12.二人の朝
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それから暫く経った昼過ぎ、夕べから部屋を開けていた斎藤が戻ってきた。
「斎藤さん!おかえりなさい」
嬉しくて思わず声が弾む。
酒の匂いが酷いが白粉の匂いはしない。酒の席で大事な話でもしていたのだろう。
ここ暫く部屋に戻っても慌しい斎藤だが、今日は時間があるのか、刀を置いてゆっくり腰を降ろした。
「すまんな、俺も沖田君も傍にいてやれなくて。変わりないか」
朝の稽古、昼の巡察、平隊士の稽古付け、夜の巡察 、幹部会議に幹部の酒宴。夢主が起きている間に部屋に落ち着くのは暫くぶりだ。
「はぃ……そういえば、先ほど山南さんにお会いしました。初めてお目に掛かったんですけど……お体がお辛そうでした」
「そうだな」
実は山南も病だった……夢主はそんな話があった事を思い出した。
「すまんが、ちょっと休む。日が暮れる頃にひと仕事あるんでな」
斎藤は畳の上にごろりと転がり、自分の手枕で仮眠を取り始めた。
その様子を夢主は愛おしく眺め、頬を緩めた。気を許してくれているのだと感じずにいられない。
それにしても夕方にひと仕事というのが気に掛かる。
日が傾きだした頃、夢主は針仕事を片付けて斎藤の傍らに座った。
……斎藤さん起こしたほうがいいのかな、でもきっと自分で起きるんだろうなぁ……ひと仕事って……何だろう……
考えながら見つめていると、視線を感じたのか斎藤が目を覚ました。
静かにのっそり体を起こし、本当に珍しく、まだ眠い……そんな顔を見せた。
幾日もまともに寝ていない。新選組の幹部とはそういうものなのか。
無言で座り込んだまま、何かを考え込んでいる。その顔は夢主を見ているようにも見えた。
「飯でも食いに行くか」
「ぇ……外に、ですか」
幹部二人以上付き添わなければいけないはずだ。
夢主も土方の言いつけを破るのは気が引ける。
「あぁ。今日はな、構わんのだ。……土方さんの許可もある」
「そうですか……」
それならばと説得されるまま頷いた。
二人きりの外出は気恥ずかしくも嬉しかった。
「斎藤さん!おかえりなさい」
嬉しくて思わず声が弾む。
酒の匂いが酷いが白粉の匂いはしない。酒の席で大事な話でもしていたのだろう。
ここ暫く部屋に戻っても慌しい斎藤だが、今日は時間があるのか、刀を置いてゆっくり腰を降ろした。
「すまんな、俺も沖田君も傍にいてやれなくて。変わりないか」
朝の稽古、昼の巡察、平隊士の稽古付け、夜の巡察 、幹部会議に幹部の酒宴。夢主が起きている間に部屋に落ち着くのは暫くぶりだ。
「はぃ……そういえば、先ほど山南さんにお会いしました。初めてお目に掛かったんですけど……お体がお辛そうでした」
「そうだな」
実は山南も病だった……夢主はそんな話があった事を思い出した。
「すまんが、ちょっと休む。日が暮れる頃にひと仕事あるんでな」
斎藤は畳の上にごろりと転がり、自分の手枕で仮眠を取り始めた。
その様子を夢主は愛おしく眺め、頬を緩めた。気を許してくれているのだと感じずにいられない。
それにしても夕方にひと仕事というのが気に掛かる。
日が傾きだした頃、夢主は針仕事を片付けて斎藤の傍らに座った。
……斎藤さん起こしたほうがいいのかな、でもきっと自分で起きるんだろうなぁ……ひと仕事って……何だろう……
考えながら見つめていると、視線を感じたのか斎藤が目を覚ました。
静かにのっそり体を起こし、本当に珍しく、まだ眠い……そんな顔を見せた。
幾日もまともに寝ていない。新選組の幹部とはそういうものなのか。
無言で座り込んだまま、何かを考え込んでいる。その顔は夢主を見ているようにも見えた。
「飯でも食いに行くか」
「ぇ……外に、ですか」
幹部二人以上付き添わなければいけないはずだ。
夢主も土方の言いつけを破るのは気が引ける。
「あぁ。今日はな、構わんのだ。……土方さんの許可もある」
「そうですか……」
それならばと説得されるまま頷いた。
二人きりの外出は気恥ずかしくも嬉しかった。