81.江戸土産
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「何だよ、痛ぃだろっ!突然なんだよ、もっと話そうと思ったのによー!」
「うるさい藤堂、貴様あんなもの贈ってどういうつもりだ」
「どうって、甘くて優しくていい香りだろ、夢主にぴったりじゃないか」
「そんなことは俺でも分かる。香りを添えられたあいつはどうなる」
「どうって……そりゃいい香りで近寄りたくなるよな、色っぽくて堪らないだろ」
斎藤は呆れ顔で、へへっとにやける藤堂の頭を拳で殴った。
「痛ってぇーーーーっ!!だから何だよ、おい!!」
「阿呆ぅ、色香が増してあいつに何の得があるかと訊いている」
「はっ……」
「やっと気付いたか。君もなかなかのド阿呆ぅだったな、よく覚えておくさ」
「阿呆は言い過ぎだろ!」
「ド阿呆だ」
「分かったよ、悪かったよ!でも、どうすれば……」
良かれと選んだ土産が夢主に危険を引き寄せてしまうかも知れないと気付くと、藤堂の顔は青ざめた。
「まぁ俺が上手いこと言って荷物の奥にしまわせるさ」
「ごめん……頼むよ、斎藤君……」
「仕方あるまい、気にするな」
小さく頷くと、藤堂はとぼとぼと教えられた新しい居室に向け歩き出した。
反省する藤堂の背中は痛々しく見えた。
「やれやれ……仕方あるまい」
部屋では夢主が何故片付けろと言われたか分からないが、とりあえず従おうと香り袋を手に包むものを探していた。
「あぁ~土方さんってば……」
「ひやぁっ!沖田さんっ、吃驚しましたっ!」
部屋の中を右往左往する夢主の背後から突然聞こえた声に驚いて体を弾ませると、両手を頭の後ろに組んで不貞腐れた沖田が部屋に戻っていた。
沖田は沖田で夢主の反応に驚いた。
「あっ、ごめんなさい驚かせちゃいましたかっ。土方さんが面倒な仕事を押し付けるもので……」
「お仕事?」
「新入隊士の預かりですよーお前もそろそろそういう仕事をしてもいい頃だって、意味が分かりません」
「ふふっ、沖田さんを頼りがいのある大人と見込んでお任せしたんじゃありませんか」
「そうでしょうかねぇ……はぁ……所で」
沖田はおもむろに両手を下ろすと夢主に近寄り、ふんふんと小さく鼻をならした。
「いい香りですね、どうしたんですか」
首を傾げて覗く沖田の顔が近く、夢主は思わず後ろに仰け反って苦笑いした。
「藤堂さんが江戸土産って……でも斎藤さんが片付けろ!って怒鳴って藤堂さんを連れ出して行っちゃいました。どうしたのかな……」
「はぁ、それはきっと……」
何か閃いたように沖田はにこりと笑うが、再び目を細めて香りを楽しんだ。
「ふふっ、斎藤さんが戻ったら聞いてみるといいよ、面白い答えが聞けるかもよ」
「そうですかぁ……っ、沖田さん、近過ぎですっ」
理由を教えてくれない沖田だが、まだ香を楽しむように夢主に顔を寄せて目を細めていた。
「あ、ごめんなさい、つい……ね。いい香で」
「もぉ……とりあえずこれをしまいたいんですけど、どうしたらいいか分からなくて」
「でしたら僕の懐紙で包むといいですよ、それから……あ、使っていない晒しがあります。懐紙と晒しでぐるぐるに巻いたら香も漏れないんじゃないかな」
そう言うと懐から懐紙を取り出して夢主に差し出した。
「ちょっと待ってね」
斎藤の部屋から繋がる自分の部屋に戻って荷物をあさり、白く大きい晒し布を持ってきた。
「はい、これで大丈夫だよ」
「ありがとうございますっ」
沖田の見守る前でくるくる巻いていくと白い塊が一つ出来た。
「うん、匂わないですね」
沖田が鼻を近づけ香りを確認した。
