107.会津新選組
夢主名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ここにいれば土方さんが来るかもしれないって、夢主ちゃん言ってましたよね、だからここで待ちましょう。僕だって会いたいけれど……待ちます」
「総司さん……」
「そして、夏になったらここを出て江戸の町に住む場所を探しましょう。それまでは僕が時間を見つけて江戸の様子を見てきます」
「そんな危ないこと、しないでください!一人でなんて……」
「しかし、その官軍とやらがいるかもしれない」
自分やその仲間達を貶めた薩長を皮肉る沖田だが、夢主は真面目な顔で首を振った。
「だからこそ二人で……そうです!……夫婦を装えば、住む場所を探していても怪しまれません」
「夫婦……嘘でも、嫌ではありませんか」
「……探す、口実に」
もごもごと声をこもらせ嫌ではないと嘘を吐けない夢主を沖田はくすくすと笑った。
「ふふっ、いいですよ夢主ちゃん。兄妹でもいいでしょう、それで住む場所を探しましょう」
「あっ……兄妹!そうですね!戦で逃げて戻らない人や亡くなられた方も……部屋が空いて困っている大家さんは多いかも……」
「家の持ち主を探したら、混乱の今なら売ってくれるかもしれません。家、そして土地を」
「土地を?」
「えぇ、悲しいですが戦で男を失った家は、家を維持出来ません……僕の家もなかなか厳しかったみたいですから」
沖田は小さい頃に父と母を失い、家督を継ぐには幼すぎた自分のせいで家族が苦しい思いをしたと感じており、そして自らも大好きな姉と別れ辛い時を過ごした記憶があった。
「大金を出してくれるならむしろ嬉しいです。僕は、きっと嬉しかった……」
「総司さん……」
幼い頃の別れを思い出したのか切なく笑んだ沖田だが、いつもの元気な表情に戻ると包みを取り出した。
包みを広げると綺麗に包まれた小判の山が姿を現した。
「ご心配なく、蓄えは沢山あります。事あるごとに褒賞金が出ていましたからね。両替商を通じてこちらに送ったお金もあります。道場を得る為に貯め込んでいたのですから」
「凄い……総司さん、のんびりしてるようでしっかり者なんですね」
「あはははっ!確かに何も考えていないとよく言われますけどねっ!」
「そういうつもりでは……」
「ふふふふ、気にしていませんよ。でもお金なら大丈夫。土方さんから預かった夢主ちゃんのお金もありますよ」
「私の?」
「えぇ。夢主ちゃんの為のお金もちゃんとあるんですよ。だから当面は食べる心配もいりません。今の状況で僕が稼ぎに出るわけには行きませんからねっ」
顔の知られた沖田は官軍が押し寄せる江戸で働く危険は避けたかった。
「ありがとうございます……そんな事までしていただいてたなんて……」
「元々わけあって貴女宛てに届いたお金なんです」
「私宛て?」
「はい。まぁ、もう済んだ事です、今はゆっくりと時を待ちましょう」
「はい……総司さん、宜しくお願いします」
「こちらこそ……夢主ちゃん」
これから暑くなる季節までこの小さな離れで過ごすのだ。
世話になってばかりの沖田に夢主は頭を下げた。そして沖田もまた、同じ思いだった。
離れでの生活に不便は無かった。
あるとすれば外出の自由の無さだが、屯所で籠りがちな生活をしていた夢主はたいして気にせず過ごせた。
沖田もまた病の噂を理由に自室に控える日が多かった為、さほど不満は抱かなかった。
目の前の庭は小さいが、剣の一人稽古をするには充分だ。
「総司さん……」
「そして、夏になったらここを出て江戸の町に住む場所を探しましょう。それまでは僕が時間を見つけて江戸の様子を見てきます」
「そんな危ないこと、しないでください!一人でなんて……」
「しかし、その官軍とやらがいるかもしれない」
自分やその仲間達を貶めた薩長を皮肉る沖田だが、夢主は真面目な顔で首を振った。
「だからこそ二人で……そうです!……夫婦を装えば、住む場所を探していても怪しまれません」
「夫婦……嘘でも、嫌ではありませんか」
「……探す、口実に」
もごもごと声をこもらせ嫌ではないと嘘を吐けない夢主を沖田はくすくすと笑った。
「ふふっ、いいですよ夢主ちゃん。兄妹でもいいでしょう、それで住む場所を探しましょう」
「あっ……兄妹!そうですね!戦で逃げて戻らない人や亡くなられた方も……部屋が空いて困っている大家さんは多いかも……」
「家の持ち主を探したら、混乱の今なら売ってくれるかもしれません。家、そして土地を」
「土地を?」
「えぇ、悲しいですが戦で男を失った家は、家を維持出来ません……僕の家もなかなか厳しかったみたいですから」
沖田は小さい頃に父と母を失い、家督を継ぐには幼すぎた自分のせいで家族が苦しい思いをしたと感じており、そして自らも大好きな姉と別れ辛い時を過ごした記憶があった。
「大金を出してくれるならむしろ嬉しいです。僕は、きっと嬉しかった……」
「総司さん……」
幼い頃の別れを思い出したのか切なく笑んだ沖田だが、いつもの元気な表情に戻ると包みを取り出した。
包みを広げると綺麗に包まれた小判の山が姿を現した。
「ご心配なく、蓄えは沢山あります。事あるごとに褒賞金が出ていましたからね。両替商を通じてこちらに送ったお金もあります。道場を得る為に貯め込んでいたのですから」
「凄い……総司さん、のんびりしてるようでしっかり者なんですね」
「あはははっ!確かに何も考えていないとよく言われますけどねっ!」
「そういうつもりでは……」
「ふふふふ、気にしていませんよ。でもお金なら大丈夫。土方さんから預かった夢主ちゃんのお金もありますよ」
「私の?」
「えぇ。夢主ちゃんの為のお金もちゃんとあるんですよ。だから当面は食べる心配もいりません。今の状況で僕が稼ぎに出るわけには行きませんからねっ」
顔の知られた沖田は官軍が押し寄せる江戸で働く危険は避けたかった。
「ありがとうございます……そんな事までしていただいてたなんて……」
「元々わけあって貴女宛てに届いたお金なんです」
「私宛て?」
「はい。まぁ、もう済んだ事です、今はゆっくりと時を待ちましょう」
「はい……総司さん、宜しくお願いします」
「こちらこそ……夢主ちゃん」
これから暑くなる季節までこの小さな離れで過ごすのだ。
世話になってばかりの沖田に夢主は頭を下げた。そして沖田もまた、同じ思いだった。
離れでの生活に不便は無かった。
あるとすれば外出の自由の無さだが、屯所で籠りがちな生活をしていた夢主はたいして気にせず過ごせた。
沖田もまた病の噂を理由に自室に控える日が多かった為、さほど不満は抱かなかった。
目の前の庭は小さいが、剣の一人稽古をするには充分だ。