73.籤吉凶
夢主名前設定
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夢主の風邪が発覚した後、土方に呼び出された鉄之助はその世話を言いつけられ緊張していた。
「だって、土方先生、先日は関わるなよって仰ったじゃありませんか……その……」
「鉄、お前を男と見込んでの頼みだ。あいつの世話を出来るのは今お前しかいないんだよ。色目なしに世話役を果たせるか」
「はっ……はいっ!土方先生がそこまで仰ってくださるのならっ!」
「くくっ……あぁ、頼んだぜ!」
「はい!」
深々と頭を下げて部屋を出た鉄之助。
部屋に残った土方はくっくっと小さく笑っていた。
「風邪を引いても構わないのがお前ぐらいだとは、言えねぇからな。くくっ、上手いことのっかってくれたよ……悪ぃな鉄、頑張れよ!お前は丈夫だから風邪もうつらねぇだろう」
……まぁ……夢主のそばで過ごしたら、いい思い出くらいにはなるだろう……
少しのご褒美にでもなるさと土方は肩を揺らして笑った。
沖田の部屋では他愛のない話をしながら夢主が食事を済ませていた。
「ありがとう鉄之助君……本当は土方さんや皆さんのお世話役なのに、風邪の私のお世話だなんて」
「ははっ、気になりませんよ!先生方を追い出せるなんて最初で最後かもしれませんからね、面白かったですよ」
「ふふっ、いけないの」
「ははっ」
食事が終わるまで付き添った鉄之助は、笑って食べ終えた膳を手にした。
「ではゆっくり休んでくださいね、私は片付けたら戻りますので」
「はい、お願いします」
鉄之助は、にこっと少年らしい笑顔を見せ、部屋を出て行った。
夢主は自分のおでこに手を置いてみた。
顔が火照って感じるのはやはり熱なのだ、俄かに背筋がぞくりとする。
「寒気かな……寝てよう……」
するすると布団に潜り込むと冷えた布団に寒さを感じる。
「温まるまでが寒いんだよね……」
ぶるっと無意識の震えを感じて目を閉じた。
次に目を覚ましたのは、震えるような寒さを感じてだった。
「寒い……」
「あ、夢主さん、お目覚めですか」
「はぃ……鉄之助君、本読んでるの?」
そばで控える鉄之助は静かに本に目を通していた。
本を閉じると夢主に顔を向けた。
「はい、近藤先生に借りたんです、勉強になります」
「そうですか……鉄之助君は凄いんですね」
「いえ、私なんて……夢主さんも論語を勉強なさっているのでしょう」
「あ……勉強というより……斎藤さんの字を覚えたくて」
「へぇ、斎藤先生の字をですか」
「はぃ……所で頼みたいことがあるんですけど……」
「何でしょう」
話す夢主の顔色が先程より青白くなっていた。
血の気が引いたように顔色が悪い。
「少し寒くて……何か掛ける物をもらえませんか……」
「大丈夫ですか、分かりました。布団貰ってきます!寝ていてくださいね!」
そう言うと部屋を飛び出していった。
物静かに座っていたと思ったら突然の騒々しさに、夢主も呆気にとられた。
気を取り直して布団に潜り込むと火照るのに小刻みに震える自分の体を感じる。
「寒い……熱のせいなのか、ぼぉっとするな……」
布団の中で体を小さくして、揺れる天井を眺めて鉄之助が戻るのをじっと待った。
いつしか目を閉じ、意識は消えていた。
「何だ、騒々しいな」
大きな足音を立てて走る鉄之助を斎藤が呼び止めた。
一度は追い払われたが、沖田の部屋へ様子を見に戻って来たのだ。
鉄之助は布団を抱えている。
「あっ……斎藤先生っ」
「布団か、どうした」
「夢主さんが寒いと……あの、戸を開けてくださると助かるのですが……」
「フン」
必死な様子で申し訳なさそうに頼む鉄之助を斎藤は鼻で笑い、戸を開けてやった。
懸命な姿と目上の自分に気を使う姿が対照的で面白い。
鉄之助が中に入り、横になる夢主に布団を掛け足している。
