73.籤吉凶
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「あ……大吉っ……大吉?沖田さんっ!」
「あはは~大吉ですねー!流石は夢主ちゃん」
「わぁ……でも沖田さんが引いてくれたのなら、半分は沖田さんの大吉ですよっ!ありがとうございます!」
わぁっと顔を綻ばせて他の文字に目をやる夢主。
読み取れる字を見つけ繋いでいく。やがて意味を成した文章が見えて来た。
「えぇと……待ち人……必ず来る!願い事……良し……」
……婚姻……遅かれど叶う……
はっと頬を赤らめて固まる夢主、見守る男達は先が読めずに困っているのかと様子を窺うが、嬉しそうにはにかんでいるのが分かった。
見ている側も御神籤の文面に気恥ずかしくなってしまい、誤魔化すように言葉を掛けた。
「ま、まぁ良かったな夢主、大吉だってよ」
「あぁ!いい一年になるだろうよ!」
「はいっ」
嬉しさ満面の笑みで答える夢主、待ち人とはきっと比古師匠だと、手掛かりに期待を持った。
そして他の項目は……
斎藤の顔を見るとフンと目を逸らされてしまった。だがニッと上がった口角が柔らかく緩むのが見えた。
「まぁ所詮は籤だが良かったな」
「えへへっ……」
「斎藤さんのも引いてあげたんですよーっ!」
「余計なことを」
「斎藤さんの、見たいですっ」
沖田に視線が集まるが、あっけらかんと笑って手を頭の後ろに回すだけであった。
「あはは~~っ、実は斎藤さんの大大凶だったんですよ!見ないでしょう、大大凶!あまりに可哀相なのでお寺に置いてきちゃいましたよ」
「フン、嘘に決まっている」
興味ないとは言え最も悪いといわれるといい気分はしない。
斎藤は沖田を横目に睨んでいた。
「あははっ怖いですねーっ。本当のこと言うと大凶でした。大大凶は流石に言いすぎでしたねっ、ははっ!まぁ大凶も見ませんけどねー」
「ちっ」
下らんとばかりに舌打ちをする斎藤、沖田は相変わらずにこにこ笑っている。
「お前のを見せてみろ。読めない部分は無いのか」
斎藤は話題を変えようとおもむろに夢主の御神籤に手を伸ばした。
「んっ」
ふと触れた手に違和感を覚えた。
御神籤を床に置くと夢主の手を握り、反対の手で夢主の首から耳の後ろにかけて、遠慮なく触れた。
「おぉおいっ」
「ちょっ、斎藤さん!朝から何をっ!」
驚く夢主の周りで沖田や永倉が本人よりも大きな声をあげた。
だが斎藤は至って真面目な顔だ。
「熱くはないか」
「えっ……」
恥ずかしさでの火照りと自覚していた夢主、斎藤に指摘されると、動いた瞬間くらりとするものを覚えた。
「待ってください、斎藤さん」
沖田は斎藤から奪うように夢主の頬に手をあてた。
「わっ……沖田さん……」
「んん……」
照れる夢主を余所に沖田はおでこに手を当て、感じるものを考えていた。
気のせいか、外にいた自分が冷えているのか。
「おい、総司」
「あの……」
「うん……熱いな……」
かわるがわる熱を計ろうと体に触れてくる皆に夢主は戸惑った。
原田は自らの額を合わせて呟いた。満場一致で顔を見合わせ男達は頷いた。
「熱があるじゃねぇか」
「えぇ……そんな……大丈夫ですよ……」
抵抗を見せる夢主の頬に、斎藤は改めて自らの手を添えた。
普段ならば温かいと感じる斎藤の手、今は違って感じる。
夢主は不思議そうに目を瞬かせた。その目が少し赤く充血している。
「熱いか」
「……冷たいです……」
「お前の顔が熱い証拠だ。これだけいて揃ってお前の体が熱いと言ってるんだぞ、熱だろう。目も赤い」
「そんな……」
思い起こせば壬生寺での心地よい一時はとても冷える時間でもあった。
