68.余儀なき酒席
夢主名前設定
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「お辛そうですわね、夢主さん……背中さすってあげるわよ」
「いぇ……だいじょうぶ……れす……」
ますます意識が朦朧とする。
……駄目だ……伊東さんには悪いけど……誰か呼ばなきゃ……
立ち上がって部屋を出ようとするが、足が絡まり倒れてしまった。
「あらあら、大変ね」
伊東に支えられ座り直すと、盃を手渡された。
「お水よ、安心なさい」
「ありがとほ……ごらいまふ……んっ……」
匂いを確かめ、手にした水を全て口に流し込んだ。
冷たい水のおかげで幾らか落ち着いた気がして、夢主は盃を置いた。
「こんなに弱いとは驚きねぇ、ごめんなさいね、うっかり私のお酒を注いでしまって」
「いぇ……きになさらないれ……くらさぃ……」
「ふふっ、夢主さんたら」
呂律の回らない夢主を笑う伊東だが、手にしたままの盃に何かを注いだ。
「これならきっと平気よ」
安心して、と自らの猪口にも伊東は同じものを注いだ。
「はぃ……」
……伊東さんってば、いくつ用意してるんだろ……
夢主の酒に伊東達の酒、先程の水に、今手にしているこれは……
伊東が顔を寄せて待っている。急かされて、訝しみながらも口に含んだ。
「わ……あまぃれすね……おいしぃとおもいまふ……」
「それは良かった」
夢主が呑み干したのを確認して、伊東は自分の手にある猪口を口にせず膳に戻した。
「夢主さん、所で幾つか質問をしてもいいかしら」
「しつもん……ろうぞ……」
夢主の顔色を確認するように伊東は覗き込んだ。
待っていたとばかりに、問いかけが始まった。
「ほほほっ、どうぞということね、ありがとう。貴女って色々な事柄をご存知なのよね」
「いろいろぉ……そぉれすね……いろいろかもしれないれすし……なぁ~んにも……かもしれないれす……」
「あら、そうなの」
……まだ正気なのかしら……
言葉を濁す様子が窺える。
伊東は夢主の表情をじっと観察した。
「私を随分と怖がっていたじゃない、どうしてかしら」
「ろうして……だぁって……こわぃおかぉ……されるから」
「怖い顔、そうかしら」
確かに夢主をおちょくり過ぎて恐怖心を与えてしまったかもしれない……
もう少し柔らかくせねばと伊東は自らに言い聞かせた。
「御免なさいね悪気は無かったのよ、貴女が可愛いからつい苛めたくなってしまって……そうよ、貴女とっても美しいわ」
「ぅふふっ……いとうさんてば、おじょうずれす……ふふっ……」
「あら可愛いこと。それで、斎藤さんとはどんな関係なのかしら。藤堂君いい雰囲気だってやきもち焼いていたわよ」
「とうろうさんが……」
「えぇ、私だってそうよ、ほほっ……」
夢主はへぇー……といった顔で首を傾げて伊東を眺めていた。
「それとも斎藤さん以外に関わりある人でもいるのかしら」
「かかわり……」
「そうよ、男と女、いい雰囲気の」
「いぃ……ふんいき……そんなすてきなものじゃぁ……なければ……ながくらさんもぉ、ひじかたさんもぉ……ねぇ……」
「えっ?」
思わぬ名が飛び出し、何故その二人がと伊東は俄かに困惑した。
「ふふっ、ないしょれすぅぅ~~……さいろぉさんには、おせわになってまふ……さいろぉさんっ……ふふっ……」
にこにこと微笑み、斎藤の名を繰り返している。
「いぇ……だいじょうぶ……れす……」
ますます意識が朦朧とする。
……駄目だ……伊東さんには悪いけど……誰か呼ばなきゃ……
立ち上がって部屋を出ようとするが、足が絡まり倒れてしまった。
「あらあら、大変ね」
伊東に支えられ座り直すと、盃を手渡された。
「お水よ、安心なさい」
「ありがとほ……ごらいまふ……んっ……」
匂いを確かめ、手にした水を全て口に流し込んだ。
冷たい水のおかげで幾らか落ち着いた気がして、夢主は盃を置いた。
「こんなに弱いとは驚きねぇ、ごめんなさいね、うっかり私のお酒を注いでしまって」
「いぇ……きになさらないれ……くらさぃ……」
「ふふっ、夢主さんたら」
呂律の回らない夢主を笑う伊東だが、手にしたままの盃に何かを注いだ。
「これならきっと平気よ」
安心して、と自らの猪口にも伊東は同じものを注いだ。
「はぃ……」
……伊東さんってば、いくつ用意してるんだろ……
夢主の酒に伊東達の酒、先程の水に、今手にしているこれは……
伊東が顔を寄せて待っている。急かされて、訝しみながらも口に含んだ。
「わ……あまぃれすね……おいしぃとおもいまふ……」
「それは良かった」
夢主が呑み干したのを確認して、伊東は自分の手にある猪口を口にせず膳に戻した。
「夢主さん、所で幾つか質問をしてもいいかしら」
「しつもん……ろうぞ……」
夢主の顔色を確認するように伊東は覗き込んだ。
待っていたとばかりに、問いかけが始まった。
「ほほほっ、どうぞということね、ありがとう。貴女って色々な事柄をご存知なのよね」
「いろいろぉ……そぉれすね……いろいろかもしれないれすし……なぁ~んにも……かもしれないれす……」
「あら、そうなの」
……まだ正気なのかしら……
言葉を濁す様子が窺える。
伊東は夢主の表情をじっと観察した。
「私を随分と怖がっていたじゃない、どうしてかしら」
「ろうして……だぁって……こわぃおかぉ……されるから」
「怖い顔、そうかしら」
確かに夢主をおちょくり過ぎて恐怖心を与えてしまったかもしれない……
もう少し柔らかくせねばと伊東は自らに言い聞かせた。
「御免なさいね悪気は無かったのよ、貴女が可愛いからつい苛めたくなってしまって……そうよ、貴女とっても美しいわ」
「ぅふふっ……いとうさんてば、おじょうずれす……ふふっ……」
「あら可愛いこと。それで、斎藤さんとはどんな関係なのかしら。藤堂君いい雰囲気だってやきもち焼いていたわよ」
「とうろうさんが……」
「えぇ、私だってそうよ、ほほっ……」
夢主はへぇー……といった顔で首を傾げて伊東を眺めていた。
「それとも斎藤さん以外に関わりある人でもいるのかしら」
「かかわり……」
「そうよ、男と女、いい雰囲気の」
「いぃ……ふんいき……そんなすてきなものじゃぁ……なければ……ながくらさんもぉ、ひじかたさんもぉ……ねぇ……」
「えっ?」
思わぬ名が飛び出し、何故その二人がと伊東は俄かに困惑した。
「ふふっ、ないしょれすぅぅ~~……さいろぉさんには、おせわになってまふ……さいろぉさんっ……ふふっ……」
にこにこと微笑み、斎藤の名を繰り返している。