73.籤吉凶
夢主名前設定
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部屋に入ると、穏やかな顔付きに戻った夢主が、体半分を布団に入れた状態で座っていた。
「熱は下がったようだな」
「はい」
腰を下ろしてたらいを置く斎藤、布団の上の自らの半纏を取り、夢主に羽織らせてやった。
「体が冷えるだろう、着ていろ」
「はい」
恥ずかしげに首を傾げる夢主、斎藤は手拭いを取ると水に浸して固く絞った。
「あの……先生……」
困惑したのは鉄之助で、障子を閉めて斎藤のそばに座り、何をする気なのかと小声で訊ねた。
斎藤は返事をせずに、大人しくされるがまま任せようとしている夢主に告げた。
「髪を拭いてやる。汗を掻いたと聞いたが」
「はぃ……いっぱい汗掻いちゃって着替えたところです」
「そうか。両手を上げての動きは疲れるだろう……拭いてやるから大人しくしていろ」
「……」
夢主が小さく頷くと斎藤は髪を束ねる紐に手を掛け、するりと外した。
艶やかな髪がゆっくりと広がる。汗ばんで少し重そうな動きを見せた。
斎藤はそんな湿った髪を指ですくうと、優しく撫でるように拭き取り始めた。
少しずつ、丁寧に……静かな時間が過ぎていく。
鉄之助はそんな二人を前に、緊張して固まっていた。
正座する膝の上で両拳が緊張のあまり震えていた。
「……っぁ……」
「どうした」
突然夢主の体が跳ね、斎藤は髪を掴んだ手を止めた。
「すみません、斎藤さんの手が……くすぐったくて……その、首に当たると……」
「あぁお前は首が弱かったな」
「もぉっ、そんな言い方っ!」
「ははっ、まぁだが事実だろ。首筋が感じやすい……」
「くっ、くすぐったいんですっ」
「フッ、まぁ病み上がりを揶揄って熱が上がっては困るからな、触れぬように気をつけるさ」
ごくり……鉄之助の生唾を飲む音が部屋に響いた。
二人の色っぽい会話に耐えられなかったのだ。夢主よりも顔を赤く染めていた。
「ふふっ……」
あまりの緊張具合に夢主が小さな笑い声を上げた。
「あぁああのっ、すみませんっ、変な音を立ててしまって」
「ふふっ、気にしませんよ。鉄之助君、良かったら土方さんに熱が下がったと伝えに行ってもらえませんか、まだ……ですよね」
「あっ!」
自分の役目を言い訳に、堂々とこの場を離れられる鉄之助は、勢いよく畳を蹴った。
「失礼しますっ!」
「ふふっ……」
「面白い奴だな」
ほっとした様子で出て行った鉄之助を二人揃って可愛らしく感じていた。
「熱は下がったようだな」
「はい」
腰を下ろしてたらいを置く斎藤、布団の上の自らの半纏を取り、夢主に羽織らせてやった。
「体が冷えるだろう、着ていろ」
「はい」
恥ずかしげに首を傾げる夢主、斎藤は手拭いを取ると水に浸して固く絞った。
「あの……先生……」
困惑したのは鉄之助で、障子を閉めて斎藤のそばに座り、何をする気なのかと小声で訊ねた。
斎藤は返事をせずに、大人しくされるがまま任せようとしている夢主に告げた。
「髪を拭いてやる。汗を掻いたと聞いたが」
「はぃ……いっぱい汗掻いちゃって着替えたところです」
「そうか。両手を上げての動きは疲れるだろう……拭いてやるから大人しくしていろ」
「……」
夢主が小さく頷くと斎藤は髪を束ねる紐に手を掛け、するりと外した。
艶やかな髪がゆっくりと広がる。汗ばんで少し重そうな動きを見せた。
斎藤はそんな湿った髪を指ですくうと、優しく撫でるように拭き取り始めた。
少しずつ、丁寧に……静かな時間が過ぎていく。
鉄之助はそんな二人を前に、緊張して固まっていた。
正座する膝の上で両拳が緊張のあまり震えていた。
「……っぁ……」
「どうした」
突然夢主の体が跳ね、斎藤は髪を掴んだ手を止めた。
「すみません、斎藤さんの手が……くすぐったくて……その、首に当たると……」
「あぁお前は首が弱かったな」
「もぉっ、そんな言い方っ!」
「ははっ、まぁだが事実だろ。首筋が感じやすい……」
「くっ、くすぐったいんですっ」
「フッ、まぁ病み上がりを揶揄って熱が上がっては困るからな、触れぬように気をつけるさ」
ごくり……鉄之助の生唾を飲む音が部屋に響いた。
二人の色っぽい会話に耐えられなかったのだ。夢主よりも顔を赤く染めていた。
「ふふっ……」
あまりの緊張具合に夢主が小さな笑い声を上げた。
「あぁああのっ、すみませんっ、変な音を立ててしまって」
「ふふっ、気にしませんよ。鉄之助君、良かったら土方さんに熱が下がったと伝えに行ってもらえませんか、まだ……ですよね」
「あっ!」
自分の役目を言い訳に、堂々とこの場を離れられる鉄之助は、勢いよく畳を蹴った。
「失礼しますっ!」
「ふふっ……」
「面白い奴だな」
ほっとした様子で出て行った鉄之助を二人揃って可愛らしく感じていた。