82.左の男
夢主名前設定
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「にしても斎藤さんはどちらへ?」
「か……厠に行くと……酷いんですよ!厠まで手伝えって揶揄ったんですからっ」
夢主がぼやくと、落ち着きを取り戻した沖田が再び大きな声で笑い出した。
「あははははっ!!斎藤さん流石にそれは酷いですねっ!くくくくっ、そんなことは僕がさせませんよっ、ははは!!」
「そうでしょう、そうですよ!そんな時は沖田さんが手を貸す番なんですよ!!」
「えぇええっ!!それは絶対にお断りです!小姓さんがいるでしょう」
夢主の提案を大きな声で拒絶すると、珍しく不満げに半目で夢主を睨みつけた。
「沖田さん怖いです……そうですね、小姓さんに頼んでくださいっ!沖田さんも怪我したら小姓さんにお世話してもらってくださいね!!」
「えぇっ、夢主ちゃん食べさせてくれないんですかっ!」
「ふふっ、怪我……しないでください」
真面目な声に戻った夢主は一番の本音を告げ、沖田はふざけるのをやめた。
「そう……そうですね。それが確かに一番だ」
静かに頷くと膳を持つ夢主の横を通り過ぎ沖田は部屋に入り、中から優しい声で話しかけた。
「僕はまた出かけますから、斎藤さんがまた変なこと言い出したら迷わず小姓さんに回してくださいね、夢主ちゃんがすることは無いんですから」
「はい……わかりました」
沖田の姿は見えないが頷いて返事をすると、新しい勝手場へ向かった。
片付けを済ませ部屋に戻ると、言葉通り沖田はいなくなっており、変わりに斎藤が戻っていた。
「斎藤さんっ」
恨めしそうに名を呼ぶ夢主を斎藤は座ったまま見上げた。
その様子から悪事がばれたと観念するが、冷静な面持ちは崩さなかった。
「斎藤さん、お箸は右……」
「あぁ、そうだったかな」
斎藤はとぼけた様子で目を逸らした。
「そうだったかなって!もぉ、わざとなんですよね」
「フッ、ばれちまったら仕方が無いな、まぁ座れ」
斎藤に促されそっと腰を下ろすが、ふくれっ面はおさまらなかった。
「そうふくれるな、お前に食わせてもらった飯はなかなか美味かったぞ」
満足そうな斎藤。静かな食事は斎藤の遊びだったが、楽しんでくれていたなら仕方がないなぁと、夢主はふくれっ面を消した。
「それは……良かったですけど……それにしても斎藤さん、お箸は右だったんですね、全く気にしていませんでした。斎藤さんは左利きだって思っていたので……斎藤さん、どうして刀だけ左なんですか」
「左の話か……詫びのつもりで話してやってもいいが、そんな話聞きたいか」
「き、聞きたいです!」
すっかり機嫌を直し身を乗り出している夢主を斎藤は可笑しそうに見つめた。
「フッ、まぁいいさ、話してやるよ」
夢主は何度も頷き、相変わらず身を乗り出して斎藤を真っ直ぐ見つめている。
そんな姿に思わず笑みを溢すと、斎藤は寛いで座り直し、夢主から視線を外してゆっくり語り始めた。
「か……厠に行くと……酷いんですよ!厠まで手伝えって揶揄ったんですからっ」
夢主がぼやくと、落ち着きを取り戻した沖田が再び大きな声で笑い出した。
「あははははっ!!斎藤さん流石にそれは酷いですねっ!くくくくっ、そんなことは僕がさせませんよっ、ははは!!」
「そうでしょう、そうですよ!そんな時は沖田さんが手を貸す番なんですよ!!」
「えぇええっ!!それは絶対にお断りです!小姓さんがいるでしょう」
夢主の提案を大きな声で拒絶すると、珍しく不満げに半目で夢主を睨みつけた。
「沖田さん怖いです……そうですね、小姓さんに頼んでくださいっ!沖田さんも怪我したら小姓さんにお世話してもらってくださいね!!」
「えぇっ、夢主ちゃん食べさせてくれないんですかっ!」
「ふふっ、怪我……しないでください」
真面目な声に戻った夢主は一番の本音を告げ、沖田はふざけるのをやめた。
「そう……そうですね。それが確かに一番だ」
静かに頷くと膳を持つ夢主の横を通り過ぎ沖田は部屋に入り、中から優しい声で話しかけた。
「僕はまた出かけますから、斎藤さんがまた変なこと言い出したら迷わず小姓さんに回してくださいね、夢主ちゃんがすることは無いんですから」
「はい……わかりました」
沖田の姿は見えないが頷いて返事をすると、新しい勝手場へ向かった。
片付けを済ませ部屋に戻ると、言葉通り沖田はいなくなっており、変わりに斎藤が戻っていた。
「斎藤さんっ」
恨めしそうに名を呼ぶ夢主を斎藤は座ったまま見上げた。
その様子から悪事がばれたと観念するが、冷静な面持ちは崩さなかった。
「斎藤さん、お箸は右……」
「あぁ、そうだったかな」
斎藤はとぼけた様子で目を逸らした。
「そうだったかなって!もぉ、わざとなんですよね」
「フッ、ばれちまったら仕方が無いな、まぁ座れ」
斎藤に促されそっと腰を下ろすが、ふくれっ面はおさまらなかった。
「そうふくれるな、お前に食わせてもらった飯はなかなか美味かったぞ」
満足そうな斎藤。静かな食事は斎藤の遊びだったが、楽しんでくれていたなら仕方がないなぁと、夢主はふくれっ面を消した。
「それは……良かったですけど……それにしても斎藤さん、お箸は右だったんですね、全く気にしていませんでした。斎藤さんは左利きだって思っていたので……斎藤さん、どうして刀だけ左なんですか」
「左の話か……詫びのつもりで話してやってもいいが、そんな話聞きたいか」
「き、聞きたいです!」
すっかり機嫌を直し身を乗り出している夢主を斎藤は可笑しそうに見つめた。
「フッ、まぁいいさ、話してやるよ」
夢主は何度も頷き、相変わらず身を乗り出して斎藤を真っ直ぐ見つめている。
そんな姿に思わず笑みを溢すと、斎藤は寛いで座り直し、夢主から視線を外してゆっくり語り始めた。