101.新月の光
夢主名前設定
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再び二人の時間に戻った夢主と斎藤。
斎藤は緩む頬を抑えて夢主を褒めた。
「見事だった、だが実際に技を掛けた後は、そのまま敵の脳天をかち割るつもりで攻撃を続けるか、さもなくば全力で逃げろ。投げたと同時にだ」
「わかりました」
「あと、ある類の男達には使うなよ、無駄だ」
「ある類……」
「覚えているか、御庭番衆とか言う男」
「あ……もちろん覚えています」
「あぁいう連中には通じん。それに人を殺す為に生き自らも狙われている男。確かに俺は今、無警戒の極みだったが、やつらも易々と隙は作らん。まぁ俺にももう通用せんと心得ておけ」
「わっ、わかりました……」
得意気に言う斎藤に夢主はむすっと応えた。
比古と必死に練習して斎藤相手に成功したが一度きりなのか。
もう少し褒めてくれても……夢主は斎藤から目を逸らした。
「それから、隙といえば」
「ぁっ……」
「こうなった場合はどう逃げる」
視線を外したのを隙と見て斎藤は夢主の手を掴み、引っ張って体勢を崩し、今度は夢主を転がした。
手首を押さえ込み、動けぬよう白く細い足の上に大きな骨ばった足を重ねる。
夢主は怒った顔を斎藤に向けた。
「もっ……そんなことは教わっていません!」
「そうか、そいつは一安心だ」
比古の教えた護身術とはどこまでだ、教えるからにはさぞかしお前に触れたんだろう。
意地悪な気をぶつけて冗談半分に確認を済ませ、斎藤は真顔を取り戻して立ち上がった。
「当たり前ですよ……あれでも師匠は真面目なんですから……」
「何か言ったか」
「いぃえっ!」
「フッ、そうか。すまなかったな、冗談だよ」
ぶつぶつと、座ったまま口の中でぼやいて怒る夢主に斎藤は軽く謝った。
「フッ、機嫌を損ねちまったな」
「そんな……ことは……」
むぅっと口を真一文字に閉じたが斎藤にも見えていないだろう。
「やれやれ、どうすれば機嫌が直る」
「別に……怒ってなんか……」
「そうか。ひとつ、お前の投げが通じない男にあのようにされた時の対処法を教えてやろうか」
「ど……どのように……」
斎藤を見上げるがその表情は見えず、暗がりに浮かぶ黒い大きな影にドクリとする。
「目を瞑れ」
「えっ」
「抵抗すれば間違いなく殴られる。鍛えられた男の拳だ、一発でも骨が砕け下手すれば即死だ」
「そんな……」
「死んだほうがいいと思うかも知れんがな、全ての感情を捨てて目を閉じろ。そうすれば殺されはしまい」
言いながら斎藤は気を落として座り込む夢主に手を伸ばし、掴んで体を引き上げて立たせてやった。
現実は甘くない。女とて覚悟を持たなければ乱世は生き残れない。突きつけてはみたものの、余りに落ち込むさまに、やり過ぎたかと、斎藤は夢主の腕にぽんと触れて励ました。
「しかしそれも、沖田君が傍にいてくれるのならば心配いらんだろう。もう灯りをつけてもいいか」
「ぁ……はい」
暗くては話がし辛い。
夢主の素朴な疑問を解決しようと始めた暗闇の中の覗きっこ、終いにしても良いかと訊ねられ素直に頷いた。
斎藤は緩む頬を抑えて夢主を褒めた。
「見事だった、だが実際に技を掛けた後は、そのまま敵の脳天をかち割るつもりで攻撃を続けるか、さもなくば全力で逃げろ。投げたと同時にだ」
「わかりました」
「あと、ある類の男達には使うなよ、無駄だ」
「ある類……」
「覚えているか、御庭番衆とか言う男」
「あ……もちろん覚えています」
「あぁいう連中には通じん。それに人を殺す為に生き自らも狙われている男。確かに俺は今、無警戒の極みだったが、やつらも易々と隙は作らん。まぁ俺にももう通用せんと心得ておけ」
「わっ、わかりました……」
得意気に言う斎藤に夢主はむすっと応えた。
比古と必死に練習して斎藤相手に成功したが一度きりなのか。
もう少し褒めてくれても……夢主は斎藤から目を逸らした。
「それから、隙といえば」
「ぁっ……」
「こうなった場合はどう逃げる」
視線を外したのを隙と見て斎藤は夢主の手を掴み、引っ張って体勢を崩し、今度は夢主を転がした。
手首を押さえ込み、動けぬよう白く細い足の上に大きな骨ばった足を重ねる。
夢主は怒った顔を斎藤に向けた。
「もっ……そんなことは教わっていません!」
「そうか、そいつは一安心だ」
比古の教えた護身術とはどこまでだ、教えるからにはさぞかしお前に触れたんだろう。
意地悪な気をぶつけて冗談半分に確認を済ませ、斎藤は真顔を取り戻して立ち上がった。
「当たり前ですよ……あれでも師匠は真面目なんですから……」
「何か言ったか」
「いぃえっ!」
「フッ、そうか。すまなかったな、冗談だよ」
ぶつぶつと、座ったまま口の中でぼやいて怒る夢主に斎藤は軽く謝った。
「フッ、機嫌を損ねちまったな」
「そんな……ことは……」
むぅっと口を真一文字に閉じたが斎藤にも見えていないだろう。
「やれやれ、どうすれば機嫌が直る」
「別に……怒ってなんか……」
「そうか。ひとつ、お前の投げが通じない男にあのようにされた時の対処法を教えてやろうか」
「ど……どのように……」
斎藤を見上げるがその表情は見えず、暗がりに浮かぶ黒い大きな影にドクリとする。
「目を瞑れ」
「えっ」
「抵抗すれば間違いなく殴られる。鍛えられた男の拳だ、一発でも骨が砕け下手すれば即死だ」
「そんな……」
「死んだほうがいいと思うかも知れんがな、全ての感情を捨てて目を閉じろ。そうすれば殺されはしまい」
言いながら斎藤は気を落として座り込む夢主に手を伸ばし、掴んで体を引き上げて立たせてやった。
現実は甘くない。女とて覚悟を持たなければ乱世は生き残れない。突きつけてはみたものの、余りに落ち込むさまに、やり過ぎたかと、斎藤は夢主の腕にぽんと触れて励ました。
「しかしそれも、沖田君が傍にいてくれるのならば心配いらんだろう。もう灯りをつけてもいいか」
「ぁ……はい」
暗くては話がし辛い。
夢主の素朴な疑問を解決しようと始めた暗闇の中の覗きっこ、終いにしても良いかと訊ねられ素直に頷いた。