91.心構え
夢主名前設定
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声の中心にいたのは意外にも原田であった。
男達が原田の周りを囲むように集まっている。
背の高い原田の顔は夢主からも見え、楽しそうな顔を見ながら近寄って行くと、やがて目が合った。
「おぉっ、夢主!ちょうど良い時に戻ってきたな!こっち来いよ」
原田に誘われ、何事か想像が付かぬまま隊士達の円の中に加わると、男達が似合わぬ可愛らしい声を出している理由に合点がいった。
「あぁっ、可愛い……赤ちゃん、原田さんのお子さんですか」
「あぁ、茂って言うんだぜ、俺に似た立派な体をしてるだろう!こいつは立派な武士になるに違いねぇ」
「ふふっ、そうですね」
原田の逞しい腕の中で、愛くるしい瞳の赤子が無邪気に笑顔を振りまいていた。
短い腕を目一杯に広げ、何かを探すようにぱたぱたと両腕を振っている。
「おっ、お前に抱かれてぇんじゃねぇか」
「えっ」
赤ん坊の小さな手が夢主に向けられていた。
原田が自分の子を差し出そうとするので、夢主は驚いて手の平を見せた。
断ろうとするが原田は強引に腕を寄せてくる。
「無理ですっ、私赤ちゃんなんて抱いたこと……」
覚えている限り、赤ん坊を抱いたりあやした記憶が無く、小さな体に戸惑いを感じた。
原田に似たのか小さいながらも確かに手足はむっくりと太く男の子らしい骨太さを感じる。
それでも、ちょっとした拍子に体を傷付けてしまうのでは、落としては大変と、触れたことのない赤ん坊を抱くのを躊躇した。
「大丈夫だぜっ、ほら」
「あ……」
そっと託された小さなその赤ん坊は、にこにことご機嫌に辺りを見回し、夢主の顔を見つけると父親譲りの温かい笑顔を向けた。
「わぁ……」
夢主が感激していると赤ん坊は「アハアハ」と愛くるしい声を上げひとしきり笑った後、落ち着くと今度は夢主にしがみつくよう着物を握り締めてきた。
口をぱくぱく動かして小さく首を動かしている。
「どうしたのかな……お口動かして」
「あぁこれはな……ちょっと貸してみろ」
再び原田の手に戻ると、赤ん坊はうっぅっと小さな声でぐずり始めた。
「わっ、私のせいでしょうか……ご機嫌だったのに」
「ははっ違うんだよ、こいつはなぁ……ま、腹が減ったってとこだな!ちょうどいい頃合だし一旦俺は家に戻るとするさ。またな、坊と遊んでくれてありがとうよ!」
「いぇ、こちらこそありがとうございます。お気をつけて……」
周りの隊士達に挨拶をすると、原田は赤ん坊を抱え「高い高い!」とあやしながら歩いて行った。
「可愛かったですね……」
「えぇ。夢主ちゃんは子供が好きなんですか」
「いえ……正直ついさっきまで好きか嫌いかも考えたことがありませんでした。でも原田さんの赤ちゃんを見ていたら……可愛いなって、ふふっ」
「本当に可愛かったですね、僕は子供大好きだなぁ~」
「でしょうね、壬生でもたくさん遊んであげていましたもんね」
「そうなんです!とっても楽しかったなぁ、今でもたまに行くんですけどね。さすがに減っちゃったな」
「きっと沖田さんが来るのを楽しみにしていますよ」
「そうかな……だと嬉しいな」
夢主と沖田は原田の赤ん坊の愛らしさにすっかり緩んだ顔で部屋へ戻った。
男達が原田の周りを囲むように集まっている。
背の高い原田の顔は夢主からも見え、楽しそうな顔を見ながら近寄って行くと、やがて目が合った。
「おぉっ、夢主!ちょうど良い時に戻ってきたな!こっち来いよ」
原田に誘われ、何事か想像が付かぬまま隊士達の円の中に加わると、男達が似合わぬ可愛らしい声を出している理由に合点がいった。
「あぁっ、可愛い……赤ちゃん、原田さんのお子さんですか」
「あぁ、茂って言うんだぜ、俺に似た立派な体をしてるだろう!こいつは立派な武士になるに違いねぇ」
「ふふっ、そうですね」
原田の逞しい腕の中で、愛くるしい瞳の赤子が無邪気に笑顔を振りまいていた。
短い腕を目一杯に広げ、何かを探すようにぱたぱたと両腕を振っている。
「おっ、お前に抱かれてぇんじゃねぇか」
「えっ」
赤ん坊の小さな手が夢主に向けられていた。
原田が自分の子を差し出そうとするので、夢主は驚いて手の平を見せた。
断ろうとするが原田は強引に腕を寄せてくる。
「無理ですっ、私赤ちゃんなんて抱いたこと……」
覚えている限り、赤ん坊を抱いたりあやした記憶が無く、小さな体に戸惑いを感じた。
原田に似たのか小さいながらも確かに手足はむっくりと太く男の子らしい骨太さを感じる。
それでも、ちょっとした拍子に体を傷付けてしまうのでは、落としては大変と、触れたことのない赤ん坊を抱くのを躊躇した。
「大丈夫だぜっ、ほら」
「あ……」
そっと託された小さなその赤ん坊は、にこにことご機嫌に辺りを見回し、夢主の顔を見つけると父親譲りの温かい笑顔を向けた。
「わぁ……」
夢主が感激していると赤ん坊は「アハアハ」と愛くるしい声を上げひとしきり笑った後、落ち着くと今度は夢主にしがみつくよう着物を握り締めてきた。
口をぱくぱく動かして小さく首を動かしている。
「どうしたのかな……お口動かして」
「あぁこれはな……ちょっと貸してみろ」
再び原田の手に戻ると、赤ん坊はうっぅっと小さな声でぐずり始めた。
「わっ、私のせいでしょうか……ご機嫌だったのに」
「ははっ違うんだよ、こいつはなぁ……ま、腹が減ったってとこだな!ちょうどいい頃合だし一旦俺は家に戻るとするさ。またな、坊と遊んでくれてありがとうよ!」
「いぇ、こちらこそありがとうございます。お気をつけて……」
周りの隊士達に挨拶をすると、原田は赤ん坊を抱え「高い高い!」とあやしながら歩いて行った。
「可愛かったですね……」
「えぇ。夢主ちゃんは子供が好きなんですか」
「いえ……正直ついさっきまで好きか嫌いかも考えたことがありませんでした。でも原田さんの赤ちゃんを見ていたら……可愛いなって、ふふっ」
「本当に可愛かったですね、僕は子供大好きだなぁ~」
「でしょうね、壬生でもたくさん遊んであげていましたもんね」
「そうなんです!とっても楽しかったなぁ、今でもたまに行くんですけどね。さすがに減っちゃったな」
「きっと沖田さんが来るのを楽しみにしていますよ」
「そうかな……だと嬉しいな」
夢主と沖田は原田の赤ん坊の愛らしさにすっかり緩んだ顔で部屋へ戻った。