77.俺の初めてをくれてやる
夢主名前設定
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「あの、沖田さん。探している人が見つかっても、お話なさらないでくださいね……その……」
「分かっていますよ、お嫌いなんでしょう、僕達壬生狼や浪士達が」
「はぃ……ごめんなさい」
世間で起きている権力闘争から距離を置く比古清十郎を思い、夢主は沖田に願い出た。
誰にでも好かれる沖田の人柄はきっと比古も気に入るだろう。
だが新選組の幹部である限り、その存在を毛嫌いされてもおかしくない。
「気にしませんよ、だいたいの人は僕達を陰で嫌っていますからね」
「沖田さん……」
切ない事実を笑顔で語る沖田に夢主は寂しさを感じた。
好かれていなくとも全力でこの町を、その人達を守るのだ。斎藤や沖田はただ懸命に戦っている。
「でも、若い女の方々には人気じゃありませんか」
「あははっ、そうだったかなっ」
夢主のお世辞のような台詞に沖田は興味が無いですからと笑ってみせた。
話しているうちに一番近い酒屋に辿り着いた。斎藤や沖田が普段通っている酒屋だ。
他の隊士達も近いことを理由に懇意にしていた。
「さて、まずはこの酒屋ですね」
「は、はいっ」
中に入ると沖田の顔を見て店の主人が笑顔で声を掛けてきた。
気さくな沖田、そして馴染みの客である為、普段から様々な話を聞かせてくれる。
「背の高い白い外套の男、さぁて、見てへんなぁ」
「そうですか……ありがとうございます」
「新選組のみなはん、やどがいしはるんどすか」
「や……やどが……」
「引越し、ですわ」
「あぁ!えぇ今まさに引越しの最中なんですよ」
「さよですか、そんな大事にお越しくださって、いやぁこれからもどうぞご贔屓に」
「もちろんです、僕はこちらのお酒がお気に入りですから」
店の主人と幾つか会話をし、気付けば沖田はいつもの酒瓶を手にしていた。
「ありがとうございます」
主人に送られた沖田は礼を述べ、丁寧に頭を下げて歩き出した。
「あそこのご主人もいい方なんですよね、僕つい通っちゃうんです」
「ふふっ、そんな沖田さんもいい人ですっ」
比古の情報は得られなかったが、足取りは軽い。
気の好い人物と会話するのは楽しい時間だ。
「次のお店は以前すれ違ったお店ですね……聞き込みをした時は暫く見ていないと言っていましたけど、期待しましょう」
「はい」
夢主もはっきりと覚えていた。
以前、店の中から出てきた比古清十郎とすれ違った瞬間を。
「着きました……入りましょう」
店の入り口で一旦立ち止まった。妙な緊張感を感じる。
沖田の言葉に頷き、揃って暖簾をくぐった。
「分かっていますよ、お嫌いなんでしょう、僕達壬生狼や浪士達が」
「はぃ……ごめんなさい」
世間で起きている権力闘争から距離を置く比古清十郎を思い、夢主は沖田に願い出た。
誰にでも好かれる沖田の人柄はきっと比古も気に入るだろう。
だが新選組の幹部である限り、その存在を毛嫌いされてもおかしくない。
「気にしませんよ、だいたいの人は僕達を陰で嫌っていますからね」
「沖田さん……」
切ない事実を笑顔で語る沖田に夢主は寂しさを感じた。
好かれていなくとも全力でこの町を、その人達を守るのだ。斎藤や沖田はただ懸命に戦っている。
「でも、若い女の方々には人気じゃありませんか」
「あははっ、そうだったかなっ」
夢主のお世辞のような台詞に沖田は興味が無いですからと笑ってみせた。
話しているうちに一番近い酒屋に辿り着いた。斎藤や沖田が普段通っている酒屋だ。
他の隊士達も近いことを理由に懇意にしていた。
「さて、まずはこの酒屋ですね」
「は、はいっ」
中に入ると沖田の顔を見て店の主人が笑顔で声を掛けてきた。
気さくな沖田、そして馴染みの客である為、普段から様々な話を聞かせてくれる。
「背の高い白い外套の男、さぁて、見てへんなぁ」
「そうですか……ありがとうございます」
「新選組のみなはん、やどがいしはるんどすか」
「や……やどが……」
「引越し、ですわ」
「あぁ!えぇ今まさに引越しの最中なんですよ」
「さよですか、そんな大事にお越しくださって、いやぁこれからもどうぞご贔屓に」
「もちろんです、僕はこちらのお酒がお気に入りですから」
店の主人と幾つか会話をし、気付けば沖田はいつもの酒瓶を手にしていた。
「ありがとうございます」
主人に送られた沖田は礼を述べ、丁寧に頭を下げて歩き出した。
「あそこのご主人もいい方なんですよね、僕つい通っちゃうんです」
「ふふっ、そんな沖田さんもいい人ですっ」
比古の情報は得られなかったが、足取りは軽い。
気の好い人物と会話するのは楽しい時間だ。
「次のお店は以前すれ違ったお店ですね……聞き込みをした時は暫く見ていないと言っていましたけど、期待しましょう」
「はい」
夢主もはっきりと覚えていた。
以前、店の中から出てきた比古清十郎とすれ違った瞬間を。
「着きました……入りましょう」
店の入り口で一旦立ち止まった。妙な緊張感を感じる。
沖田の言葉に頷き、揃って暖簾をくぐった。