「はい、これで斎藤さんも大丈夫かな……どこにしまおう……」
夢主は自分の少ない荷物を眺めて、あることを思い付いた。
「うるさい藤堂、貴様あんなもの贈ってどういうつもりだ」
「どうって、甘くて優しくていい香りだろ、夢主にぴったりじゃないか」
「そんなことは俺でも分かる。香りを添えられたあいつはどうなる」
「どうって……そりゃいい香りで近寄りたくなるよな、色っぽくて堪らないだろ」
斎藤は呆れ顔で、へへっとにやける藤堂の頭を拳で殴った。
「痛ってぇーーーーっ!!だから何だよ、おい!!」
「阿呆ぅ、色香が増してあいつに何の得があるかと訊いている」
「はっ……」
「やっと気付いたか。君もなかなかのド阿呆ぅだったな、よく覚えておくさ」
「阿呆は言い過ぎだろ!」
「ド阿呆だ」
「分かったよ、悪かったよ!でも、どうすれば……」
良かれと選んだ土産が夢主に危険を引き寄せてしまうかも知れないと気付くと、藤堂の顔は青ざめた。
「まぁ俺が上手いこと言って荷物の奥にしまわせるさ」
「ごめん……頼むよ、斎藤君……」
「仕方あるまい、気にするな」
小さく頷くと、藤堂はとぼとぼと教えられた新しい居室に向け歩き出した。
反省する藤堂の背中は痛々しく見えた。
「やれやれ……仕方あるまい」
部屋では夢主が何故片付けろと言われたか分からないが、とりあえず従おうと香り袋を手に包むものを探していた。
「あぁ~土方さんってば……」
「ひやぁっ!沖田さんっ、吃驚しましたっ!」
部屋の中を右往左往する夢主の背後から突然聞こえた声に驚いて体を弾ませると、両手を頭の後ろに組んで不貞腐れた沖田が部屋に戻っていた。
沖田は沖田で夢主の反応に驚いた。
「あっ、ごめんなさい驚かせちゃいましたかっ。土方さんが面倒な仕事を押し付けるもので……」
「お仕事?」
「新入隊士の預かりですよーお前もそろそろそういう仕事をしてもいい頃だって、意味が分かりません」
「ふふっ、沖田さんを頼りがいのある大人と見込んでお任せしたんじゃありませんか」
「そうでしょうかねぇ……はぁ……所で」
沖田はおもむろに両手を下ろすと夢主に近寄り、ふんふんと小さく鼻をならした。
「いい香りですね、どうしたんですか」
首を傾げて覗く沖田の顔が近く、夢主は思わず後ろに仰け反って苦笑いした。
「藤堂さんが江戸土産って……でも斎藤さんが片付けろ!って怒鳴って藤堂さんを連れ出して行っちゃいました。どうしたのかな……」
「はぁ、それはきっと……」
何か閃いたように沖田はにこりと笑うが、再び目を細めて香りを楽しんだ。
「ふふっ、斎藤さんが戻ったら聞いてみるといいよ、面白い答えが聞けるかもよ」
「そうですかぁ……っ、沖田さん、近過ぎですっ」
理由を教えてくれない沖田だが、まだ香を楽しむように夢主に顔を寄せて目を細めていた。
「あ、ごめんなさい、つい……ね。いい香で」
「もぉ……とりあえずこれをしまいたいんですけど、どうしたらいいか分からなくて」
「でしたら僕の懐紙で包むといいですよ、それから……あ、使っていない晒しがあります。懐紙と晒しでぐるぐるに巻いたら香も漏れないんじゃないかな」
そう言うと懐から懐紙を取り出して夢主に差し出した。
「ちょっと待ってね」
斎藤の部屋から繋がる自分の部屋に戻って荷物をあさり、白く大きい晒し布を持ってきた。
「はい、これで大丈夫だよ」
「ありがとうございますっ」
沖田の見守る前でくるくる巻いていくと白い塊が一つ出来た。
「うん、匂わないですね」
沖田が鼻を近づけ香りを確認した。
「はい、これで斎藤さんも大丈夫かな……どこにしまおう……」
夢主は自分の少ない荷物を眺めて、あることを思い付いた。