81.江戸土産
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……ワンピースと一緒に入れておこう!もし香が漏れてもワンピースにつくなら嬉しいし、一緒に包めば更に布が遮ってくれるだろうし……
「沖田さん、ちょっとだけお部屋閉めてもいいですか」
「えっ、僕にも見せてくれないんですか」
「内緒にしますっ、ふふっ」
ワンピースの存在は恐らく忘れている沖田に思い出させまいと、夢主は悪戯な笑顔で微笑んで沖田を閉め出した。
「これでよしっ、と!沖田さん、もういいですよ!」
「どこに入れたのか、返って気になっちゃいますけど。仕方ないですねぇ」
襖を再び開いた沖田はさすがに気になると、夢主の荷物を確認するように部屋の中を見回した。
仄かに鼻をくすぐる残り香がじれったい。
「戻ったぞ、香袋はどうした」
「斎藤さんっ!大丈夫です、今ちょうど片付けました。沖田さんにも場所は内緒です、ふふっ」
「フン」
突然戻って部屋の中を確かめて見回すと、沖田と同じく残り香にくすぐられた斎藤は、顔を背けて小さく息を吐いた。
「戸を開けて風を通す。おい、湯屋に行くぞ」
「えっ」
夢主の体に残った香までも取り去ってしまおうと、斎藤は有無を言わさず湯屋に誘った。
「僕もお供しますよ、待ってください」
一人で部屋を出た斎藤の後を慌てて追いかける夢主を、沖田も急いで追いかけた。
部屋から出ると、斎藤は廊下の先で振り返り、二人が追いつくのを待っていた。
「どうしてそんなに不機嫌なんですか、斎藤さん……香りがお嫌いなのですか」
湯屋に向かいながら夢主は斎藤を見上げて訊ねた。
「甘くていい香りなのに」
斎藤の言い分もわかるなぁと、沖田は一人含み笑いで困り顔の夢主を見ている。
「阿呆、そのいい香りがお前に纏わりついて何になる」
「だって……」
「藤堂君がそれを選んだのはどうしてだと思う」
「それは……いい香りだから、ですか」
「あぁそうだろう、藤堂君がそのいい香りに直感的に店先でお前を感じたんだろう」
「それがいけないんですか……」
自分に合うと選んでくれた香りならば良いではないかと夢主は首を捻った。
「美味しそうなお花みたいな、甘味みたいな甘い香りで私は好きです」
「そうか。まぁ確かに美味そうな香りだな。その香りでお前が更に美味そうに見えるだろうよ、男共からな」
「…………へっ」
背の高い斎藤がちらりと見下ろす視線と夢主の視線がはたと合った。
瞬きをせず見つめる斎藤に対し、夢主は意図がつかめずぱちくりと瞬きを繰り返す。
「まぁ、僕にも斎藤さんの言いたいことは分かりますよ。さっきは僕も擽られましたからね」
「えっ……くすぐられ……」
「香りにやられそうになるってことですよ。甘くて魅惑的な香りで、夢主ちゃんにぴったりですけど、……そういうことです」
くすっと笑い沖田がわざと普段より熱い視線を向け、夢主は体に受けた熱さに戸惑い目を逸らした。
ようやく意味を理解すると、再び斎藤を見上げた。
斎藤もわざと熱を帯びた視線を夢主に向け牽制している。
二人の熱視線で体が硬直してしまった夢主は立ち止まり、恥ずかしそうに俯いて、自分の小袖についた香を確かめた。
「そんなに……香るんですか」
「あぁ辛いほどにな」
声に反応して顔を上げると、斎藤は柔らかな顔立ちに戻っていた。
振り向くと沖田も優しいいつもの微笑みに戻っている。
「わかりました……香り袋はしまっておきます」
「残念ですけど、それがいいかもしれませんね」
沖田もこれ以上の誘惑を封じて下さいとばかりに、にこやかな笑顔で頷いた。
「沖田さん、ちょっとだけお部屋閉めてもいいですか」
「えっ、僕にも見せてくれないんですか」
「内緒にしますっ、ふふっ」
ワンピースの存在は恐らく忘れている沖田に思い出させまいと、夢主は悪戯な笑顔で微笑んで沖田を閉め出した。
「これでよしっ、と!沖田さん、もういいですよ!」
「どこに入れたのか、返って気になっちゃいますけど。仕方ないですねぇ」
襖を再び開いた沖田はさすがに気になると、夢主の荷物を確認するように部屋の中を見回した。
仄かに鼻をくすぐる残り香がじれったい。
「戻ったぞ、香袋はどうした」
「斎藤さんっ!大丈夫です、今ちょうど片付けました。沖田さんにも場所は内緒です、ふふっ」
「フン」
突然戻って部屋の中を確かめて見回すと、沖田と同じく残り香にくすぐられた斎藤は、顔を背けて小さく息を吐いた。
「戸を開けて風を通す。おい、湯屋に行くぞ」
「えっ」
夢主の体に残った香までも取り去ってしまおうと、斎藤は有無を言わさず湯屋に誘った。
「僕もお供しますよ、待ってください」
一人で部屋を出た斎藤の後を慌てて追いかける夢主を、沖田も急いで追いかけた。
部屋から出ると、斎藤は廊下の先で振り返り、二人が追いつくのを待っていた。
「どうしてそんなに不機嫌なんですか、斎藤さん……香りがお嫌いなのですか」
湯屋に向かいながら夢主は斎藤を見上げて訊ねた。
「甘くていい香りなのに」
斎藤の言い分もわかるなぁと、沖田は一人含み笑いで困り顔の夢主を見ている。
「阿呆、そのいい香りがお前に纏わりついて何になる」
「だって……」
「藤堂君がそれを選んだのはどうしてだと思う」
「それは……いい香りだから、ですか」
「あぁそうだろう、藤堂君がそのいい香りに直感的に店先でお前を感じたんだろう」
「それがいけないんですか……」
自分に合うと選んでくれた香りならば良いではないかと夢主は首を捻った。
「美味しそうなお花みたいな、甘味みたいな甘い香りで私は好きです」
「そうか。まぁ確かに美味そうな香りだな。その香りでお前が更に美味そうに見えるだろうよ、男共からな」
「…………へっ」
背の高い斎藤がちらりと見下ろす視線と夢主の視線がはたと合った。
瞬きをせず見つめる斎藤に対し、夢主は意図がつかめずぱちくりと瞬きを繰り返す。
「まぁ、僕にも斎藤さんの言いたいことは分かりますよ。さっきは僕も擽られましたからね」
「えっ……くすぐられ……」
「香りにやられそうになるってことですよ。甘くて魅惑的な香りで、夢主ちゃんにぴったりですけど、……そういうことです」
くすっと笑い沖田がわざと普段より熱い視線を向け、夢主は体に受けた熱さに戸惑い目を逸らした。
ようやく意味を理解すると、再び斎藤を見上げた。
斎藤もわざと熱を帯びた視線を夢主に向け牽制している。
二人の熱視線で体が硬直してしまった夢主は立ち止まり、恥ずかしそうに俯いて、自分の小袖についた香を確かめた。
「そんなに……香るんですか」
「あぁ辛いほどにな」
声に反応して顔を上げると、斎藤は柔らかな顔立ちに戻っていた。
振り向くと沖田も優しいいつもの微笑みに戻っている。
「わかりました……香り袋はしまっておきます」
「残念ですけど、それがいいかもしれませんね」
沖田もこれ以上の誘惑を封じて下さいとばかりに、にこやかな笑顔で頷いた。