体の芯まで冷えてしまったのだろう。
「籤もいいが少し横になれ」
「あはは~大吉ですねー!流石は夢主ちゃん」
「わぁ……でも沖田さんが引いてくれたのなら、半分は沖田さんの大吉ですよっ!ありがとうございます!」
わぁっと顔を綻ばせて他の文字に目をやる夢主。
読み取れる字を見つけ繋いでいく。やがて意味を成した文章が見えて来た。
「えぇと……待ち人……必ず来る!願い事……良し……」
……婚姻……遅かれど叶う……
はっと頬を赤らめて固まる夢主、見守る男達は先が読めずに困っているのかと様子を窺うが、嬉しそうにはにかんでいるのが分かった。
見ている側も御神籤の文面に気恥ずかしくなってしまい、誤魔化すように言葉を掛けた。
「ま、まぁ良かったな夢主、大吉だってよ」
「あぁ!いい一年になるだろうよ!」
「はいっ」
嬉しさ満面の笑みで答える夢主、待ち人とはきっと比古師匠だと、手掛かりに期待を持った。
そして他の項目は……
斎藤の顔を見るとフンと目を逸らされてしまった。だがニッと上がった口角が柔らかく緩むのが見えた。
「まぁ所詮は籤だが良かったな」
「えへへっ……」
「斎藤さんのも引いてあげたんですよーっ!」
「余計なことを」
「斎藤さんの、見たいですっ」
沖田に視線が集まるが、あっけらかんと笑って手を頭の後ろに回すだけであった。
「あはは~~っ、実は斎藤さんの大大凶だったんですよ!見ないでしょう、大大凶!あまりに可哀相なのでお寺に置いてきちゃいましたよ」
「フン、嘘に決まっている」
興味ないとは言え最も悪いといわれるといい気分はしない。
斎藤は沖田を横目に睨んでいた。
「あははっ怖いですねーっ。本当のこと言うと大凶でした。大大凶は流石に言いすぎでしたねっ、ははっ!まぁ大凶も見ませんけどねー」
「ちっ」
下らんとばかりに舌打ちをする斎藤、沖田は相変わらずにこにこ笑っている。
「お前のを見せてみろ。読めない部分は無いのか」
斎藤は話題を変えようとおもむろに夢主の御神籤に手を伸ばした。
「んっ」
ふと触れた手に違和感を覚えた。
御神籤を床に置くと夢主の手を握り、反対の手で夢主の首から耳の後ろにかけて、遠慮なく触れた。
「おぉおいっ」
「ちょっ、斎藤さん!朝から何をっ!」
驚く夢主の周りで沖田や永倉が本人よりも大きな声をあげた。
だが斎藤は至って真面目な顔だ。
「熱くはないか」
「えっ……」
恥ずかしさでの火照りと自覚していた夢主、斎藤に指摘されると、動いた瞬間くらりとするものを覚えた。
「待ってください、斎藤さん」
沖田は斎藤から奪うように夢主の頬に手をあてた。
「わっ……沖田さん……」
「んん……」
照れる夢主を余所に沖田はおでこに手を当て、感じるものを考えていた。
気のせいか、外にいた自分が冷えているのか。
「おい、総司」
「あの……」
「うん……熱いな……」
かわるがわる熱を計ろうと体に触れてくる皆に夢主は戸惑った。
原田は自らの額を合わせて呟いた。満場一致で顔を見合わせ男達は頷いた。
「熱があるじゃねぇか」
「えぇ……そんな……大丈夫ですよ……」
抵抗を見せる夢主の頬に、斎藤は改めて自らの手を添えた。
普段ならば温かいと感じる斎藤の手、今は違って感じる。
夢主は不思議そうに目を瞬かせた。その目が少し赤く充血している。
「熱いか」
「……冷たいです……」
「お前の顔が熱い証拠だ。これだけいて揃ってお前の体が熱いと言ってるんだぞ、熱だろう。目も赤い」
「そんな……」
思い起こせば壬生寺での心地よい一時はとても冷える時間でもあった。
体の芯まで冷えてしまったのだろう。
「籤もいいが少し横になれ」