89.熱燗の熱
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「ほんとぅに……いつものぉさけれすか……」
「そうですよ、参ったな……一杯で駄目でしたか」
へへーっと緩んだ声を聞かせる夢主を、斎藤と沖田はやれやれと笑った。
「不思議なものだ、寒い日の熱燗は体に染みやすいのか、俺も確かに違う気がするぜ。今日のは弱い酒で燗につけてあるから平気だが」
「普段のお酒の熱いのは駄目でしたか、斎藤さんが熱燗呑んでるのなんて見たことありませんけど」
「あぁ一度だけ呑んだんだよ。昨年の暮れだったか、君が近藤さん達と一緒にいた時か」
「へぇ……それは知らなかったなぁ……」
いつもと変わらぬ微笑で斎藤を一瞥する沖田だが、見られた側は視線にある棘が痛いほど伝わった。
「わざわざ言う必要も無かろう、呑んだ物の報告など」
「そうですね、何も無かったのでしょうから、必要はありませんね」
「そうだ何も無かったんだよ。それにしても……おい、起きてるのか」
刺々しく言葉を返す沖田をさておいて、斎藤は夢主に呼び掛けた。
最初の一杯を呑み干して座ったまま目を閉じている。声を強めても呼んでも小さく頷くだけだ。
「やれやれ、酒に強くなるどころか」
「まぁ斎藤さんの言った通り寒い日の熱燗でやられているだけかもしれませんよ。夢主ちゃ~ん、起きてますかぁー」
沖田は夢主の顔前で手をひらひら動かしてみた。反応が全く無い。
目を閉じていても気配を感じれば動きがあると思ったが無反応。沖田は「どうしましょう」と笑った。
「放っておけ、そのうち目を開けるか倒れるだろう」
「布団に運ばなくていいのかなぁ……」
「構うか、まだ明るいしそのうち我に返るさ」
「まぁそうですねぇ……でも冬の日は短いですからね、気が付く頃には夕方かも……」
夢主の様子を見ながら酒を進めていると、あっという間に用意した酒はなくなってしまった。
「もっと呑みたいですねぇ」
「そうだな、誰かに持ってこさせるか」
「えぇ、誰かに声を掛けてこようかな。どんどん持ってきてくださいと、ははっ」
沖田はまだ日があるのにすっかり宴会気分の自分を笑い、廊下に出て小姓でも歩いていないかと辺りを見回した。
「ちょっと行ってきますね」
「すまんな」
手の空いていそうな者を見つけた沖田が小走りで去って行くと、斎藤は再び夢主に呼び掛けた。
「おい、夢主」
「……はぁい」
返事が返ってくるとは思わなかった斎藤は不意をつかれやや驚いたが、返事したきり反応は無くなった。
「起きているのか、話を聞いていたのか」
「……ほんとーに・・・いつもの……おさけなんれしょうか……」
ゆらりと首を横に倒し、薄目を開けて話す夢主に斎藤は呆れ顔をした。
「そうだろう、お前の酒で間違いと思うがな。おい、顔を起こせ。俺の首までつられちまう」
「ふふっ……だぁって……あたまがおもくて……」
「おいおい」
ぐいっと体を傾ける夢主に斎藤もつられ首を小さく傾げた。
「大人しく寝たらどうだ」
「そういふわけには……ぃきません……」
布団を勧められた途端に夢主が体を起こし座りを正した。
眠りたくは無いのかと、斎藤が眉をひそめ見ていると沖田が戻ってきた。
「そうですよ、参ったな……一杯で駄目でしたか」
へへーっと緩んだ声を聞かせる夢主を、斎藤と沖田はやれやれと笑った。
「不思議なものだ、寒い日の熱燗は体に染みやすいのか、俺も確かに違う気がするぜ。今日のは弱い酒で燗につけてあるから平気だが」
「普段のお酒の熱いのは駄目でしたか、斎藤さんが熱燗呑んでるのなんて見たことありませんけど」
「あぁ一度だけ呑んだんだよ。昨年の暮れだったか、君が近藤さん達と一緒にいた時か」
「へぇ……それは知らなかったなぁ……」
いつもと変わらぬ微笑で斎藤を一瞥する沖田だが、見られた側は視線にある棘が痛いほど伝わった。
「わざわざ言う必要も無かろう、呑んだ物の報告など」
「そうですね、何も無かったのでしょうから、必要はありませんね」
「そうだ何も無かったんだよ。それにしても……おい、起きてるのか」
刺々しく言葉を返す沖田をさておいて、斎藤は夢主に呼び掛けた。
最初の一杯を呑み干して座ったまま目を閉じている。声を強めても呼んでも小さく頷くだけだ。
「やれやれ、酒に強くなるどころか」
「まぁ斎藤さんの言った通り寒い日の熱燗でやられているだけかもしれませんよ。夢主ちゃ~ん、起きてますかぁー」
沖田は夢主の顔前で手をひらひら動かしてみた。反応が全く無い。
目を閉じていても気配を感じれば動きがあると思ったが無反応。沖田は「どうしましょう」と笑った。
「放っておけ、そのうち目を開けるか倒れるだろう」
「布団に運ばなくていいのかなぁ……」
「構うか、まだ明るいしそのうち我に返るさ」
「まぁそうですねぇ……でも冬の日は短いですからね、気が付く頃には夕方かも……」
夢主の様子を見ながら酒を進めていると、あっという間に用意した酒はなくなってしまった。
「もっと呑みたいですねぇ」
「そうだな、誰かに持ってこさせるか」
「えぇ、誰かに声を掛けてこようかな。どんどん持ってきてくださいと、ははっ」
沖田はまだ日があるのにすっかり宴会気分の自分を笑い、廊下に出て小姓でも歩いていないかと辺りを見回した。
「ちょっと行ってきますね」
「すまんな」
手の空いていそうな者を見つけた沖田が小走りで去って行くと、斎藤は再び夢主に呼び掛けた。
「おい、夢主」
「……はぁい」
返事が返ってくるとは思わなかった斎藤は不意をつかれやや驚いたが、返事したきり反応は無くなった。
「起きているのか、話を聞いていたのか」
「……ほんとーに・・・いつもの……おさけなんれしょうか……」
ゆらりと首を横に倒し、薄目を開けて話す夢主に斎藤は呆れ顔をした。
「そうだろう、お前の酒で間違いと思うがな。おい、顔を起こせ。俺の首までつられちまう」
「ふふっ……だぁって……あたまがおもくて……」
「おいおい」
ぐいっと体を傾ける夢主に斎藤もつられ首を小さく傾げた。
「大人しく寝たらどうだ」
「そういふわけには……ぃきません……」
布団を勧められた途端に夢主が体を起こし座りを正した。
眠りたくは無いのかと、斎藤が眉をひそめ見ていると沖田が戻ってきた。