68.余儀なき酒席
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「出来たわよ」
「あっ、はぃ、ありがとう……ございます……」
「ふふっ、そんなに怖がらないで下さい、私は貴女と仲良くしたいだけですよ」
ぎこちなく礼を述べる夢主に伊東は優しく微笑んだ。
「は……はぃ」
……伊東さんて……悪い人じゃないのかな……
優しくするのは裏があるからなのか、それとも根は好い人なのか。
考えるうち、いつしか体が固まったように伊東を凝視していた。
「そんなに人の顔をジロジロと見て、何か面白いことが書いてあるのかしら」
「い、いえっ!そんなっ!失礼いたしました」
指摘され慌てて顔を逸らし、誤魔化す勢いで猪口の中身を一気飲みしてしまった。
「あっ……」
弱いものとはいえ急に酒が入り、顔が熱くなるのがわかる。
……あぶない、気をつけなくちゃ……
「ほほほっ、そんな急に……大丈夫かしら」
「はぃ……何杯かは、いけますから……」
「そう」
言いながら伊東は夢主の手の物に酒を注ぎ足していた。
酒瓶を向けられると反応して手を出してしまう。
「美味しいわよね、お酒」
「はぃ……美味しいです」
答えると、元来酒に弱いだけで嫌いではない夢主は、ついつい手元の酒をくっと流し込んでしまった。
「ぁっ……これっ……」
「あら、ごめんなさい……私としたことが、間違えてしまったみたいね、ふふふ……」
「いっ……いとぅ……さんっ……」
先程まで優しく穏やかだった伊東の瞳が俄かに冷たく変わり、夢主に向けられた。
「でも貴女だけ違うお酒を呑むなんて、失礼じゃなくて……夢主さん」
「そんな……ことはっ……」
眩暈がして朦朧とする。なんとか会話を続けた。
しかし、気を張っていても徐々に思考力が奪われていく。
……強いにしても……なんだか……変……
斎藤達との酒で倒れてしまったことは何度もあるが、その時と違う何かを感じる。
「なが……ながくらさんは……もどりません……か」
「そうねぇ……遅いわねぇ、どうしたのかしら。もしかしたら戻らないかもしれないわよっ、ふふっ」
「えっ……」
永倉は厠からの帰り道、伊東の指示を受けた篠原という隊士に呼び止められていた。伊東の指示で動く、伊東の盟友の男だ。
そんなことは露知らぬ夢主、永倉の帰りを待っていた。
「あっ、はぃ、ありがとう……ございます……」
「ふふっ、そんなに怖がらないで下さい、私は貴女と仲良くしたいだけですよ」
ぎこちなく礼を述べる夢主に伊東は優しく微笑んだ。
「は……はぃ」
……伊東さんて……悪い人じゃないのかな……
優しくするのは裏があるからなのか、それとも根は好い人なのか。
考えるうち、いつしか体が固まったように伊東を凝視していた。
「そんなに人の顔をジロジロと見て、何か面白いことが書いてあるのかしら」
「い、いえっ!そんなっ!失礼いたしました」
指摘され慌てて顔を逸らし、誤魔化す勢いで猪口の中身を一気飲みしてしまった。
「あっ……」
弱いものとはいえ急に酒が入り、顔が熱くなるのがわかる。
……あぶない、気をつけなくちゃ……
「ほほほっ、そんな急に……大丈夫かしら」
「はぃ……何杯かは、いけますから……」
「そう」
言いながら伊東は夢主の手の物に酒を注ぎ足していた。
酒瓶を向けられると反応して手を出してしまう。
「美味しいわよね、お酒」
「はぃ……美味しいです」
答えると、元来酒に弱いだけで嫌いではない夢主は、ついつい手元の酒をくっと流し込んでしまった。
「ぁっ……これっ……」
「あら、ごめんなさい……私としたことが、間違えてしまったみたいね、ふふふ……」
「いっ……いとぅ……さんっ……」
先程まで優しく穏やかだった伊東の瞳が俄かに冷たく変わり、夢主に向けられた。
「でも貴女だけ違うお酒を呑むなんて、失礼じゃなくて……夢主さん」
「そんな……ことはっ……」
眩暈がして朦朧とする。なんとか会話を続けた。
しかし、気を張っていても徐々に思考力が奪われていく。
……強いにしても……なんだか……変……
斎藤達との酒で倒れてしまったことは何度もあるが、その時と違う何かを感じる。
「なが……ながくらさんは……もどりません……か」
「そうねぇ……遅いわねぇ、どうしたのかしら。もしかしたら戻らないかもしれないわよっ、ふふっ」
「えっ……」
永倉は厠からの帰り道、伊東の指示を受けた篠原という隊士に呼び止められていた。伊東の指示で動く、伊東の盟友の男だ。
そんなことは露知らぬ夢主、永倉の帰りを待っていた。