101.新月の光
夢主名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
斎藤が戻る頃には夢主はすっかり寝入っていた。
枕元に寄り、灯りで照らせば泣いた痕が見えたかもしれない。
「斎藤さん、おかえりなさい」
「あぁ沖田君、どうした」
斎藤が部屋へ戻ると沖田が姿を見せた。
開いた障子の間に立ったまま、巡察を終え寝支度に入る斎藤を眺めている。
「いえね……僕も不憫だなぁと思いまして」
「そうか、否定はせんが。君にも君なりの……」
「あははっ、構いませんよ、無理して好いことを言ってくれなくても。僕は覚悟を決めました。そうだな……十年。十年経っても貴方が現れなければ、力尽くで夢主ちゃんを僕のお嫁さんにしようかな」
「おいっ」
「冗談ですよ、力尽くなんて。僕は夢主ちゃんを幸せには出来ません。お嫁さんにはしてあげられない……幸せにしてあげられるのは、貴方だけなんですから斎藤さん。僕が夢主ちゃんと結ばれる日が来るとすれば、それは夢主ちゃんが完全に貴方を忘れてくれた時。そんな日、訪れるわけがありません」
「……そうか」
「でも、本当に待っていますから、貴方を」
「分かっている」
「……そういえば明晩の新月、夢主ちゃん楽しみにしているようですけど……時間、取ってあげられるんですか」
「新月か。そうだな、何とかしてみるさ。すまんな」
「いいえ、もう気にしません」
「フッ……」
……やれやれ、大きな借りを作っちまったな……
斎藤は表情を崩し、沖田に小さく頭を動かして謝意を示した。
翌日、沖田のお膳立てがあったとも知らず、斎藤が夜の巡察に出ないと知った夢主は破顔して喜んだ。
特別なことは何も無くて良い、ただ一緒に過ごし、斎藤の瞳を新月の下で覗いてみたかった。
日が沈み残照も消えてすっかり暗くなると、夢主は斎藤に部屋の明かりを消してもらった。
「ここまでするのか」
「だって!斎藤さんの瞳は行灯の火にも照り光るんですから、ちゃんと確認するなら真っ暗じゃないと……縁側に来てくださいっ」
先に部屋の外に出た夢主が斎藤を手招く。
屯所内にはまだ光がある。
あちこちの部屋から明かりが薄っすら漏れ光り、門の松明は煌々と燃え盛る。
しかし斎藤の部屋は周囲の部屋明かりも少なく、光に邪魔されず暗闇の中に身を置けた。
「気をつけろよ、落ちるな」
灯りを消したばかりで目が慣れず真っ暗に感じているはずだ。
斎藤は夜目が利く自分達とは異なる夢主を気遣った。
「平気です、ここから動きませんから!斎藤さん」
「わかった」
やれやれと縁側に出て夢主の前に立つと、夢主は必死に斎藤の顔を見上げ始めた。
「本当……真っ暗でお顔もよく見えません……」
「フッ、流石に星の明かりだけではな」
斎藤には目の前でしげしげと自分を見上げる夢主の様子がよくわかる。
見えないからとは言え、無防備に自分に顔を近づける夢主を笑いそうになった。
「諦めるか」
「目が慣れるまで……もう少し待ってください」
枕元に寄り、灯りで照らせば泣いた痕が見えたかもしれない。
「斎藤さん、おかえりなさい」
「あぁ沖田君、どうした」
斎藤が部屋へ戻ると沖田が姿を見せた。
開いた障子の間に立ったまま、巡察を終え寝支度に入る斎藤を眺めている。
「いえね……僕も不憫だなぁと思いまして」
「そうか、否定はせんが。君にも君なりの……」
「あははっ、構いませんよ、無理して好いことを言ってくれなくても。僕は覚悟を決めました。そうだな……十年。十年経っても貴方が現れなければ、力尽くで夢主ちゃんを僕のお嫁さんにしようかな」
「おいっ」
「冗談ですよ、力尽くなんて。僕は夢主ちゃんを幸せには出来ません。お嫁さんにはしてあげられない……幸せにしてあげられるのは、貴方だけなんですから斎藤さん。僕が夢主ちゃんと結ばれる日が来るとすれば、それは夢主ちゃんが完全に貴方を忘れてくれた時。そんな日、訪れるわけがありません」
「……そうか」
「でも、本当に待っていますから、貴方を」
「分かっている」
「……そういえば明晩の新月、夢主ちゃん楽しみにしているようですけど……時間、取ってあげられるんですか」
「新月か。そうだな、何とかしてみるさ。すまんな」
「いいえ、もう気にしません」
「フッ……」
……やれやれ、大きな借りを作っちまったな……
斎藤は表情を崩し、沖田に小さく頭を動かして謝意を示した。
翌日、沖田のお膳立てがあったとも知らず、斎藤が夜の巡察に出ないと知った夢主は破顔して喜んだ。
特別なことは何も無くて良い、ただ一緒に過ごし、斎藤の瞳を新月の下で覗いてみたかった。
日が沈み残照も消えてすっかり暗くなると、夢主は斎藤に部屋の明かりを消してもらった。
「ここまでするのか」
「だって!斎藤さんの瞳は行灯の火にも照り光るんですから、ちゃんと確認するなら真っ暗じゃないと……縁側に来てくださいっ」
先に部屋の外に出た夢主が斎藤を手招く。
屯所内にはまだ光がある。
あちこちの部屋から明かりが薄っすら漏れ光り、門の松明は煌々と燃え盛る。
しかし斎藤の部屋は周囲の部屋明かりも少なく、光に邪魔されず暗闇の中に身を置けた。
「気をつけろよ、落ちるな」
灯りを消したばかりで目が慣れず真っ暗に感じているはずだ。
斎藤は夜目が利く自分達とは異なる夢主を気遣った。
「平気です、ここから動きませんから!斎藤さん」
「わかった」
やれやれと縁側に出て夢主の前に立つと、夢主は必死に斎藤の顔を見上げ始めた。
「本当……真っ暗でお顔もよく見えません……」
「フッ、流石に星の明かりだけではな」
斎藤には目の前でしげしげと自分を見上げる夢主の様子がよくわかる。
見えないからとは言え、無防備に自分に顔を近づける夢主を笑いそうになった。
「諦めるか」
「目が慣れるまで……もう少し待ってください」