつも大きな物音や怒鳴り声が響き渡り、隣の屋敷に潜む夢主にもその存在が伝わる。
この日も激しく荒れていた。
「お梅は!お梅はおらぬのか!!いつになったら姿を見せる!!」
他にも女を囲っているが、こういう時は必ずお梅を呼んでいた。
気分が優れない時、癇癪が治まらない時。お梅には対して特別な執心があった。
「えぇい腹立たしい!!」
乱暴な足音と共に、常に持ち歩く鉄扇を振り回して鳴らした。
「血の臭いだ」
「血の?」
斎藤は夢主の異変を説明した。
「俺達は慣れているから気にも留めないが、あいつには辛いんだろう」
「そっか……僕達、帰ったそのままで夢主ちゃんに会いに行っちゃったね……悪い事しちゃったな」
「すまんな、斎藤」
同じ部屋にいながら夢主に血の臭いを悟らせない斎藤は一体どのように過ごしているのか。余程の気遣いを感じる。
斎藤は手短に告げて踵を返した。
部屋では夢主は幾らか明るくなった顔色で待っていた。
「すみません、私にはまだ……覚悟が足りないみたいですね……ふふ……」
覚悟。
俺達と共に過ごす覚悟か。霞んだ笑顔で夢主は続けた。
「次は……芹沢さんですか」
その為に一番手強い相手を切腹に追い込んだのだ。
会津や皆を最も悩ませる男の粛清が、間もなく行われるに違いない。
「近いだろうな」
「そうですか……」
会った事もない芹沢に迫る死に、夢主は顔を曇らせた。
斎藤達も土方を中心にまた話し合いに忙しくなるだろう。
「斎藤さんも無理なさらないで」
頷く斎藤だが、早速昼の巡察に赴いた。
慌しい時節、夢主が暮らす前川邸から斎藤だけではなく幹部が一人もいなくなる事もある。
そんな時はじっと部屋で身を隠すように過ごした。
一方、大事な右腕を失った芹沢は焦燥を感じていた。
屯所で呑み飽きると島原に繰り出し、呑み暴れては屯所に戻り、お梅を呼んだ。
芹沢戻る時はいつも大きな物音や怒鳴り声が響き渡り、隣の屋敷に潜む夢主にもその存在が伝わる。
この日も激しく荒れていた。
「お梅は!お梅はおらぬのか!!いつになったら姿を見せる!!」
他にも女を囲っているが、こういう時は必ずお梅を呼んでいた。
気分が優れない時、癇癪が治まらない時。お梅には対して特別な執心があった。
「えぇい腹立たしい!!」
乱暴な足音と共に、常に持ち歩く鉄扇を振り回して鳴らした。