11.祝杯
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「茶ではなく酒をと言ったのを覚えているか」
二人で縁側に座った夜、あの時の呟きを実現してくれたのだ。
約束では無かったが斎藤は叶えてくれたのだ。
「ぁ……ありがとうございます」
「お前、酒は呑めるか」
斎藤の問いに夢主は「えぇと……」と首を傾げた。
「記憶が無い……か。まぁ呑んでみれば分かるだろう」
「は、はぃ……」
戸惑いはあるが、憧れた二人と酒を楽しめるのは嬉しい。
夢のような誘いに夢主は、はにかんで頷いた。
「大丈夫ですよ、酔っちゃっても僕達が介抱してあげますから。お布団そこだし、斎藤さんが変な気起こしたら僕が斬っちゃいますから、大丈夫ですよ!」
からからと笑いながら厳しい冗談を言う沖田だが、実際に刀を持参していたので、夢主は笑えなかった。
「あの……沖田さん……」
「大丈夫ですよ、冗談です、冗談!あはは」
「フン、沖田君はもう酔っているんじゃないか」
斎藤が早くも手酌で呑もうと徳利と猪口を手にした。
夢主は慌てて身を乗り出し、徳利をひとつ手に取った。
「あ、あたしがお酌します」
「フン、気にするな。ここの連中は俺を含めてみんな手酌で呑むのに慣れている」
そう言ったものの、斎藤は持っている猪口を夢主に差し出した。
「折角だから、一杯頂こうか」
「は、はぃ」
猪口の向こうの視線に胸がドキリと弾み、声が上ずった。酒を酌む距離の近さに気付いてしまう。
酒を溢さないよう、手を震わせまいと息を止めてしまう自分がいた。
徳利を傾けるだけで緊張してしまう夢主を斎藤は鋭い目を緩めて見守っていた。
「あーー斎藤さんずるい!僕もお願いしますね」
にっこり笑う沖田も猪口を手にし、酒を受けた。
「夢主ちゃんのは僕が注いであげますよ」
「ぁ、そんな……大丈夫です自分で……」
「ふふ~そんな事、言いっこなしですよ!」
そう言うと徳利を奪い、小さな手に猪口を持たせようとグイと押しつけた。
「あ、ありがとうございます……じゃぁ折角なので……」
お言葉に甘えてと、両手で沖田の前にお猪口を差し出した。
斎藤は一人で先に呑み始めている。
「ぉっとっと…………」
「ぁっ…………」
人に注ぎ慣れない沖田は僅かながら酒を溢れさせてしまった。
夢主は咄嗟に手を引き寄せて垂れた酒に唇を添わせた。
その仕草に沖田は酒も入っていないのに頬を染めた。
「だ、大丈夫ですか、すみません……」
「いぇ」
沖田に安心してもらおうと笑顔を返した。
ほんの少し舌に触れただけだが、日本酒に慣れていないのか、口の中が熱くなる。
夢主は零れた酒と申し訳なさそうな沖田に気を取られ、斎藤が余さず一連の仕草を見つめていた事には気付かなかった。
二人で縁側に座った夜、あの時の呟きを実現してくれたのだ。
約束では無かったが斎藤は叶えてくれたのだ。
「ぁ……ありがとうございます」
「お前、酒は呑めるか」
斎藤の問いに夢主は「えぇと……」と首を傾げた。
「記憶が無い……か。まぁ呑んでみれば分かるだろう」
「は、はぃ……」
戸惑いはあるが、憧れた二人と酒を楽しめるのは嬉しい。
夢のような誘いに夢主は、はにかんで頷いた。
「大丈夫ですよ、酔っちゃっても僕達が介抱してあげますから。お布団そこだし、斎藤さんが変な気起こしたら僕が斬っちゃいますから、大丈夫ですよ!」
からからと笑いながら厳しい冗談を言う沖田だが、実際に刀を持参していたので、夢主は笑えなかった。
「あの……沖田さん……」
「大丈夫ですよ、冗談です、冗談!あはは」
「フン、沖田君はもう酔っているんじゃないか」
斎藤が早くも手酌で呑もうと徳利と猪口を手にした。
夢主は慌てて身を乗り出し、徳利をひとつ手に取った。
「あ、あたしがお酌します」
「フン、気にするな。ここの連中は俺を含めてみんな手酌で呑むのに慣れている」
そう言ったものの、斎藤は持っている猪口を夢主に差し出した。
「折角だから、一杯頂こうか」
「は、はぃ」
猪口の向こうの視線に胸がドキリと弾み、声が上ずった。酒を酌む距離の近さに気付いてしまう。
酒を溢さないよう、手を震わせまいと息を止めてしまう自分がいた。
徳利を傾けるだけで緊張してしまう夢主を斎藤は鋭い目を緩めて見守っていた。
「あーー斎藤さんずるい!僕もお願いしますね」
にっこり笑う沖田も猪口を手にし、酒を受けた。
「夢主ちゃんのは僕が注いであげますよ」
「ぁ、そんな……大丈夫です自分で……」
「ふふ~そんな事、言いっこなしですよ!」
そう言うと徳利を奪い、小さな手に猪口を持たせようとグイと押しつけた。
「あ、ありがとうございます……じゃぁ折角なので……」
お言葉に甘えてと、両手で沖田の前にお猪口を差し出した。
斎藤は一人で先に呑み始めている。
「ぉっとっと…………」
「ぁっ…………」
人に注ぎ慣れない沖田は僅かながら酒を溢れさせてしまった。
夢主は咄嗟に手を引き寄せて垂れた酒に唇を添わせた。
その仕草に沖田は酒も入っていないのに頬を染めた。
「だ、大丈夫ですか、すみません……」
「いぇ」
沖田に安心してもらおうと笑顔を返した。
ほんの少し舌に触れただけだが、日本酒に慣れていないのか、口の中が熱くなる。
夢主は零れた酒と申し訳なさそうな沖田に気を取られ、斎藤が余さず一連の仕草を見つめていた事には気付かなかった。