79.剣戟、そして江戸へ
夢主名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「さっさと終わらせてやる」
言い終わるや斎藤は地面を蹴り加速した。
次に隊士達が斎藤の姿を見つけた時には、浪士の一人が串刺しにされ、斎藤がずるりと刃を抜く場面であった。
「ちきしょーー!!」
斎藤の鋭い剣に叶わないと悟った残りの浪士は、逃げるよう背を向けた。
「うぉおおーー!!」
残る全ての浪士が退路を塞ぐ隊士達に斬りかかった。激しい金属音と怒号が何度も響く。
死に物狂いの浪士達の攻撃と狭い路地に、隊士達は苦戦している。
「やれやれ……」
なかなか仕留められない部下に溜息を吐いた。
助太刀して終わらせ、抜刀斎を捜しに行かねば沖田に美味しいところを持っていかれてしまう。
斎藤は抜き身の刀を構え直した。
「うわぁっ!!」
「ぎやぁああっ!!」
……んっ……
突然浪士達の向こうから断末魔が響いた。
不快な声に続き、どさり、大きな体が崩れる音が聞こえる。
一度、二度、三度……異変に気付いた全員がその音を確認しようと顔を向けた時、既に三人の隊士が地面に崩れていた。
「あぁ……ぁ」
地面に倒れた男達の間から現れた人影。
思わず隊士達は構えた刀をそのままに、道を空けるよう一歩後ずさる。
敵前逃亡は士道不覚悟。
だが向かうも何も、男はただ一人を視界に入れていた。
「またお前か、新選組三番隊組長……斎藤一」
「悪かったな、俺は会えて嬉しいぜ……抜刀斎!」
暗がりから姿を現した男、緋村抜刀斎は返り血ひとつ浴びていない。
綺麗な姿のまま、血汚れた刃を持ち上げた。
「「うぉおおおお!!!」」
二人は互いを確認するなり咆哮を上げて突進し、刃をぶつけた。
その場の男達は突然始まった激しい剣戟に後ずさりして固まった。
だが浪士達は頼もしい味方の出現に気を取り直し、隊士の隙をついて走り出した。
「全員追えっ!!奴等はお前達に任せたぞ!!」
「はっ!!」
剣を交えながら出された斎藤の指示に従い、斬り捨てられた三人の浅葱色の仲間を飛び越えて、隊士達は全員が浪士を追いかけた。
「ちっ」
浪士達を逃がす為にやって来た緋村は不味いと顔をしかめ、役目を果たすべく斎藤を振り払おうとする。
少しでも体を背ければ容赦なく刃が飛び込んでくる。
何度も鎬を削るように押し合っては離れ、間合いを取る二人。
緋村は浪士が走り去った先を目だけで確認し、すぐに視線を戻した。
「今はお主と殺り合ってはおれん!」
「何を勝手な!!」
緋村の繰り出した疾い斬り上げをどうにか交わすが、斎藤の頬に細い傷が出来る。
しかし傷に怯まずそのまま刀を突き出すと、斎藤の切っ先が緋村の袖を破った。
「フンッ!!」
そのまま横薙ぎに振り斬れば、後ろに飛び退く緋村の脇腹を微かに傷付けた。
小さな傷ながら斎藤は手応えを確認すると、もっと深い傷をと再び構えた。
だが、飛び退いた緋村は斎藤に再び向かっては来ず、素早く体を反転させると一直線に走り出した。
大きな袖が加速にたなびいている。
「ちっ、また逃げるか!!逃がさんぞ!!!」
「俺にはすべき仕事がある」
呟いた声が斎藤に届かないまま、緋村は走った。
斎藤は抜き身の刀を引っ提げたまま後を追った。赤い髪の後姿を目に入れて真っ直ぐ走るが、足の疾い緋村との距離は縮まらない。
「すばしっこい野郎だ」
ぼやいて舌打ちをすると、緋村は目の前で姿を消すように角を曲がった。
「逃がすかよ」
速さを落とさぬまま斎藤は角を曲がるが、咄嗟に足を止めて辺りに砂煙を舞わせた。
