10.誕生、新選組
夢主名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
話が終わり幹部達が腰を上げ散会し始める。
部屋を出る直前、斎藤と沖田が土方の表情を確認しようと返り見た時、土方がおもむろに人差し指をくいくいと曲げた。
……残れ……
無言の合図だ。
他の幹部達に続き共に出て行く素振りをしたが、二人はそのまま部屋に留まり、促されるようにもう一度座った。
「お前ら、あいつからの信頼を得ているだろう」
幹部の面々の中では確かにそうだ。
斎藤と沖田は顔を見合わせた後、小さく頷いた。
「確かに。それで何を」
「あいつから情報を聞き出せ。何でもいい。それを報告してくれないか」
「なっ、」
「どうせあいつ俺には何も話しやしないだろうからな」
「そんな事っ」
「分かりました。我々は新選組の為、忠義の為、自らの正義の為に全力を尽くすのみ」
沖田が反論しようとするが、斎藤はそれを制して了承した。
斎藤には引き受けない理由がない。
「そうか。頼んだぞ」
確かに頼んだぞと斎藤に念押しして、次に夢主を呼ぶよう伝えた。
出て行った斎藤の戻りを待つ間、沖田は何とも言えない顔で土方を見据えていた。
「そぅ怒るなよ総司。別にあいつを悪いようにしようってんじゃ無いんだ。ただ情報は欲しい。戦はいつだって情報だ」
事実、土方は諜報活動に隊の資金を多く投じていき、それが功を奏するのである。
浪士の動き、公家連中の思惑、情報を集める為には金が掛かるのだ。
「お前だって忠義や正義の為に刀を振るうべく、ここにいるんだろう」
「確かにそうですが……」
沖田は夢主を戦いに巻き込むのを恐れていた。情報の為に否が応でも動乱に巻き込まれてしまうのか。
間もなく斎藤が夢主を連れて戻ってきた。
「失礼します。あの、土方さん……」
夢主の手には土方が預けた羽織があった。
「渡しそびれていたのでこちらを……遅くなりました」
綺麗に畳んだ羽織をそっと手渡した。
満足してくれるだろうか、気に障る事が無ければ良いが、夢主は不安そうに羽織を開く土方を見つめた。
「おぉ……」
土方は広げて確かめ、感心して声を漏らした。
傷んだ箇所は丁寧に直され、幾つかは傷があった事すら分からないほど綺麗に直されていた。
「大したもんだな。礼を言うぜ」
「いぇ……」
夢主は喜ぶ姿に安心して、静かに頭を下げた。
「所でだ。お前に言っておく事がある」
「はぃ……」
斎藤と沖田が見つめる中、二人の話が始まった。
部屋を出る直前、斎藤と沖田が土方の表情を確認しようと返り見た時、土方がおもむろに人差し指をくいくいと曲げた。
……残れ……
無言の合図だ。
他の幹部達に続き共に出て行く素振りをしたが、二人はそのまま部屋に留まり、促されるようにもう一度座った。
「お前ら、あいつからの信頼を得ているだろう」
幹部の面々の中では確かにそうだ。
斎藤と沖田は顔を見合わせた後、小さく頷いた。
「確かに。それで何を」
「あいつから情報を聞き出せ。何でもいい。それを報告してくれないか」
「なっ、」
「どうせあいつ俺には何も話しやしないだろうからな」
「そんな事っ」
「分かりました。我々は新選組の為、忠義の為、自らの正義の為に全力を尽くすのみ」
沖田が反論しようとするが、斎藤はそれを制して了承した。
斎藤には引き受けない理由がない。
「そうか。頼んだぞ」
確かに頼んだぞと斎藤に念押しして、次に夢主を呼ぶよう伝えた。
出て行った斎藤の戻りを待つ間、沖田は何とも言えない顔で土方を見据えていた。
「そぅ怒るなよ総司。別にあいつを悪いようにしようってんじゃ無いんだ。ただ情報は欲しい。戦はいつだって情報だ」
事実、土方は諜報活動に隊の資金を多く投じていき、それが功を奏するのである。
浪士の動き、公家連中の思惑、情報を集める為には金が掛かるのだ。
「お前だって忠義や正義の為に刀を振るうべく、ここにいるんだろう」
「確かにそうですが……」
沖田は夢主を戦いに巻き込むのを恐れていた。情報の為に否が応でも動乱に巻き込まれてしまうのか。
間もなく斎藤が夢主を連れて戻ってきた。
「失礼します。あの、土方さん……」
夢主の手には土方が預けた羽織があった。
「渡しそびれていたのでこちらを……遅くなりました」
綺麗に畳んだ羽織をそっと手渡した。
満足してくれるだろうか、気に障る事が無ければ良いが、夢主は不安そうに羽織を開く土方を見つめた。
「おぉ……」
土方は広げて確かめ、感心して声を漏らした。
傷んだ箇所は丁寧に直され、幾つかは傷があった事すら分からないほど綺麗に直されていた。
「大したもんだな。礼を言うぜ」
「いぇ……」
夢主は喜ぶ姿に安心して、静かに頭を下げた。
「所でだ。お前に言っておく事がある」
「はぃ……」
斎藤と沖田が見つめる中、二人の話が始まった。