9.お留守番
夢主名前設定
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門の周りに集まった浪士組の隊士達は揃いの羽織姿で、いよいよとばかりに声を荒げて騒いでいた。
その目は揃って熱を帯び、気迫に溢れている。
そんな喧騒の中、斎藤は背後から沖田に近寄いた。
「沖田君、夢主から言伝だ」
「こんな状況で気配を消して背後に回るとは、なかなかいい趣味をしていますね」
にこにこと微笑みながら首だけを動かす沖田は、もちろんそれでも気配を察していた。
「気付いていただろう。それより、うがい、手洗い、鼻口を隠せ……だ、そうだ」
「え?なんですかそれ?」
「時間が無かったのでな。恐らく予防策、といった所か」
「えぇ?良く分からないけど、ありがたいな、うん。あはははは」
自分の為に咄嗟に斎藤に伝えてくれたのだろう。
夢主の伝わり切らない言葉を沖田は愛おしげに笑った。
「うがい、手洗い、鼻口を隠せ……か。うん、なんとなく分かる気がします、あははは。御所から帰ったらお礼を言いに行こうかな」
懸命に斎藤に訴えたであろう夢主の姿を想像すると笑いがおさまらない。
これから一触即発の現場になるかもしれないのに、沖田は陽気に笑っていた。
しかし幹部達しか詳しい事情を知らないこの話はあまり長く出来ない。
「沖田先生、如何なされましたか」
あまりにも笑っているので平隊士が声を掛けてきた。
沖田はこれはいけないと、揺れる肩を堪えて平静を装った。
「いや、すみませんね。なんでもありませんよ。さぁ、いよいよですね!参りましょうか」
そう言って隊士達に隊列を作るよう促した。
斎藤の隊はとうに支度を済ませていた。
男達が一斉に屯所を出ると今までの喧騒が嘘のようにシンと静まり返る。
「なんか嵐が去ったみたい……。誰もいないとちょっと淋しいなぁ……」
芹沢や平隊士に覗かれる恐れも無く、障子を開けたまま一日を過ごせる自由はある。
夜が更ける頃には予定通り土方の羽織が仕上がった。
「出来たぁ!……土方さん、喜んでくれるかな……」
そんな事をつい口にしてしまい、我に返った。
「は!何でそんな事を!別に土方さんに喜んで貰おうとやった訳じゃないんだから!ただの暇潰しと、傷んで可哀相な羽織の為なんだから……」
もごもごと言い訳をして羽織を置いた。
怒ったり気遣ったり、怖いのか優しいのか土方さんが分からない……そんな事を考えながら羽織りを畳んだ。
その目は揃って熱を帯び、気迫に溢れている。
そんな喧騒の中、斎藤は背後から沖田に近寄いた。
「沖田君、夢主から言伝だ」
「こんな状況で気配を消して背後に回るとは、なかなかいい趣味をしていますね」
にこにこと微笑みながら首だけを動かす沖田は、もちろんそれでも気配を察していた。
「気付いていただろう。それより、うがい、手洗い、鼻口を隠せ……だ、そうだ」
「え?なんですかそれ?」
「時間が無かったのでな。恐らく予防策、といった所か」
「えぇ?良く分からないけど、ありがたいな、うん。あはははは」
自分の為に咄嗟に斎藤に伝えてくれたのだろう。
夢主の伝わり切らない言葉を沖田は愛おしげに笑った。
「うがい、手洗い、鼻口を隠せ……か。うん、なんとなく分かる気がします、あははは。御所から帰ったらお礼を言いに行こうかな」
懸命に斎藤に訴えたであろう夢主の姿を想像すると笑いがおさまらない。
これから一触即発の現場になるかもしれないのに、沖田は陽気に笑っていた。
しかし幹部達しか詳しい事情を知らないこの話はあまり長く出来ない。
「沖田先生、如何なされましたか」
あまりにも笑っているので平隊士が声を掛けてきた。
沖田はこれはいけないと、揺れる肩を堪えて平静を装った。
「いや、すみませんね。なんでもありませんよ。さぁ、いよいよですね!参りましょうか」
そう言って隊士達に隊列を作るよう促した。
斎藤の隊はとうに支度を済ませていた。
男達が一斉に屯所を出ると今までの喧騒が嘘のようにシンと静まり返る。
「なんか嵐が去ったみたい……。誰もいないとちょっと淋しいなぁ……」
芹沢や平隊士に覗かれる恐れも無く、障子を開けたまま一日を過ごせる自由はある。
夜が更ける頃には予定通り土方の羽織が仕上がった。
「出来たぁ!……土方さん、喜んでくれるかな……」
そんな事をつい口にしてしまい、我に返った。
「は!何でそんな事を!別に土方さんに喜んで貰おうとやった訳じゃないんだから!ただの暇潰しと、傷んで可哀相な羽織の為なんだから……」
もごもごと言い訳をして羽織を置いた。
怒ったり気遣ったり、怖いのか優しいのか土方さんが分からない……そんな事を考えながら羽織りを畳んだ。