78.貴方様
夢主名前設定
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「もしかして……私、物凄く失礼なんでしょうか……」
「あっ?」
「みなさん斎藤さん達を先生と呼んだり、様……って……気付けば私、出会った頃からさん付けです。それが普通だと思ったので……」
「それは」
下らんことで悩むなと言い聞かせようとする斎藤だが、これは面白いと思い付いた。
いつもの悪い癖が疼き始める。
「確かに、あの時は言い直させる間も無いまま全てが進んでいったからな。近藤さんや土方さんに至っては局長と副長だ、さん付けはさすがにまずいだろう」
「そ、そうなんですか……そうですよね、どうしよう、知らないとはいえずっと失礼を……斎藤さんのことも……」
「まぁ本来は先生か様で呼ぶのが自然だろう、フッ」
気が動転した夢主は、斎藤が最後に笑ったことに気付けなかった。
「でででもっ、今更呼び方を変えるなんて私出来ませんっ……さ、斎藤さ……様だなんて」
夢主は目を回しそうなほど赤くなっていた。
斎藤はそれを感じ、ククッと小さく笑って眺めている。
「さ、斎藤様……」
小さな声で呟いて顔を上げると、斎藤がニヤニヤと笑っている。
斎藤の裏心を知らない夢主は、自分の今までの失礼を認識すると同時に、これまで隣にいてくれた斎藤が急に違う立場になってしまったようで、淋しさと共に悔しさを感じた。
照れながらも少しムッと感情を変えた夢主の変化に勘付いた斎藤は、揶揄うのもここまでかと冗談だと告げようとした。
しかし夢主がすっと立ち上がり、斎藤は様子を見た。
「ちょっと……厠へ……そのまま、朝餉でも……」
斎藤が見ていると、ぼぅっとした表情で頭を下げて部屋を出て行ってしまった。
「やれやれ、厄介……いや面白いことになりそうだな」
フンっと笑うと斎藤もおもむろに立ち上がった。
夢主は斎藤に告げた通り本当に厠に行き、朝餉を頂く為、新しい座敷へ向かっていた。
「斎藤……様、沖田様……原田様に永倉様……土方……様」
呟きながら歩きふと立ち止まり、溜め息を吐いた。
顔を上げると新しい座敷が目に入る。幹部の皆が集まる座敷だ。
「いきなり変えろって言われても無理だよ……確かに近藤さんと土方さんは特別なのかもしれないけど……局長、副長……でいいよね、土方様……土方様だなんてっ」
「何ぶつぶつ言ってんだ、座敷に入らねぇのか」
「わっ!!ひ、土方っ……」
様……あまりに小さな声だった為、土方の耳には届かず真っ赤に顔を染めている夢主を怪訝に見つめた。
「どうした、また顔が赤いぞ」
「ひっ……」
おでこに手を添えられ驚いた夢主は奇妙な声を出し目を瞑った。
「熱じゃねぇな。様子がおかしいぞ、どうしたまた何か困ってんのか」
「いぇっ……その、なんでもありませんっ」
「しかしなぁ、明らかにおかしいぞお前」
土方を見上げる目がおろおろと泳いでいる。
「だって、あの……ひ、土方様っ」
「はっ……」
恥じらいの余り目を瞑り、顔を背けて己の名を呼んだ夢主を、土方は目を丸くして見つめ返した。
「な、何だっ」
突然土方様と呼ばれ困惑するが、何か理由があるのかと耳まで紅潮した夢主を覗き込んだ。
「あっ?」
「みなさん斎藤さん達を先生と呼んだり、様……って……気付けば私、出会った頃からさん付けです。それが普通だと思ったので……」
「それは」
下らんことで悩むなと言い聞かせようとする斎藤だが、これは面白いと思い付いた。
いつもの悪い癖が疼き始める。
「確かに、あの時は言い直させる間も無いまま全てが進んでいったからな。近藤さんや土方さんに至っては局長と副長だ、さん付けはさすがにまずいだろう」
「そ、そうなんですか……そうですよね、どうしよう、知らないとはいえずっと失礼を……斎藤さんのことも……」
「まぁ本来は先生か様で呼ぶのが自然だろう、フッ」
気が動転した夢主は、斎藤が最後に笑ったことに気付けなかった。
「でででもっ、今更呼び方を変えるなんて私出来ませんっ……さ、斎藤さ……様だなんて」
夢主は目を回しそうなほど赤くなっていた。
斎藤はそれを感じ、ククッと小さく笑って眺めている。
「さ、斎藤様……」
小さな声で呟いて顔を上げると、斎藤がニヤニヤと笑っている。
斎藤の裏心を知らない夢主は、自分の今までの失礼を認識すると同時に、これまで隣にいてくれた斎藤が急に違う立場になってしまったようで、淋しさと共に悔しさを感じた。
照れながらも少しムッと感情を変えた夢主の変化に勘付いた斎藤は、揶揄うのもここまでかと冗談だと告げようとした。
しかし夢主がすっと立ち上がり、斎藤は様子を見た。
「ちょっと……厠へ……そのまま、朝餉でも……」
斎藤が見ていると、ぼぅっとした表情で頭を下げて部屋を出て行ってしまった。
「やれやれ、厄介……いや面白いことになりそうだな」
フンっと笑うと斎藤もおもむろに立ち上がった。
夢主は斎藤に告げた通り本当に厠に行き、朝餉を頂く為、新しい座敷へ向かっていた。
「斎藤……様、沖田様……原田様に永倉様……土方……様」
呟きながら歩きふと立ち止まり、溜め息を吐いた。
顔を上げると新しい座敷が目に入る。幹部の皆が集まる座敷だ。
「いきなり変えろって言われても無理だよ……確かに近藤さんと土方さんは特別なのかもしれないけど……局長、副長……でいいよね、土方様……土方様だなんてっ」
「何ぶつぶつ言ってんだ、座敷に入らねぇのか」
「わっ!!ひ、土方っ……」
様……あまりに小さな声だった為、土方の耳には届かず真っ赤に顔を染めている夢主を怪訝に見つめた。
「どうした、また顔が赤いぞ」
「ひっ……」
おでこに手を添えられ驚いた夢主は奇妙な声を出し目を瞑った。
「熱じゃねぇな。様子がおかしいぞ、どうしたまた何か困ってんのか」
「いぇっ……その、なんでもありませんっ」
「しかしなぁ、明らかにおかしいぞお前」
土方を見上げる目がおろおろと泳いでいる。
「だって、あの……ひ、土方様っ」
「はっ……」
恥じらいの余り目を瞑り、顔を背けて己の名を呼んだ夢主を、土方は目を丸くして見つめ返した。
「な、何だっ」
突然土方様と呼ばれ困惑するが、何か理由があるのかと耳まで紅潮した夢主を覗き込んだ。