81.江戸土産
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湯屋でさっぱりと汚れと香りを落とすと、久しぶりの休息所に足を伸ばした。
「ここも久しぶりですね」
沖田は一番に部屋に上がり、中で腰を下ろすと隅々まで見回した。
夢主も斎藤もこの場に来るのは数ヶ月ぶりだ。
「お手入れはどなたが……」
土間から綺麗に整った部屋を眺め、幹部達以外は監察の数名しか知らないこの場を綺麗に保ってくれているのは誰なのかと不思議に思った。
「鉄之助君いるでしょ、たまにしてくれてるみたいですよ。土方さんに言われてね。彼は土方さんの信頼を得ているようですね」
「それまでは手の空いた時に山崎さんがしてくれていたそうだ」
「えっ、山崎さんが?お忙しそうなのに……」
あちらこちらへ飛び回り情報を集めている印象がある山崎。
確かに以前、夢主の前にも姿を現し、話をした。
「山崎本人もお前を気に掛けていたようだから、お前の為のこの場所が気になったんだろう。それに土方さんが監察の仕事の合間に覗いて、様子を見るよう指示していたそうだ」
「異常が無いか見るだけでいいのに、山崎さんたら几帳面だから掃除してくれていたみたいです」
「へぇ……そうだったんですね、お礼言わなくちゃですね!」
壬生の屯所で山崎と交わした会話を思い出し、確かに真面目で几帳面そうな雰囲気だったと思い出した。
「ふふっ、山崎さんありがとうございます」
その場に居ない山崎に礼を告げると、ようやく部屋に上がった。
三人が落ち着くと斎藤の江戸での話が始まり、斎藤がいない間の京の話を交換して時は過ぎていった。
「例の酒屋、陶芸家の新津さんの作品はまだ届いていませんでしたね」
酒屋で交わした比古との約束からまだ日が浅い事もあり、夢主は出向いていないが、沖田が確認を取りに寄っていた。
「釜から作るって言ってましたもんね……まだまだ先でしょうか」
得意気に待っていろと告げた比古の姿が頭に浮かぶ。
言葉とは裏腹に、そう遠くない日に作品が完成するのを感じる。
「それから伊東さんだが、藤堂君は全部は話してないそうだ」
「良かった……」
「さすがに未来から来ただの、空中から現れたと伝えるのも気が引けたんだろ。だが色々な知識があり、更に不思議なことを知っていると話してしまったそうだ。初めて顔を見た俺達の名を次々と言い当てたことも」
「そうですか……」
「あぁ。伊東を誘う時つい調子に乗ってお前の存在を話してしまい、そのまま伊東も好む器量よしかつ知的な女だとわざわざ事細かに話したんだとさ」
斎藤は眉を浮かせ、口を滑らせた藤堂を小馬鹿にするよう語った。
夢主は褒められる恥ずかしさと、困った事態に複雑な表情を見せた。
「予言者くらいに思っているんでしょうね」
巫女と土方が決めた嘘を踏まえて、伊東なりに出した答えはそんな所ではと、沖田は腕を組んで複雑な面持ちで呟いた。
「そうかもしれん。予め知っていると思われているよりはマシかもしれんぞ」
「そうですね……分かりました、気に留めておきます」
少しでも前向きにと受け止め頷く夢主に、斎藤と沖田も同調して頷いた。
「ここも久しぶりですね」
沖田は一番に部屋に上がり、中で腰を下ろすと隅々まで見回した。
夢主も斎藤もこの場に来るのは数ヶ月ぶりだ。
「お手入れはどなたが……」
土間から綺麗に整った部屋を眺め、幹部達以外は監察の数名しか知らないこの場を綺麗に保ってくれているのは誰なのかと不思議に思った。
「鉄之助君いるでしょ、たまにしてくれてるみたいですよ。土方さんに言われてね。彼は土方さんの信頼を得ているようですね」
「それまでは手の空いた時に山崎さんがしてくれていたそうだ」
「えっ、山崎さんが?お忙しそうなのに……」
あちらこちらへ飛び回り情報を集めている印象がある山崎。
確かに以前、夢主の前にも姿を現し、話をした。
「山崎本人もお前を気に掛けていたようだから、お前の為のこの場所が気になったんだろう。それに土方さんが監察の仕事の合間に覗いて、様子を見るよう指示していたそうだ」
「異常が無いか見るだけでいいのに、山崎さんたら几帳面だから掃除してくれていたみたいです」
「へぇ……そうだったんですね、お礼言わなくちゃですね!」
壬生の屯所で山崎と交わした会話を思い出し、確かに真面目で几帳面そうな雰囲気だったと思い出した。
「ふふっ、山崎さんありがとうございます」
その場に居ない山崎に礼を告げると、ようやく部屋に上がった。
三人が落ち着くと斎藤の江戸での話が始まり、斎藤がいない間の京の話を交換して時は過ぎていった。
「例の酒屋、陶芸家の新津さんの作品はまだ届いていませんでしたね」
酒屋で交わした比古との約束からまだ日が浅い事もあり、夢主は出向いていないが、沖田が確認を取りに寄っていた。
「釜から作るって言ってましたもんね……まだまだ先でしょうか」
得意気に待っていろと告げた比古の姿が頭に浮かぶ。
言葉とは裏腹に、そう遠くない日に作品が完成するのを感じる。
「それから伊東さんだが、藤堂君は全部は話してないそうだ」
「良かった……」
「さすがに未来から来ただの、空中から現れたと伝えるのも気が引けたんだろ。だが色々な知識があり、更に不思議なことを知っていると話してしまったそうだ。初めて顔を見た俺達の名を次々と言い当てたことも」
「そうですか……」
「あぁ。伊東を誘う時つい調子に乗ってお前の存在を話してしまい、そのまま伊東も好む器量よしかつ知的な女だとわざわざ事細かに話したんだとさ」
斎藤は眉を浮かせ、口を滑らせた藤堂を小馬鹿にするよう語った。
夢主は褒められる恥ずかしさと、困った事態に複雑な表情を見せた。
「予言者くらいに思っているんでしょうね」
巫女と土方が決めた嘘を踏まえて、伊東なりに出した答えはそんな所ではと、沖田は腕を組んで複雑な面持ちで呟いた。
「そうかもしれん。予め知っていると思われているよりはマシかもしれんぞ」
「そうですね……分かりました、気に留めておきます」
少しでも前向きにと受け止め頷く夢主に、斎藤と沖田も同調して頷いた。