88.いつかの望み
夢主名前設定
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「新選組についてってことか。そりゃあもちろん知ってるし、理解してくれてるから夫婦になってくれたんだろうよ」
朗らかな笑顔で包み込むよう覗き見てくれる原田に夢主は苦笑いを返した。
「そうですよね……」
「どうした」
「私……見ちゃったんです、斎藤さんが人を斬るところを。あまりに突然で衝撃的だったので取り乱しちゃって……おまささんなら平気なのかもしれませんね、とてもしっかりなさっているとお聞きします……」
「ははっ、そうかい」
妻を褒められた原田は短く笑い、再び夢主の頭に手を置いた。
「なぁ、驚いたろう。正直俺はおまさに見て欲しくねぇよ、俺が人を殺すところなんて。だが見ちまったもんは仕方ねぇ、お前には辛かったな。斎藤が悪いわけでもないし、運が悪かったな……」
「そうですね……きっとそうなんです……わっ、原田さんっ」
「ほら、大丈夫だ。何も怖くねぇさ」
「は、はいっ」
原田はそう言いながら胸元に夢主を抱き寄せた。
広く開いた衿元、水を浴びたばかりの胸は既に温かかったが、とてもさらりとしている。
「俺も斎藤も怖くねぇぞ、だろ」
「はぃ……怖くなんか……ありません……原田さんも斎藤さんも優しくて……大好きです……」
自分と重ね斎藤への想いを口にする夢主を胸に抱く原田は、思わず腕に力を込めた。
伝えたくても伝えられない言葉を、自分に向けて心を満たす夢主が愛おしく思えた。
「はっ、原田さん痛いですっ……」
「おぉ、すまねぇ……大丈夫か」
腕を緩めて顔を覗き、くすりと溢れた声に安心し原田も微笑み返した。
「大丈夫さ、いつか本人にその気持ちが届く。気持ちはもう……届いてるんだったか」
「原田さん……」
「兄貴ぶったくせに放っておいてすまなかったな」
原田はちらりと視線を落として、気付かれないよう夢主の体の様子を確認した。
聞かされた哀しい話。全ては聞かされていない。訊ねたいが、原田は口を閉ざした。
忘れているなら、このまま恐れを思い出さず、消したほうが良い。
「大丈夫だからな」
大きく頷く夢主を見て原田はようやく体に回した腕を解いた。
「それでは私、あの……洗い物があるので……」
「あぁ、頑張れよ」
井戸のそばに置かれた洗い物を見て、原田は励ました。
夢主が井戸へ戻ると、離れて見ていた永倉が原田のもとへやって来た。
朗らかな笑顔で包み込むよう覗き見てくれる原田に夢主は苦笑いを返した。
「そうですよね……」
「どうした」
「私……見ちゃったんです、斎藤さんが人を斬るところを。あまりに突然で衝撃的だったので取り乱しちゃって……おまささんなら平気なのかもしれませんね、とてもしっかりなさっているとお聞きします……」
「ははっ、そうかい」
妻を褒められた原田は短く笑い、再び夢主の頭に手を置いた。
「なぁ、驚いたろう。正直俺はおまさに見て欲しくねぇよ、俺が人を殺すところなんて。だが見ちまったもんは仕方ねぇ、お前には辛かったな。斎藤が悪いわけでもないし、運が悪かったな……」
「そうですね……きっとそうなんです……わっ、原田さんっ」
「ほら、大丈夫だ。何も怖くねぇさ」
「は、はいっ」
原田はそう言いながら胸元に夢主を抱き寄せた。
広く開いた衿元、水を浴びたばかりの胸は既に温かかったが、とてもさらりとしている。
「俺も斎藤も怖くねぇぞ、だろ」
「はぃ……怖くなんか……ありません……原田さんも斎藤さんも優しくて……大好きです……」
自分と重ね斎藤への想いを口にする夢主を胸に抱く原田は、思わず腕に力を込めた。
伝えたくても伝えられない言葉を、自分に向けて心を満たす夢主が愛おしく思えた。
「はっ、原田さん痛いですっ……」
「おぉ、すまねぇ……大丈夫か」
腕を緩めて顔を覗き、くすりと溢れた声に安心し原田も微笑み返した。
「大丈夫さ、いつか本人にその気持ちが届く。気持ちはもう……届いてるんだったか」
「原田さん……」
「兄貴ぶったくせに放っておいてすまなかったな」
原田はちらりと視線を落として、気付かれないよう夢主の体の様子を確認した。
聞かされた哀しい話。全ては聞かされていない。訊ねたいが、原田は口を閉ざした。
忘れているなら、このまま恐れを思い出さず、消したほうが良い。
「大丈夫だからな」
大きく頷く夢主を見て原田はようやく体に回した腕を解いた。
「それでは私、あの……洗い物があるので……」
「あぁ、頑張れよ」
井戸のそばに置かれた洗い物を見て、原田は励ました。
夢主が井戸へ戻ると、離れて見ていた永倉が原田のもとへやって来た。