80.静かな部屋
夢主名前設定
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壬生界隈に着くと前川家の皆も、八木家の皆も一行の姿を見つけ、懐かしんで声を掛けてきた。
沖田は子供たちに囲まれ、なかなか遊びに来れないことを詫びている。
「折角やしゆっくりしていきなはれ、前の部屋がそのままやさかい、斎藤はんの使うてはった部屋で待っててぇな、今お茶持って行くわ」
「すみません、ありがとうございます」
前川家の女将も嬉しそうに笑顔で迎えてくれた。
好意で暫くの時間、斎藤が使っていた懐かしい部屋で過ごすことになった。
原田と永倉も揃って懐かしい縁側に腰掛けた。
「折角だし俺達も一杯だけ茶を飲んでいこうぜ」
「そうだな」
夢主は縁側から懐かしい部屋を覗き、中から漂う懐かしい匂いを感じた。
荷物が無くなり小ざっぱりした部屋。
それでも目を閉じればそこに座る斎藤が思い浮かぶ。
抑えられない切なさに襲われそうで目を閉じていられず、目を細めて静かに眺めた。
「子供ってのはぁいいよなぁ」
部屋を見つめる夢主の後ろで、この年、所帯を持った原田が呟いた。
沖田を囲む子供たちを愛おしそうに眺めている。
「おぉ、左之んとこはまだったなぁ」
「まぁまだな。早く父親になりてぇな」
幸せそうに目じりを下げて、しみじみと父親という言葉を口にした。
「原田さんが赤ちゃん抱っこしている姿、物凄く想像がつきます。優しい……お姿」
夢主は部屋を覗いていた体を、皆と同じ庭に向けて座り直して、優しく微笑む原田の横顔を覗いた。
見ているだけで幸せな気持ちが伝わってくる。
「出来ねぇってわけじゃねぇんだろ」
「まだ夫婦になったばかりだぜ、そう急くなよ!」
心配そうに訊ねる永倉を原田は笑った。
「は……原田さん、あの……」
「どうした」
二人のやり取りを眺めていた夢主だが、気後れしつつも原田を突っついた。原田を永倉から引き離す。
ちょうど子供たちと別れた沖田がやって来た。
「やぁ~なかなか離してもらえなくてっ、子供たちは可愛いですねっ、ははっ……あれ、どうしたんですか」
「さぁて」
少し離れたところで、恥ずかしそうに赤い顔で夢主が原田に何かを訴えている。
「なっ、何言ってんだお前、気は確かか」
「だ……だから、真面目にっ!その、お子さんが欲しいって……だからその、終わった後は、奥さんをすぐに離さないで……抱きしめてあげてくださいっ」
「ははっ、そんなことぁ言われなくたって、愛しい女の呼吸が落ち着くまで離すもんか。可愛くって仕方ねぇだろ、息を荒げて脱力してよ、そんな時の女ってのは」
「そっそうなんですね……」
原田の正直で熱い言葉に、夢主の顔が反射的に火照ってしまった。
愛しい者を思い語る瞳は強く輝きながら、優しく光っている。
「そりゃそうだ。総司だってそうだろうよ、あいつも愛しい女を抱きしめていつまでも離さない男だろうよ。斎藤は……また違うだろうな」
「えっ」
こんな話の中に突然出てきた親しい二人の名前。思わず戸惑いの声をあげた。
「ははっ、いや何でもねぇ、そのうちに分かるさ。で、何が言いたかったんだ。そんな赤い顔にまでなって」
真っ直ぐな眼差しで原田を見上げる姿は真剣そのものだ。
「だから……終わった後も、つ……繋がっていると妊娠……懐妊しやすくなると……聞いた記憶があったもので……」
「っ……はは!ははははっ!!」
子供が欲しいと話した自分を気遣い、夢主が恥ずかしさを我慢して伝えてくれた、未来で得ていた可愛い知恵。
原田は涙を浮かべて大笑いした。
沖田は子供たちに囲まれ、なかなか遊びに来れないことを詫びている。
「折角やしゆっくりしていきなはれ、前の部屋がそのままやさかい、斎藤はんの使うてはった部屋で待っててぇな、今お茶持って行くわ」
「すみません、ありがとうございます」
前川家の女将も嬉しそうに笑顔で迎えてくれた。
好意で暫くの時間、斎藤が使っていた懐かしい部屋で過ごすことになった。
原田と永倉も揃って懐かしい縁側に腰掛けた。
「折角だし俺達も一杯だけ茶を飲んでいこうぜ」
「そうだな」
夢主は縁側から懐かしい部屋を覗き、中から漂う懐かしい匂いを感じた。
荷物が無くなり小ざっぱりした部屋。
それでも目を閉じればそこに座る斎藤が思い浮かぶ。
抑えられない切なさに襲われそうで目を閉じていられず、目を細めて静かに眺めた。
「子供ってのはぁいいよなぁ」
部屋を見つめる夢主の後ろで、この年、所帯を持った原田が呟いた。
沖田を囲む子供たちを愛おしそうに眺めている。
「おぉ、左之んとこはまだったなぁ」
「まぁまだな。早く父親になりてぇな」
幸せそうに目じりを下げて、しみじみと父親という言葉を口にした。
「原田さんが赤ちゃん抱っこしている姿、物凄く想像がつきます。優しい……お姿」
夢主は部屋を覗いていた体を、皆と同じ庭に向けて座り直して、優しく微笑む原田の横顔を覗いた。
見ているだけで幸せな気持ちが伝わってくる。
「出来ねぇってわけじゃねぇんだろ」
「まだ夫婦になったばかりだぜ、そう急くなよ!」
心配そうに訊ねる永倉を原田は笑った。
「は……原田さん、あの……」
「どうした」
二人のやり取りを眺めていた夢主だが、気後れしつつも原田を突っついた。原田を永倉から引き離す。
ちょうど子供たちと別れた沖田がやって来た。
「やぁ~なかなか離してもらえなくてっ、子供たちは可愛いですねっ、ははっ……あれ、どうしたんですか」
「さぁて」
少し離れたところで、恥ずかしそうに赤い顔で夢主が原田に何かを訴えている。
「なっ、何言ってんだお前、気は確かか」
「だ……だから、真面目にっ!その、お子さんが欲しいって……だからその、終わった後は、奥さんをすぐに離さないで……抱きしめてあげてくださいっ」
「ははっ、そんなことぁ言われなくたって、愛しい女の呼吸が落ち着くまで離すもんか。可愛くって仕方ねぇだろ、息を荒げて脱力してよ、そんな時の女ってのは」
「そっそうなんですね……」
原田の正直で熱い言葉に、夢主の顔が反射的に火照ってしまった。
愛しい者を思い語る瞳は強く輝きながら、優しく光っている。
「そりゃそうだ。総司だってそうだろうよ、あいつも愛しい女を抱きしめていつまでも離さない男だろうよ。斎藤は……また違うだろうな」
「えっ」
こんな話の中に突然出てきた親しい二人の名前。思わず戸惑いの声をあげた。
「ははっ、いや何でもねぇ、そのうちに分かるさ。で、何が言いたかったんだ。そんな赤い顔にまでなって」
真っ直ぐな眼差しで原田を見上げる姿は真剣そのものだ。
「だから……終わった後も、つ……繋がっていると妊娠……懐妊しやすくなると……聞いた記憶があったもので……」
「っ……はは!ははははっ!!」
子供が欲しいと話した自分を気遣い、夢主が恥ずかしさを我慢して伝えてくれた、未来で得ていた可愛い知恵。
原田は涙を浮かべて大笑いした。