8.若狼
夢主名前設定
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「ぇ」
思いがけない言葉に夢主は固まってしまった。
「あの時は悪かった。忘れてくれるなら俺はありがたい。所でだ」
斎藤は何か伝えたいようだ。
夢主の前に正座した。
「そんな顔をするな」
斎藤は少し困ったように僅かに眉を寄せた。
夢主は意味が分からず首を傾げている。
「それだ。……お前、夜更けに男の前で、やすやすとそんな顔をしてくれるな」
「……どんな……」
夢主が戸惑うと頬はますます染まり、涙が浮かぶと瞳が揺れて、斎藤は堪らずまた溜息を吐いた。
余程の世間知らずか、先の世は男は大層我慢強いのか。余りに無防備な夢主の態度に斎藤は首を小さく振った。
「顔を赤らめて上気させ、潤んだ瞳の上目遣いを見せられ、その気がなくとも男が惑うだろう。お前の時代に据え膳食わぬはなんとやらという言葉はなかったのか」
……その気が無くても……もしかして永倉さんの事、そっか……永倉さんがあんなに謝っていたのは……そんな気無かったのに……
夢主は永倉に対する申し訳なさが込み上げてきた。必死に堪えていたものを自分の振る舞いで引き出してしまったのか。
しかし釈然としない。
「別にお前が悪いのではない。だが、少し軽率だったな。最初の対応もだ」
斎藤は夢主がペラペラと幹部の皆の名や得意の剣技を言い当てた事を指摘した。
「……確かに……考えが足りませんでした……」
あの場を思い出して夢主は素直に反省した。
良く見ていれば皆の顔色が変わっていくのが分かったはず。それをせず調子に乗ってしまった。
「でも、それでも酷いです……みんな……この時代の男の方って、女の人を物凄く軽視してませんか……気に入ったら、すぐにっ……手篭めに、してしまえとか!!」
夢主の語気は段々荒くなっていった。
考えれば考えるほど腹が立つ。
斎藤が悪い訳ではないが、一度噴出した怒りは止まらなかった。
「私だって!本当に想う人と心が通じて!……初めて……結ばれたかったです……女の子なら……普通でしょ……違うのかな、この時代じゃ……女の子は感情の無いものなのかな……嫌だって思っちゃ、いけないんですか!」
夢主は言うほどに胸が苦しくなり、両手を体の前で握りしめた。
大切な何かを握り潰された悔しさと、どうにも出来ないやるせなさで胸の奥が熱く、苦しかった。
苦しくて、目の前の男に怒りをぶつけた。
思いがけない言葉に夢主は固まってしまった。
「あの時は悪かった。忘れてくれるなら俺はありがたい。所でだ」
斎藤は何か伝えたいようだ。
夢主の前に正座した。
「そんな顔をするな」
斎藤は少し困ったように僅かに眉を寄せた。
夢主は意味が分からず首を傾げている。
「それだ。……お前、夜更けに男の前で、やすやすとそんな顔をしてくれるな」
「……どんな……」
夢主が戸惑うと頬はますます染まり、涙が浮かぶと瞳が揺れて、斎藤は堪らずまた溜息を吐いた。
余程の世間知らずか、先の世は男は大層我慢強いのか。余りに無防備な夢主の態度に斎藤は首を小さく振った。
「顔を赤らめて上気させ、潤んだ瞳の上目遣いを見せられ、その気がなくとも男が惑うだろう。お前の時代に据え膳食わぬはなんとやらという言葉はなかったのか」
……その気が無くても……もしかして永倉さんの事、そっか……永倉さんがあんなに謝っていたのは……そんな気無かったのに……
夢主は永倉に対する申し訳なさが込み上げてきた。必死に堪えていたものを自分の振る舞いで引き出してしまったのか。
しかし釈然としない。
「別にお前が悪いのではない。だが、少し軽率だったな。最初の対応もだ」
斎藤は夢主がペラペラと幹部の皆の名や得意の剣技を言い当てた事を指摘した。
「……確かに……考えが足りませんでした……」
あの場を思い出して夢主は素直に反省した。
良く見ていれば皆の顔色が変わっていくのが分かったはず。それをせず調子に乗ってしまった。
「でも、それでも酷いです……みんな……この時代の男の方って、女の人を物凄く軽視してませんか……気に入ったら、すぐにっ……手篭めに、してしまえとか!!」
夢主の語気は段々荒くなっていった。
考えれば考えるほど腹が立つ。
斎藤が悪い訳ではないが、一度噴出した怒りは止まらなかった。
「私だって!本当に想う人と心が通じて!……初めて……結ばれたかったです……女の子なら……普通でしょ……違うのかな、この時代じゃ……女の子は感情の無いものなのかな……嫌だって思っちゃ、いけないんですか!」
夢主は言うほどに胸が苦しくなり、両手を体の前で握りしめた。
大切な何かを握り潰された悔しさと、どうにも出来ないやるせなさで胸の奥が熱く、苦しかった。
苦しくて、目の前の男に怒りをぶつけた。