そこで目に飛び込んできた光景に斎藤は再び舌打ちをした。
言い終わるや斎藤は地面を蹴り加速した。
次に隊士達が斎藤の姿を見つけた時には、浪士の一人が串刺しにされ、斎藤がずるりと刃を抜く場面であった。
「ちきしょーー!!」
斎藤の鋭い剣に叶わないと悟った残りの浪士は、逃げるよう背を向けた。
「うぉおおーー!!」
残る全ての浪士が退路を塞ぐ隊士達に斬りかかった。激しい金属音と怒号が何度も響く。
死に物狂いの浪士達の攻撃と狭い路地に、隊士達は苦戦している。
「やれやれ……」
なかなか仕留められない部下に溜息を吐いた。
助太刀して終わらせ、抜刀斎を捜しに行かねば沖田に美味しいところを持っていかれてしまう。
斎藤は抜き身の刀を構え直した。
「うわぁっ!!」
「ぎやぁああっ!!」
……んっ……
突然浪士達の向こうから断末魔が響いた。
不快な声に続き、どさり、大きな体が崩れる音が聞こえる。
一度、二度、三度……異変に気付いた全員がその音を確認しようと顔を向けた時、既に三人の隊士が地面に崩れていた。
「あぁ……ぁ」
地面に倒れた男達の間から現れた人影。
思わず隊士達は構えた刀をそのままに、道を空けるよう一歩後ずさる。
敵前逃亡は士道不覚悟。
だが向かうも何も、男はただ一人を視界に入れていた。
「またお前か、新選組三番隊組長……斎藤一」
「悪かったな、俺は会えて嬉しいぜ……抜刀斎!」
暗がりから姿を現した男、緋村抜刀斎は返り血ひとつ浴びていない。
綺麗な姿のまま、血汚れた刃を持ち上げた。
「「うぉおおおお!!!」」
二人は互いを確認するなり咆哮を上げて突進し、刃をぶつけた。
その場の男達は突然始まった激しい剣戟に後ずさりして固まった。
だが浪士達は頼もしい味方の出現に気を取り直し、隊士の隙をついて走り出した。
「全員追えっ!!奴等はお前達に任せたぞ!!」
「はっ!!」
剣を交えながら出された斎藤の指示に従い、斬り捨てられた三人の浅葱色の仲間を飛び越えて、隊士達は全員が浪士を追いかけた。
「ちっ」
浪士達を逃がす為にやって来た緋村は不味いと顔をしかめ、役目を果たすべく斎藤を振り払おうとする。
少しでも体を背ければ容赦なく刃が飛び込んでくる。
何度も鎬を削るように押し合っては離れ、間合いを取る二人。
緋村は浪士が走り去った先を目だけで確認し、すぐに視線を戻した。
「今はお主と殺り合ってはおれん!」
「何を勝手な!!」
緋村の繰り出した疾い斬り上げをどうにか交わすが、斎藤の頬に細い傷が出来る。
しかし傷に怯まずそのまま刀を突き出すと、斎藤の切っ先が緋村の袖を破った。
「フンッ!!」
そのまま横薙ぎに振り斬れば、後ろに飛び退く緋村の脇腹を微かに傷付けた。
小さな傷ながら斎藤は手応えを確認すると、もっと深い傷をと再び構えた。
だが、飛び退いた緋村は斎藤に再び向かっては来ず、素早く体を反転させると一直線に走り出した。
大きな袖が加速にたなびいている。
「ちっ、また逃げるか!!逃がさんぞ!!!」
「俺にはすべき仕事がある」
呟いた声が斎藤に届かないまま、緋村は走った。
斎藤は抜き身の刀を引っ提げたまま後を追った。赤い髪の後姿を目に入れて真っ直ぐ走るが、足の疾い緋村との距離は縮まらない。
「すばしっこい野郎だ」
ぼやいて舌打ちをすると、緋村は目の前で姿を消すように角を曲がった。
「逃がすかよ」
速さを落とさぬまま斎藤は角を曲がるが、咄嗟に足を止めて辺りに砂煙を舞わせた。
そこで目に飛び込んできた光景に斎藤は再び舌打ちをした。