78.貴方様
夢主名前設定
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気まずそうに斎藤も沖田も互いに目を合わせるが、すぐに目線を夢主に移した。
「新しい屯所で変わりはないかと思ったんだが、大丈夫そうだな」
「環境が変わって寝れないんじゃありませんか、大丈夫ですかっ」
「ふふっ、ご心配ありがとうございます、ぐっすり眠れていますよ。だってお二人に守られているみたいですから……」
ほんのり頬を染めて、二人に微笑みかけた。
夢主の部屋の出入りに使える障子は結局閉ざし、斎藤の部屋から出入りをした。
それが今までと変わらず自然に見えるだろうと結論付けたのだ。
「あっ……」
布団から出ようとした夢主は寝ている間に肌蹴た寝巻きに気が付き、恥ずかしそうに体を小さくして布団の中で裾を直した。
「あのっ、着替えたいのでいいでしょうか……」
立ち上がると乱れた寝巻きが崩れてしまいそうで、赤らんだ顔で二人を見上げた。
斎藤と沖田は先程のいがみ合いのせいで互いへの牽制に気が向き、気を利かせられずに寝起きの女をずっとを眺めていると、ようやく気が付いた。
「すみませんっ、気が付かなくてっ」
「あぁ、ゆっくり着替えろ」
沖田は慌てて顔を引っ込め、斎藤は落ち着いて部屋に戻ろうとした。
「あれ……」
「どうした」
二人が出て行くのを目にしながら、布団の中で座り直した夢主が何かに気が付き声を上げた。
「いぇっ……何でもありません」
布団に目を落とした夢主は何かを手に収めたように見えた。
斎藤が視線を外さずに立っていると、やがて顔を上げた夢主と目が合った。
途端に困った顔を見せるが、観念してそっと何かを握った手を斎藤に差し出した。
「これが……」
小さく開かれた手だが、離れて立つ斎藤からはその中に隠されたものが見えなかった。
ゆっくり近寄り片膝を付くと、目に入った物にハッとした。細い目が僅かに大きくなる。
「これは」
眉間に皺を寄せ、夢主の手に乗るものに触れようとするが、触れる寸前に思い留まった。
「何の真似だ」
「わかりません……」
「藤の花、あの小僧しかおらんだろう」
あからさまに腹立たしさを言葉にし、花の主を小馬鹿にして小僧と呼んだ。
「蒼紫様……夜、来ていたのでしょうか」
斎藤の眉がピクリと動く。
「俺達がいる時ならば気が付いただろう、それくらいは察知できる。巡察中に置いていったか、屯所を移っても把握しているとでも言いたいのか」
「何事ですか」
「沖田さん、あの……この花が」
夢主と斎藤の話し声に着替えを済ませた沖田が入ってきた。
花を目にするなり気に入らないと顔に表した沖田は、稽古着を身につけていた。今朝の朝稽古の指南役は沖田だ。
「葵屋の忍の少年ですか、何だってまた花なんか」
「夢主の居場所は把握している、いつもで来られるとでも言いたいんだろう、ちっ」
斎藤は舌打ちをして立ち上がった。
「新しい屯所で変わりはないかと思ったんだが、大丈夫そうだな」
「環境が変わって寝れないんじゃありませんか、大丈夫ですかっ」
「ふふっ、ご心配ありがとうございます、ぐっすり眠れていますよ。だってお二人に守られているみたいですから……」
ほんのり頬を染めて、二人に微笑みかけた。
夢主の部屋の出入りに使える障子は結局閉ざし、斎藤の部屋から出入りをした。
それが今までと変わらず自然に見えるだろうと結論付けたのだ。
「あっ……」
布団から出ようとした夢主は寝ている間に肌蹴た寝巻きに気が付き、恥ずかしそうに体を小さくして布団の中で裾を直した。
「あのっ、着替えたいのでいいでしょうか……」
立ち上がると乱れた寝巻きが崩れてしまいそうで、赤らんだ顔で二人を見上げた。
斎藤と沖田は先程のいがみ合いのせいで互いへの牽制に気が向き、気を利かせられずに寝起きの女をずっとを眺めていると、ようやく気が付いた。
「すみませんっ、気が付かなくてっ」
「あぁ、ゆっくり着替えろ」
沖田は慌てて顔を引っ込め、斎藤は落ち着いて部屋に戻ろうとした。
「あれ……」
「どうした」
二人が出て行くのを目にしながら、布団の中で座り直した夢主が何かに気が付き声を上げた。
「いぇっ……何でもありません」
布団に目を落とした夢主は何かを手に収めたように見えた。
斎藤が視線を外さずに立っていると、やがて顔を上げた夢主と目が合った。
途端に困った顔を見せるが、観念してそっと何かを握った手を斎藤に差し出した。
「これが……」
小さく開かれた手だが、離れて立つ斎藤からはその中に隠されたものが見えなかった。
ゆっくり近寄り片膝を付くと、目に入った物にハッとした。細い目が僅かに大きくなる。
「これは」
眉間に皺を寄せ、夢主の手に乗るものに触れようとするが、触れる寸前に思い留まった。
「何の真似だ」
「わかりません……」
「藤の花、あの小僧しかおらんだろう」
あからさまに腹立たしさを言葉にし、花の主を小馬鹿にして小僧と呼んだ。
「蒼紫様……夜、来ていたのでしょうか」
斎藤の眉がピクリと動く。
「俺達がいる時ならば気が付いただろう、それくらいは察知できる。巡察中に置いていったか、屯所を移っても把握しているとでも言いたいのか」
「何事ですか」
「沖田さん、あの……この花が」
夢主と斎藤の話し声に着替えを済ませた沖田が入ってきた。
花を目にするなり気に入らないと顔に表した沖田は、稽古着を身につけていた。今朝の朝稽古の指南役は沖田だ。
「葵屋の忍の少年ですか、何だってまた花なんか」
「夢主の居場所は把握している、いつもで来られるとでも言いたいんだろう、ちっ」
斎藤は舌打ちをして立ち上がった。