98.絢爛と静寂の再会
夢主名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
耳を澄ますと夢主が打ち掛けを脱ぎ、帯を解く様子が音で伝わってくる。
小袖の下に覗いていた鮮やかな緋色、今その緋色の襦袢姿で夢主は一人立っているだろう。
上質な緋色の生地は艶めいて品良く光り、薄さ故に夢主の体の上に滑らかに纏わりついているだろう。
撫で肩から胸の膨らみへ、その先で愛らしく尖る場所へ、それからさらに下りてくびれた腰に……。
静寂に包まれた部屋の中、二人の男の手は盃を手にしたまま止まっている。どこかで響く嬌声も今の二人の耳には届いていなかった。
「寝たようだな」
「あぁ」
寝所の様子をひたすら窺っていた二人がようやく口を開いた。
夢主が横になったのを感じ取り、揃って手酌を始めた。
眠った夢主の気が安らかに静まった時、話とは……斎藤から比古に目を合わせた。
「斎藤。お前、あいつを抱いたことはあるのか」
「随分と不躾だな」
唐突に何をと、斎藤は不愉快さを顔に表した。
「いいから答えろ」
「必要ないな」
「あいつは心に傷を負っている」
斎藤は比古が不躾に執拗に訊ねる理由を理解した。ただの好奇心ではないのが厄介だ。
押し問答を繰り返してもこの男は諦めないだろう。
「無いさ。これで満足か」
比古は満足とも不満とも読み取れない表情で反応した。
「ほっとしたか」
「そうだな、ほっとしたかもしれん。だが、お前であってくれれば……とも思ったな」
「どういうことだ」
斎藤はつい徳利でコトンと音を立ててしまった。
「聞いたぞ……あいつは望まぬままに女を失ったと。早い話が手篭めにされたんだ……誰かは聞いていない。誰だ」
「それを聞いてどうする。斬りに行くか」
「いや……それは夢主も望まんだろう。ただ知りたいのさ、そんな馬鹿は誰かとな」
馬鹿……仮にも尊敬する副長と仲間の幹部を貶され斎藤は目を細めた。
確かに愚かしい行為だった。
今は心から詫びており、既に充分償いを果たして誠意を持ち接している。
当人が責めるのは止めないが、今更、部外者に責められる謂れは無い。
「悪いが俺からは言えん。だが突然目の前にあんないい女が現れて何も感じない方が男として不思議だろう、そうも責められん。状況も悪かった」
「ふっ、お前は良く耐えたというわけか」
「フン、あんたこそ良く手を出さなかったな。少しは覚悟してたんだぜ」
好戦的とも取れる比古の態度に、斎藤は皮肉な笑みを向けた。
それは比古も同じで、斎藤の頷きがたい言葉に皮肉な言葉を返した。
「ほぅ、それでいて俺に預けるとは、お前も随分と薄情な男だな」
「いや、あんたに預けるのが最良と判断したからだ。確かにあんたは腕が立つらしい。そして佐幕でも倒幕でも無い。あいつの身の安全を考えればお前が一番だ。それに俺はあいつの判断を信頼しているんでな、あいつの話は本当に良く当たる。夢主自身がお前で大丈夫と言ったんだ、信じるさ」
比古は斎藤と目を合わせ、互いの瞳の色を探っている。
嘘と誠、意地か本音か。
「成る程な。それで、話す気は無いのか」
「無い。聞きたけりゃ本人に聞くことだ。最も、話したくは無いだろうがな」
「それくらい分かる。……もう過ぎた事と割り切ってもいた。だからせめてもと……幸せを味わってもらいたいと思うだろう」
「まぁな」
「気持ちに応える気はあるのか、あいつはお前しか見ちゃいない」
「お前に答える必要が」
「お前に応える気が無いというのなら、俺が代わりになるまでだ」
大真面目だと身を乗り出す比古に、斎藤は大きく息を吐いた。
小袖の下に覗いていた鮮やかな緋色、今その緋色の襦袢姿で夢主は一人立っているだろう。
上質な緋色の生地は艶めいて品良く光り、薄さ故に夢主の体の上に滑らかに纏わりついているだろう。
撫で肩から胸の膨らみへ、その先で愛らしく尖る場所へ、それからさらに下りてくびれた腰に……。
静寂に包まれた部屋の中、二人の男の手は盃を手にしたまま止まっている。どこかで響く嬌声も今の二人の耳には届いていなかった。
「寝たようだな」
「あぁ」
寝所の様子をひたすら窺っていた二人がようやく口を開いた。
夢主が横になったのを感じ取り、揃って手酌を始めた。
眠った夢主の気が安らかに静まった時、話とは……斎藤から比古に目を合わせた。
「斎藤。お前、あいつを抱いたことはあるのか」
「随分と不躾だな」
唐突に何をと、斎藤は不愉快さを顔に表した。
「いいから答えろ」
「必要ないな」
「あいつは心に傷を負っている」
斎藤は比古が不躾に執拗に訊ねる理由を理解した。ただの好奇心ではないのが厄介だ。
押し問答を繰り返してもこの男は諦めないだろう。
「無いさ。これで満足か」
比古は満足とも不満とも読み取れない表情で反応した。
「ほっとしたか」
「そうだな、ほっとしたかもしれん。だが、お前であってくれれば……とも思ったな」
「どういうことだ」
斎藤はつい徳利でコトンと音を立ててしまった。
「聞いたぞ……あいつは望まぬままに女を失ったと。早い話が手篭めにされたんだ……誰かは聞いていない。誰だ」
「それを聞いてどうする。斬りに行くか」
「いや……それは夢主も望まんだろう。ただ知りたいのさ、そんな馬鹿は誰かとな」
馬鹿……仮にも尊敬する副長と仲間の幹部を貶され斎藤は目を細めた。
確かに愚かしい行為だった。
今は心から詫びており、既に充分償いを果たして誠意を持ち接している。
当人が責めるのは止めないが、今更、部外者に責められる謂れは無い。
「悪いが俺からは言えん。だが突然目の前にあんないい女が現れて何も感じない方が男として不思議だろう、そうも責められん。状況も悪かった」
「ふっ、お前は良く耐えたというわけか」
「フン、あんたこそ良く手を出さなかったな。少しは覚悟してたんだぜ」
好戦的とも取れる比古の態度に、斎藤は皮肉な笑みを向けた。
それは比古も同じで、斎藤の頷きがたい言葉に皮肉な言葉を返した。
「ほぅ、それでいて俺に預けるとは、お前も随分と薄情な男だな」
「いや、あんたに預けるのが最良と判断したからだ。確かにあんたは腕が立つらしい。そして佐幕でも倒幕でも無い。あいつの身の安全を考えればお前が一番だ。それに俺はあいつの判断を信頼しているんでな、あいつの話は本当に良く当たる。夢主自身がお前で大丈夫と言ったんだ、信じるさ」
比古は斎藤と目を合わせ、互いの瞳の色を探っている。
嘘と誠、意地か本音か。
「成る程な。それで、話す気は無いのか」
「無い。聞きたけりゃ本人に聞くことだ。最も、話したくは無いだろうがな」
「それくらい分かる。……もう過ぎた事と割り切ってもいた。だからせめてもと……幸せを味わってもらいたいと思うだろう」
「まぁな」
「気持ちに応える気はあるのか、あいつはお前しか見ちゃいない」
「お前に答える必要が」
「お前に応える気が無いというのなら、俺が代わりになるまでだ」
大真面目だと身を乗り出す比古に、斎藤は大きく息を吐いた。