10.誕生、新選組
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「お前、俺が嫌いか」
「へっ」
唐突な質問に夢主は妙な声で答えてしまった。
「えぇと……その……」
困っていると土方が「くっくっく」と笑い出した。
声を抑えても肩が大きく揺れ、込み上げる笑いの強さが良く分かる。
「お前ぇも素直な奴だなぁ!嘘でも嫌いじゃないとか言えばいいもんを。ま、そんなてめぇが俺は嫌いじゃないぜ!」
土方は気まずそうな夢主を見据え、ニヤニヤと笑いながら続ける。
「お前の話だがな、真になった。俺達は新選組になったんだよ」
夢主はハッと目を見開いた。
その時が来た。歴史が動き出したのだ。
「すまなかったな。お前の事、信じるぜ」
真顔に戻った土方は、落ち着いた声で素直に謝った。
「正直に言おう。お前の持っている情報が欲しい!」
土方は堂々と胸を張って告げた。
斎藤も沖田は顔を見合わせた。まさか本人に告げるとは思っていなかったからだ。
「だが俺の事は信用してねぇだろう。だったら、こいつら二人に何かあれば話してくれ。それで構わん」
思わぬ提案に夢主は度肝を抜かれた。
もっと姑息に策を講じてくると思っていたのだ。それが土方だと思っていた。
「土方さん……」
「俺はこいつらを信頼している。お前もだろう。だったらそれでいい。総司、斎藤、こいつの事はお前達に委ねる」
情報以外に於いても……その意味も含まれていた。
自分は新選組の仕事に集中する。今はそれが最良だと土方は考えた。たとえ心が惹かれていようとも……。
「……ちょっとだけいいか」
男二人に向かい、今度は先程と逆に手を外に向け、ひらひらと動かした。
席を外してくれという意味だ。
「安心しろ、何もしねぇしすぐ終わる。障子のそばで待ってて構わねぇから、」
頼む、と言いたげな真面目な目をしている。
既に腰を上げた斎藤に続き、仕方なく沖田も従った。何かが起きる空気では無かった。
二人が出て行くと、土方は夢主に向き直った。
そして、胡坐のままではあるが、夢主に頭を下げた。
「ぇ……」
「…………すまなかった」
理由は分かるが、夢主は困惑した。
土方は頭を下げたまま動かない。
「ぁ……あの……」
夢主はどう言葉を掛ければ良いか分からず、頭が上がるのを待った。
暫く経ち、ふっと顔が上がると、土方はいつもの悪戯顔に戻っていた。そして悪びれもなく言った。
「すまなかったなぁ、乱暴に抱いちまってよぉ」
「なっ!!」
反省したかと思えばこの言葉、夢主は顔を真っ赤にして怒った。
戸惑いもどこへやら、怒りで体が震えるかと思うくらいだ。
その反応を楽しむように、土方はそっと近付いて囁いた。耳に息が掛かりそうな近さだ。
「今度、思いっきり優しく抱いてやるからよ、それで許せよ」
「!!!」
耳まで真っ赤になった夢主が叫んだ。
「土方さんっっ!!!もぉーーーー!!!」
中から聞こえてくる夢主の恥ずかしさに満ちた叫び声と土方の大笑いする声に、斎藤と沖田も部屋に戻ってきた。
「もぉおおお!!土方さんの事、一瞬でも見直して後悔しました!!優しい人かもとか思うんじゃなかったです!!!」
ぷんぷんと聞こえてきそうなまでに怒った夢主は、そのまま部屋を出て行ってしまった。
その姿を土方は満足そうに腹を抱えて笑った。
「土方さん……」
斎藤と沖田は冷や汗を見せて夢主を追った。
わざと道化を演じているのか、そう思うほど滑稽な姿だった。
「へっ」
唐突な質問に夢主は妙な声で答えてしまった。
「えぇと……その……」
困っていると土方が「くっくっく」と笑い出した。
声を抑えても肩が大きく揺れ、込み上げる笑いの強さが良く分かる。
「お前ぇも素直な奴だなぁ!嘘でも嫌いじゃないとか言えばいいもんを。ま、そんなてめぇが俺は嫌いじゃないぜ!」
土方は気まずそうな夢主を見据え、ニヤニヤと笑いながら続ける。
「お前の話だがな、真になった。俺達は新選組になったんだよ」
夢主はハッと目を見開いた。
その時が来た。歴史が動き出したのだ。
「すまなかったな。お前の事、信じるぜ」
真顔に戻った土方は、落ち着いた声で素直に謝った。
「正直に言おう。お前の持っている情報が欲しい!」
土方は堂々と胸を張って告げた。
斎藤も沖田は顔を見合わせた。まさか本人に告げるとは思っていなかったからだ。
「だが俺の事は信用してねぇだろう。だったら、こいつら二人に何かあれば話してくれ。それで構わん」
思わぬ提案に夢主は度肝を抜かれた。
もっと姑息に策を講じてくると思っていたのだ。それが土方だと思っていた。
「土方さん……」
「俺はこいつらを信頼している。お前もだろう。だったらそれでいい。総司、斎藤、こいつの事はお前達に委ねる」
情報以外に於いても……その意味も含まれていた。
自分は新選組の仕事に集中する。今はそれが最良だと土方は考えた。たとえ心が惹かれていようとも……。
「……ちょっとだけいいか」
男二人に向かい、今度は先程と逆に手を外に向け、ひらひらと動かした。
席を外してくれという意味だ。
「安心しろ、何もしねぇしすぐ終わる。障子のそばで待ってて構わねぇから、」
頼む、と言いたげな真面目な目をしている。
既に腰を上げた斎藤に続き、仕方なく沖田も従った。何かが起きる空気では無かった。
二人が出て行くと、土方は夢主に向き直った。
そして、胡坐のままではあるが、夢主に頭を下げた。
「ぇ……」
「…………すまなかった」
理由は分かるが、夢主は困惑した。
土方は頭を下げたまま動かない。
「ぁ……あの……」
夢主はどう言葉を掛ければ良いか分からず、頭が上がるのを待った。
暫く経ち、ふっと顔が上がると、土方はいつもの悪戯顔に戻っていた。そして悪びれもなく言った。
「すまなかったなぁ、乱暴に抱いちまってよぉ」
「なっ!!」
反省したかと思えばこの言葉、夢主は顔を真っ赤にして怒った。
戸惑いもどこへやら、怒りで体が震えるかと思うくらいだ。
その反応を楽しむように、土方はそっと近付いて囁いた。耳に息が掛かりそうな近さだ。
「今度、思いっきり優しく抱いてやるからよ、それで許せよ」
「!!!」
耳まで真っ赤になった夢主が叫んだ。
「土方さんっっ!!!もぉーーーー!!!」
中から聞こえてくる夢主の恥ずかしさに満ちた叫び声と土方の大笑いする声に、斎藤と沖田も部屋に戻ってきた。
「もぉおおお!!土方さんの事、一瞬でも見直して後悔しました!!優しい人かもとか思うんじゃなかったです!!!」
ぷんぷんと聞こえてきそうなまでに怒った夢主は、そのまま部屋を出て行ってしまった。
その姿を土方は満足そうに腹を抱えて笑った。
「土方さん……」
斎藤と沖田は冷や汗を見せて夢主を追った。
わざと道化を演じているのか、そう思うほど滑稽な姿だった。