斎藤も部屋に入ろうとするが、突然振り返った鉄之助が待ったをかけた。
夢主は動かない。寝ているのだろう。
「だって、土方先生、先日は関わるなよって仰ったじゃありませんか……その……」
「鉄、お前を男と見込んでの頼みだ。あいつの世話を出来るのは今お前しかいないんだよ。色目なしに世話役を果たせるか」
「はっ……はいっ!土方先生がそこまで仰ってくださるのならっ!」
「くくっ……あぁ、頼んだぜ!」
「はい!」
深々と頭を下げて部屋を出た鉄之助。
部屋に残った土方はくっくっと小さく笑っていた。
「風邪を引いても構わないのがお前ぐらいだとは、言えねぇからな。くくっ、上手いことのっかってくれたよ……悪ぃな鉄、頑張れよ!お前は丈夫だから風邪もうつらねぇだろう」
……まぁ……夢主のそばで過ごしたら、いい思い出くらいにはなるだろう……
少しのご褒美にでもなるさと土方は肩を揺らして笑った。
沖田の部屋では他愛のない話をしながら夢主が食事を済ませていた。
「ありがとう鉄之助君……本当は土方さんや皆さんのお世話役なのに、風邪の私のお世話だなんて」
「ははっ、気になりませんよ!先生方を追い出せるなんて最初で最後かもしれませんからね、面白かったですよ」
「ふふっ、いけないの」
「ははっ」
食事が終わるまで付き添った鉄之助は、笑って食べ終えた膳を手にした。
「ではゆっくり休んでくださいね、私は片付けたら戻りますので」
「はい、お願いします」
鉄之助は、にこっと少年らしい笑顔を見せ、部屋を出て行った。
夢主は自分のおでこに手を置いてみた。
顔が火照って感じるのはやはり熱なのだ、俄かに背筋がぞくりとする。
「寒気かな……寝てよう……」
するすると布団に潜り込むと冷えた布団に寒さを感じる。
「温まるまでが寒いんだよね……」
ぶるっと無意識の震えを感じて目を閉じた。
次に目を覚ましたのは、震えるような寒さを感じてだった。
「寒い……」
「あ、夢主さん、お目覚めですか」
「はぃ……鉄之助君、本読んでるの?」
そばで控える鉄之助は静かに本に目を通していた。
本を閉じると夢主に顔を向けた。
「はい、近藤先生に借りたんです、勉強になります」
「そうですか……鉄之助君は凄いんですね」
「いえ、私なんて……夢主さんも論語を勉強なさっているのでしょう」
「あ……勉強というより……斎藤さんの字を覚えたくて」
「へぇ、斎藤先生の字をですか」
「はぃ……所で頼みたいことがあるんですけど……」
「何でしょう」
話す夢主の顔色が先程より青白くなっていた。
血の気が引いたように顔色が悪い。
「少し寒くて……何か掛ける物をもらえませんか……」
「大丈夫ですか、分かりました。布団貰ってきます!寝ていてくださいね!」
そう言うと部屋を飛び出していった。
物静かに座っていたと思ったら突然の騒々しさに、夢主も呆気にとられた。
気を取り直して布団に潜り込むと火照るのに小刻みに震える自分の体を感じる。
「寒い……熱のせいなのか、ぼぉっとするな……」
布団の中で体を小さくして、揺れる天井を眺めて鉄之助が戻るのをじっと待った。
いつしか目を閉じ、意識は消えていた。
「何だ、騒々しいな」
大きな足音を立てて走る鉄之助を斎藤が呼び止めた。
一度は追い払われたが、沖田の部屋へ様子を見に戻って来たのだ。
鉄之助は布団を抱えている。
「あっ……斎藤先生っ」
「布団か、どうした」
「夢主さんが寒いと……あの、戸を開けてくださると助かるのですが……」
「フン」
必死な様子で申し訳なさそうに頼む鉄之助を斎藤は鼻で笑い、戸を開けてやった。
懸命な姿と目上の自分に気を使う姿が対照的で面白い。
鉄之助が中に入り、横になる夢主に布団を掛け足している。
斎藤も部屋に入ろうとするが、突然振り返った鉄之助が待ったをかけた。
夢主は動かない。寝ているのだろう。