96.橙の祇園
夢主名前設定
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比古の山小屋では、完成した陶器達が窯から取り出され並べられていた。
「凄い!比古師匠さすがですね、本当に綺麗……」
比古の作り上げた器達は決して派手ではないが、作り手の気質を表し、凜とした姿で目を惹くものがある。
つい手を伸ばして取りたくなるのが不思議だ。
「お前のも無事に焼けたようだぞ」
「あっ、本当だ……」
並べられた夢主の作品、釉薬に小さなひびが入っている物もあるが、どれも綺麗に焼き上がっていた。
「嬉しい……大切にします」
「斎藤に渡したいんだったな」
「はい。あの……」
「んっ」
並べられた中から一つの花びらを取り比古に差し出した。
「比古師匠にも……大事な作品を頂きましたし、こんなにお世話にもなって……だから、宜しければ受け取ってください」
「そうか、ならば遠慮なく。……いい色だ、優しい色だな」
大きな手に花びらの陶器を受け取ると比古は嬉しそうに夢主に微笑んだ。
「煤まみれになったな……おい、一緒に水浴びに行くか」
「はい」
襦袢で水に入れば良いと気付いてからは、何度か比古と水浴びをしていた。
比古は気ままに水の深い場所へ浸かったり、時に滝つぼに体を沈めたりするのだ。
夢主は足の届く場所で汗を流すので、二人は同じ場所に留まらず、気を使わずに水浴びを楽しめる。
「その桜の陶器、大事にしまっておけ。着替えを用意してやろう」
夢主の少ない荷物を覗き着替えを探す比古。
ふと目を留めた。
「お前の荷物は少ないが、意味深なものが多いな」
「えっ……意味深ですかっ」
「甘い香の漏れている白い包みに、大事そうに……これは手紙か。それに……この紙は何か挟んであるな」
「あぁっ!!」
どれも夢主の秘密とも言える品々だ。
慌てて声を出すと、比古は笑いながら着替えだけを取り出した。
「ははっ、分かったよ。大事な物なんだな。触らないから安心しろ。恋文は少々気になる所だがな」
「こっ、恋文じゃありませんからっ!大切な……文ですけど……」
「どうした」
「いえ……そう言えば頂いた文、読めずにいた一文があったのを忘れていて……あれから随分学んだので読めるようになってるかな……と……」
「開いてみたらどうだ」
どうすべきか、夢主は決め兼ねて比古を見上げた。
「おいおい、お前が決める事だろう」
「はい、見たいような……大事に取っておきたいような……」
「贅沢な悩みだな」
「へへっ……」
「一先ず水浴びしながら考えるんだな。たまにはお前も崖の上から飛び込んだらどうだ、爽快だぞ」
「いえっ、無理です!」
「抱えて一緒に飛び込んでやろうか」
「むっ、無理ですよ!それこそ出来ませんっ!」
「そこまで否定する事はなかろう」
赤ら顔で必死に拒否する夢主に、比古は苦虫を噛み潰したような顔を見せた。
「凄い!比古師匠さすがですね、本当に綺麗……」
比古の作り上げた器達は決して派手ではないが、作り手の気質を表し、凜とした姿で目を惹くものがある。
つい手を伸ばして取りたくなるのが不思議だ。
「お前のも無事に焼けたようだぞ」
「あっ、本当だ……」
並べられた夢主の作品、釉薬に小さなひびが入っている物もあるが、どれも綺麗に焼き上がっていた。
「嬉しい……大切にします」
「斎藤に渡したいんだったな」
「はい。あの……」
「んっ」
並べられた中から一つの花びらを取り比古に差し出した。
「比古師匠にも……大事な作品を頂きましたし、こんなにお世話にもなって……だから、宜しければ受け取ってください」
「そうか、ならば遠慮なく。……いい色だ、優しい色だな」
大きな手に花びらの陶器を受け取ると比古は嬉しそうに夢主に微笑んだ。
「煤まみれになったな……おい、一緒に水浴びに行くか」
「はい」
襦袢で水に入れば良いと気付いてからは、何度か比古と水浴びをしていた。
比古は気ままに水の深い場所へ浸かったり、時に滝つぼに体を沈めたりするのだ。
夢主は足の届く場所で汗を流すので、二人は同じ場所に留まらず、気を使わずに水浴びを楽しめる。
「その桜の陶器、大事にしまっておけ。着替えを用意してやろう」
夢主の少ない荷物を覗き着替えを探す比古。
ふと目を留めた。
「お前の荷物は少ないが、意味深なものが多いな」
「えっ……意味深ですかっ」
「甘い香の漏れている白い包みに、大事そうに……これは手紙か。それに……この紙は何か挟んであるな」
「あぁっ!!」
どれも夢主の秘密とも言える品々だ。
慌てて声を出すと、比古は笑いながら着替えだけを取り出した。
「ははっ、分かったよ。大事な物なんだな。触らないから安心しろ。恋文は少々気になる所だがな」
「こっ、恋文じゃありませんからっ!大切な……文ですけど……」
「どうした」
「いえ……そう言えば頂いた文、読めずにいた一文があったのを忘れていて……あれから随分学んだので読めるようになってるかな……と……」
「開いてみたらどうだ」
どうすべきか、夢主は決め兼ねて比古を見上げた。
「おいおい、お前が決める事だろう」
「はい、見たいような……大事に取っておきたいような……」
「贅沢な悩みだな」
「へへっ……」
「一先ず水浴びしながら考えるんだな。たまにはお前も崖の上から飛び込んだらどうだ、爽快だぞ」
「いえっ、無理です!」
「抱えて一緒に飛び込んでやろうか」
「むっ、無理ですよ!それこそ出来ませんっ!」
「そこまで否定する事はなかろう」
赤ら顔で必死に拒否する夢主に、比古は苦虫を噛み潰したような顔を見せた。