13.血の臭い
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「よぉっ、夜は良く眠れたかっ」
原田は入るなり、どかりと夢主の目の前に座った。陽の光が似合う爽やかな笑顔だ。
「はぃ、ぐっすり眠れました」
笑顔に応えるよう微笑み返していると、事情を聞きつけた沖田もやって来た。
「夢主ちゃん!大丈夫でしたか!お体、お変わりありませんか?!」
「かっ、からだっ?」
沖田はいつも通り、夢主は屯所で待機していると思っていた。
謀略が漏れて芹沢派が動けば危ないからと、外に連れ出されたのを知ったのは、今朝屯所に戻ってからである。
しかも土方が出会い茶屋を指定したと聞いて慌てて様子を見に来たのだ。
屯所と出会い茶屋では大違いだ。
「まさか斎藤さんと一緒にでっ、出会い茶屋に行っていたなんて!危ないにも程があります!斎藤さんはむっつりなんですよ!溜めてる分、危ないんです!」
いつもの沖田らしからぬ言葉に夢主がクスクスと笑った。
「笑い事じゃありません、むっつり狼のくせに狸寝入りが得意で!危ないですよ!」
「総司、もういいだろう、大丈夫だ。なぁんも無かったってよ!」
何かを聞いた訳でもないのに原田が笑って答えた。
何故自信たっぷりなのか、夢主が不思議に思っていると、原田はうんうん頷きながら、
「女はなぁ、情事の後は匂いが違うんだよ。だから総司、大丈夫だって。俺が保障する」
そう告げた。
変な保障を受けて夢主の顔は熱く赤らむ。
「へ、変なこと言わないで下さい原田さんっ!!そ、それは当然です、な、何もありません!斎藤さんは、そんな……」
「本当ですよ原田さん!女の子の前でそんな話しちゃ駄目です!!」
沖田もむきになって応戦する。
苦笑いの夢主だが、匂いの話でふと妙な臭いに気が付いた。独特の鼻を突く臭い、女ならそれとなく記憶にある臭い。
……え……もしかして、血……
男達が揃って新見の切腹に立ち会っていた歴史を思い出した。
ここにいない幹部は後始末をしているのか。
原田と沖田と……永倉。
ふと入り口に立つ永倉の姿が見えた。今この場に着いたばかりだ。
この三人は切腹に立ち会っていた。
だから着物に血の臭いが……
夢主の顔から血の気が引いていく。
「おい、大丈夫か」
近寄る永倉から一番濃い臭いがする。
記憶の中では、介錯をしたのが永倉だった。
「なんでも……ありません……」
夢主は無理やり笑顔を作ると口元を手で覆った。
ここで顔を歪めてしまっては彼らの決意に水を差してしまう。彼らのこれからの行動にぶれがあってはいけない。
夢主は必死に笑顔に努めた。
心配して見守る三人の顔はとても優しいものだ。
不思議だったのは、斎藤から血の臭いを感じた記憶がないこと。
血の臭いを感じてもおかしくは無いのに、今まで一度も無かった。
原田は入るなり、どかりと夢主の目の前に座った。陽の光が似合う爽やかな笑顔だ。
「はぃ、ぐっすり眠れました」
笑顔に応えるよう微笑み返していると、事情を聞きつけた沖田もやって来た。
「夢主ちゃん!大丈夫でしたか!お体、お変わりありませんか?!」
「かっ、からだっ?」
沖田はいつも通り、夢主は屯所で待機していると思っていた。
謀略が漏れて芹沢派が動けば危ないからと、外に連れ出されたのを知ったのは、今朝屯所に戻ってからである。
しかも土方が出会い茶屋を指定したと聞いて慌てて様子を見に来たのだ。
屯所と出会い茶屋では大違いだ。
「まさか斎藤さんと一緒にでっ、出会い茶屋に行っていたなんて!危ないにも程があります!斎藤さんはむっつりなんですよ!溜めてる分、危ないんです!」
いつもの沖田らしからぬ言葉に夢主がクスクスと笑った。
「笑い事じゃありません、むっつり狼のくせに狸寝入りが得意で!危ないですよ!」
「総司、もういいだろう、大丈夫だ。なぁんも無かったってよ!」
何かを聞いた訳でもないのに原田が笑って答えた。
何故自信たっぷりなのか、夢主が不思議に思っていると、原田はうんうん頷きながら、
「女はなぁ、情事の後は匂いが違うんだよ。だから総司、大丈夫だって。俺が保障する」
そう告げた。
変な保障を受けて夢主の顔は熱く赤らむ。
「へ、変なこと言わないで下さい原田さんっ!!そ、それは当然です、な、何もありません!斎藤さんは、そんな……」
「本当ですよ原田さん!女の子の前でそんな話しちゃ駄目です!!」
沖田もむきになって応戦する。
苦笑いの夢主だが、匂いの話でふと妙な臭いに気が付いた。独特の鼻を突く臭い、女ならそれとなく記憶にある臭い。
……え……もしかして、血……
男達が揃って新見の切腹に立ち会っていた歴史を思い出した。
ここにいない幹部は後始末をしているのか。
原田と沖田と……永倉。
ふと入り口に立つ永倉の姿が見えた。今この場に着いたばかりだ。
この三人は切腹に立ち会っていた。
だから着物に血の臭いが……
夢主の顔から血の気が引いていく。
「おい、大丈夫か」
近寄る永倉から一番濃い臭いがする。
記憶の中では、介錯をしたのが永倉だった。
「なんでも……ありません……」
夢主は無理やり笑顔を作ると口元を手で覆った。
ここで顔を歪めてしまっては彼らの決意に水を差してしまう。彼らのこれからの行動にぶれがあってはいけない。
夢主は必死に笑顔に努めた。
心配して見守る三人の顔はとても優しいものだ。
不思議だったのは、斎藤から血の臭いを感じた記憶がないこと。
血の臭いを感じてもおかしくは無いのに、今まで一度も無かった。