76.露見
夢主名前設定
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屯所では葬式に参列出来ない夢主がひとり部屋の中で山南を悼んでいた。
「山南さん……お優しそうな方だった……沖田さんの泣ける場所は、私が作ります……」
葬式が終わった気配を感じた夢主は、斎藤が戻るのを待っていた。
だが一向に戻って来ない。
そんな折、不運にも廊下で伊東と鉢合わせてしまった。
避けるわけにも行かず、こちらへ歩いてくる伊東にどう挨拶すべきか言葉を探しあぐねる。
何を考えているか分からない伊東だが、山南とは仲が良く、議論を深めていた。
澄ました顔を保っていても本心では落ち込んでいるのだろうか、夢主は近付いてくる伊東の顔色を窺った。
「伊東さん……」
「山南さんも残念でしたわね」
頭を下げて言葉に迷う夢主に変わり、伊東が先に言葉を紡いだ。
くすりと首を傾げて少し切なげに微笑んでいる。
「はぃ……伊東さんもお辛いのではないですか。とてもよくお話されていましたし……」
「そうね……色々とよく話したものよ。だから尚更残念なのよ……もう少し役に立って欲しかったから」
「えっ……」
悲しみの言葉の代わりに出てきた言葉。夢主は目を丸くした。
「彼はもう少し賢いと思ったのよ。おめおめと帰ってきて腹を切るなんて……全く呆れて言葉も出ないわ」
「伊東……さん?」
「使えない男だったと言ったのよ」
伊東は急に声色を変えて眉をしかめ、更に細くなった目から尖った視線を夢主に突きつけた。
「伊東さん……そんなっ……まさか伊東さんが山南さんを……」
「ふふっ、与えた情報は本物なのよ、大津で身を潜めていた長州のある重要人物に桂が会いに行ったという情報、確実なものだったわ」
……長州のある人物……剣心!……
巴を失ってもなお大津に身を潜め、桂からの連絡を待っていた緋村。
その緋村に桂が会いに行ったとの情報を伊東は手に入れたのだ。
「でもその情報をくれた男もその後ぱったり、連絡が付かなくなったわ」
……飯塚さん、そうだ志々雄さんに斬られたんだ……まさかっ……そこまでっ……
裏で情報が伊東に回っていると思わなかった夢主は、辻褄があってしまった話の流れに驚いた。
「意外と驚かないものね、まさか貴女それもご存知だったのかしら……」
「まさかっ……驚いています……そんな……」
山南をけしかけたのが伊東であった事にも、裏で繋がっていた事にも驚いていた。
「動くのが遅かったようね、山南さんは。期待外れだわ」
「そんなっ……伊東さんが山南さんを……どうして……どうしてそんなことしたんですかっ!!あんなに人のいい山南さんをそそのかしてっ、どうしてっ……山南さんをっ!!」
伊東を見上げる瞳から涙が零れ始めた。
「山南さん……お優しそうな方だった……沖田さんの泣ける場所は、私が作ります……」
葬式が終わった気配を感じた夢主は、斎藤が戻るのを待っていた。
だが一向に戻って来ない。
そんな折、不運にも廊下で伊東と鉢合わせてしまった。
避けるわけにも行かず、こちらへ歩いてくる伊東にどう挨拶すべきか言葉を探しあぐねる。
何を考えているか分からない伊東だが、山南とは仲が良く、議論を深めていた。
澄ました顔を保っていても本心では落ち込んでいるのだろうか、夢主は近付いてくる伊東の顔色を窺った。
「伊東さん……」
「山南さんも残念でしたわね」
頭を下げて言葉に迷う夢主に変わり、伊東が先に言葉を紡いだ。
くすりと首を傾げて少し切なげに微笑んでいる。
「はぃ……伊東さんもお辛いのではないですか。とてもよくお話されていましたし……」
「そうね……色々とよく話したものよ。だから尚更残念なのよ……もう少し役に立って欲しかったから」
「えっ……」
悲しみの言葉の代わりに出てきた言葉。夢主は目を丸くした。
「彼はもう少し賢いと思ったのよ。おめおめと帰ってきて腹を切るなんて……全く呆れて言葉も出ないわ」
「伊東……さん?」
「使えない男だったと言ったのよ」
伊東は急に声色を変えて眉をしかめ、更に細くなった目から尖った視線を夢主に突きつけた。
「伊東さん……そんなっ……まさか伊東さんが山南さんを……」
「ふふっ、与えた情報は本物なのよ、大津で身を潜めていた長州のある重要人物に桂が会いに行ったという情報、確実なものだったわ」
……長州のある人物……剣心!……
巴を失ってもなお大津に身を潜め、桂からの連絡を待っていた緋村。
その緋村に桂が会いに行ったとの情報を伊東は手に入れたのだ。
「でもその情報をくれた男もその後ぱったり、連絡が付かなくなったわ」
……飯塚さん、そうだ志々雄さんに斬られたんだ……まさかっ……そこまでっ……
裏で情報が伊東に回っていると思わなかった夢主は、辻褄があってしまった話の流れに驚いた。
「意外と驚かないものね、まさか貴女それもご存知だったのかしら……」
「まさかっ……驚いています……そんな……」
山南をけしかけたのが伊東であった事にも、裏で繋がっていた事にも驚いていた。
「動くのが遅かったようね、山南さんは。期待外れだわ」
「そんなっ……伊東さんが山南さんを……どうして……どうしてそんなことしたんですかっ!!あんなに人のいい山南さんをそそのかしてっ、どうしてっ……山南さんをっ!!」
伊東を見上げる瞳から涙が零れ始めた。