78.貴方様
夢主名前設定
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「何だ今、土方様って言ったのかっ、突然どうした」
「だ、だって……さ……斎藤……様が失礼だって話を……今まで放っておいたけど、本来なら先生や様で呼ぶのが当然だってお話を」
「っ……くくくっ……お前ってやつは素直だなぁ!信じちまったのか、斎藤様に土方様。はははははっ、様付けは悪くねぇなぁ!」
「もっ、そんなに笑わないでくださいっ!」
「はははっ、悪ぃ悪ぃ!しかし斎藤に揶揄われたんだろう、面白いぜ土方様か!もう少し食って掛かれば良かったんだよ、ははっ」
「そうなんですかっ!おかしいと思ったんです……でも一理あるから……あぁっまた騙されましたぁっ!」
「斎藤の言うことはすぐに信じちまうんだな、お前は」
「だって信じちゃいますよ!信じなきゃ……信じてる人ですから……」
目を逸らしてむくれる夢主を、土方は嬉しそうに頷いた。慰めるように細い肩に軽く手を置き、すぐに離した。
「そうだな、それでいいさ。斎藤を信じてやれ。ま、今回はしてやられたがな、あいつの娯楽だと思って付き合ってやれよ。くくっ、しかし様とはいいな。また呼んでくれよ」
「い、嫌ですよっ!もう呼びませんっ」
「残念だ。おっ、噂をすればだな」
「えっ」
土方の視線が夢主を通り越した。
つられて振り返ると、斎藤が真顔でこちらへ向かって来る。
「さっ、斎藤さんっ!」
「おっ、もう気付いたか、早いな。もう少し遊べると思ったんだが」
「遊べるって、もぉっ!恥ずかしい思いしたじゃありませんかっ!土方さんを様って呼んじゃいましたよ!」
「いいじゃないか、新選組の副長だ。土方様でも土方副長でも呼んでもいいくらいだぜ」
「うっ……土方副長……副長なら……」
土方の顔色を恐る恐る窺うと、未だご機嫌そうに腕を組んでいた。
「あぁ?俺は構わねぇよ、今更いいさ」
「ま、でしょうね」
「でしょうねって斎藤さん!揶揄うのもいい加減にしてくださいよっ!わかってるなら言わないでくださいっ!」
「悪かったな、夢主様」
「なっ」
ククッと悪ぶった顔で笑う斎藤を、夢主は上気しきった顔で睨み付けた。
熱く火照った頬を膨らまし、ぷいっと踵を返すとそのまま座敷に向かって行った。
「おいおい、無視するなよ。せっかく呼んでやったのに」
「様なんて嬉しくありませんっ!」
無視して行ってしまうつもりが、斎藤の一言でつい振り返りってしまった。
「ほぉ、なら何なら嬉しいというんだ」
「えっ」
斎藤にどう呼ばれれば嬉しいのか、夢主はほんの一瞬、頭の中で様々な呼び方を思い浮かべた。
「いつもの……夢主って、呼び捨てが好きです……」
落ち着いた声で告げると、斎藤はフッと息を漏らし口を開いた。
「夢主、行くぞ」
そして夢主の横を通り過ぎ座敷へと歩き出した。
そばに立っていた土方もニヤリと可笑しげに見つめている。
「ひ、土方さんも行きましょうよ」
「あぁ行くさ」
「ではお先にっ……斎藤さんっ!」
土方に声を掛けると慌てて斎藤の後を追いかけた。
そんな二人の後姿を眺めながら、土方は更ににんまり笑みを浮かべた。
「だ、だって……さ……斎藤……様が失礼だって話を……今まで放っておいたけど、本来なら先生や様で呼ぶのが当然だってお話を」
「っ……くくくっ……お前ってやつは素直だなぁ!信じちまったのか、斎藤様に土方様。はははははっ、様付けは悪くねぇなぁ!」
「もっ、そんなに笑わないでくださいっ!」
「はははっ、悪ぃ悪ぃ!しかし斎藤に揶揄われたんだろう、面白いぜ土方様か!もう少し食って掛かれば良かったんだよ、ははっ」
「そうなんですかっ!おかしいと思ったんです……でも一理あるから……あぁっまた騙されましたぁっ!」
「斎藤の言うことはすぐに信じちまうんだな、お前は」
「だって信じちゃいますよ!信じなきゃ……信じてる人ですから……」
目を逸らしてむくれる夢主を、土方は嬉しそうに頷いた。慰めるように細い肩に軽く手を置き、すぐに離した。
「そうだな、それでいいさ。斎藤を信じてやれ。ま、今回はしてやられたがな、あいつの娯楽だと思って付き合ってやれよ。くくっ、しかし様とはいいな。また呼んでくれよ」
「い、嫌ですよっ!もう呼びませんっ」
「残念だ。おっ、噂をすればだな」
「えっ」
土方の視線が夢主を通り越した。
つられて振り返ると、斎藤が真顔でこちらへ向かって来る。
「さっ、斎藤さんっ!」
「おっ、もう気付いたか、早いな。もう少し遊べると思ったんだが」
「遊べるって、もぉっ!恥ずかしい思いしたじゃありませんかっ!土方さんを様って呼んじゃいましたよ!」
「いいじゃないか、新選組の副長だ。土方様でも土方副長でも呼んでもいいくらいだぜ」
「うっ……土方副長……副長なら……」
土方の顔色を恐る恐る窺うと、未だご機嫌そうに腕を組んでいた。
「あぁ?俺は構わねぇよ、今更いいさ」
「ま、でしょうね」
「でしょうねって斎藤さん!揶揄うのもいい加減にしてくださいよっ!わかってるなら言わないでくださいっ!」
「悪かったな、夢主様」
「なっ」
ククッと悪ぶった顔で笑う斎藤を、夢主は上気しきった顔で睨み付けた。
熱く火照った頬を膨らまし、ぷいっと踵を返すとそのまま座敷に向かって行った。
「おいおい、無視するなよ。せっかく呼んでやったのに」
「様なんて嬉しくありませんっ!」
無視して行ってしまうつもりが、斎藤の一言でつい振り返りってしまった。
「ほぉ、なら何なら嬉しいというんだ」
「えっ」
斎藤にどう呼ばれれば嬉しいのか、夢主はほんの一瞬、頭の中で様々な呼び方を思い浮かべた。
「いつもの……夢主って、呼び捨てが好きです……」
落ち着いた声で告げると、斎藤はフッと息を漏らし口を開いた。
「夢主、行くぞ」
そして夢主の横を通り過ぎ座敷へと歩き出した。
そばに立っていた土方もニヤリと可笑しげに見つめている。
「ひ、土方さんも行きましょうよ」
「あぁ行くさ」
「ではお先にっ……斎藤さんっ!」
土方に声を掛けると慌てて斎藤の後を追いかけた。
そんな二人の後姿を眺めながら、土方は更ににんまり笑みを浮かべた。