98.絢爛と静寂の再会
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「斎藤さんはいつからこちらにいるんですか」
「一昨日だ。伊東さんの指示で俺はここに来た。それから方々へ連絡をして戻る手筈も整えた」
戻る手筈とは新選組に復隊する為の策。
夢主は頭の中で必死に考えた。
……油小路の変、確か斎藤さんが御陵衛士を出てから一週間くらい後だった気が……原田さんと永倉さんが来るのは確か……なんとか、藤堂さんを……
「おい、手が止まってるぞ」
「ごめんなさい……」
斎藤が盃を差し出したにも関わらず、夢主は徳利を両手で持ったまま考え込んでいた。
その考えが伊東と藤堂の一件と嫌でも分かる斎藤は比古に目配せをした。
……いざという時は、頼む……
比古も夢主の身を守る事に異存は無い。
出歩けない斎藤の代わりは務めるつもりだ。
任せておけと、斎藤の真意を忖度し頷いた。
夢主はまたも声を掛けなければ酌をしないほど上の空であった。
「ひゃぁっ!」
ぼんやりと心を余所にやっている夢主を揶揄って、斎藤は背後から肩でも抱くように体を張り付けた。
「余所見ばかりしてるお前が悪い……髪が伸びたな」
「はっ、はぃ……少しは……まだまだ前に比べると短いですが……あのっ」
「どうした」
「は、離れてください……恥ずかしいですっ……」
いつもより大きく大袈裟に衣紋を抜いている。うなじの下の背中まで白い肌が覗いていた。
元より夢主が首筋に反応を示すのを知っている斎藤は、悪戯に首筋から背に掛けて息を吐きかけた。
「ゎあぁっ、あの、本当に酔ってるんだと思います、斎藤さんっ」
体をひねって肩越しに現れた斎藤の顔を遠ざけようとするが、顔に触れられず夢主は固まってしまった。
手をそのまま宙に浮かせ、顔を染めて背けるしか出来ない。
それをいいことに、斎藤は唇が触れそうなほど夢主のうなじに近付いて呼吸を繰り返した。
酒で体温が上がっているのか、熱い息が何度も肌をくすぐる。
「ぁっ……もっ、くすぐったいです……恥ずかしい……こういうことしないって、だから新津さんも一緒なんでしょう……」
肌で感じる斎藤の息遣い、夢主は肩を小さく震わせて体を捩った。
「そうだったな、焦れったいことは無しだったか……俺も暇すぎて退屈だったもんでな、すまんなつい」
「たっ……退屈凌ぎに、揶揄わないでください、本当に人が悪いんだから……」
「その格好いいな。いつかまたして見せろ。もういいとなった時にでも」
「えっ」
「おっと、失言だったか」
もういい時とは……体を許してもいいとなった時……
夢主はその時を想像してしまい、襦袢に負けないほど赤く色付いた。
「もぅ!お酌しませんっ、先に……寝ますっ!!」
徳利を膳に戻すと、夢主は拗ねて一人床に入ってしまった。
「ははっ、やりすぎたな斎藤」
「フン、付き合いの悪い女だ」
「あんな格好して酌してくれるんだ、付き合いの良すぎる女だぜ。だが、丁度良い。もう少しお前に聞きたいことがあったんだよ」
「俺に」
「あぁ」
比古は夢主の入った部屋に目を向け、こいつが寝てからだと斎藤に合図を送った。
「一昨日だ。伊東さんの指示で俺はここに来た。それから方々へ連絡をして戻る手筈も整えた」
戻る手筈とは新選組に復隊する為の策。
夢主は頭の中で必死に考えた。
……油小路の変、確か斎藤さんが御陵衛士を出てから一週間くらい後だった気が……原田さんと永倉さんが来るのは確か……なんとか、藤堂さんを……
「おい、手が止まってるぞ」
「ごめんなさい……」
斎藤が盃を差し出したにも関わらず、夢主は徳利を両手で持ったまま考え込んでいた。
その考えが伊東と藤堂の一件と嫌でも分かる斎藤は比古に目配せをした。
……いざという時は、頼む……
比古も夢主の身を守る事に異存は無い。
出歩けない斎藤の代わりは務めるつもりだ。
任せておけと、斎藤の真意を忖度し頷いた。
夢主はまたも声を掛けなければ酌をしないほど上の空であった。
「ひゃぁっ!」
ぼんやりと心を余所にやっている夢主を揶揄って、斎藤は背後から肩でも抱くように体を張り付けた。
「余所見ばかりしてるお前が悪い……髪が伸びたな」
「はっ、はぃ……少しは……まだまだ前に比べると短いですが……あのっ」
「どうした」
「は、離れてください……恥ずかしいですっ……」
いつもより大きく大袈裟に衣紋を抜いている。うなじの下の背中まで白い肌が覗いていた。
元より夢主が首筋に反応を示すのを知っている斎藤は、悪戯に首筋から背に掛けて息を吐きかけた。
「ゎあぁっ、あの、本当に酔ってるんだと思います、斎藤さんっ」
体をひねって肩越しに現れた斎藤の顔を遠ざけようとするが、顔に触れられず夢主は固まってしまった。
手をそのまま宙に浮かせ、顔を染めて背けるしか出来ない。
それをいいことに、斎藤は唇が触れそうなほど夢主のうなじに近付いて呼吸を繰り返した。
酒で体温が上がっているのか、熱い息が何度も肌をくすぐる。
「ぁっ……もっ、くすぐったいです……恥ずかしい……こういうことしないって、だから新津さんも一緒なんでしょう……」
肌で感じる斎藤の息遣い、夢主は肩を小さく震わせて体を捩った。
「そうだったな、焦れったいことは無しだったか……俺も暇すぎて退屈だったもんでな、すまんなつい」
「たっ……退屈凌ぎに、揶揄わないでください、本当に人が悪いんだから……」
「その格好いいな。いつかまたして見せろ。もういいとなった時にでも」
「えっ」
「おっと、失言だったか」
もういい時とは……体を許してもいいとなった時……
夢主はその時を想像してしまい、襦袢に負けないほど赤く色付いた。
「もぅ!お酌しませんっ、先に……寝ますっ!!」
徳利を膳に戻すと、夢主は拗ねて一人床に入ってしまった。
「ははっ、やりすぎたな斎藤」
「フン、付き合いの悪い女だ」
「あんな格好して酌してくれるんだ、付き合いの良すぎる女だぜ。だが、丁度良い。もう少しお前に聞きたいことがあったんだよ」
「俺に」
「あぁ」
比古は夢主の入った部屋に目を向け、こいつが寝てからだと斎藤に合図を送った。