67.折り合い
夢主名前設定
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「いや、すまん、変なことを訊いたな」
今度は斎藤が目を逸らして伏せた。
隊を揺るがす存在になると斎藤も感じていた。故に何の気なく訊ねてしまったのだ。
「そうですね……芹沢さんは傍にいるのが怖くて……伊東さんは見られていることが怖いというか……傍にいなくても、怖いです」
「そうか」
「伊東さんのこと私も詳しくお聞きしたいです、斎藤さん」
伊東に関しては夢主も詳しい知識は無かった。
後年、隊を分けて出て行くことと、その先に待つ暗殺、油小路の変。
ざっくりした流れしか分からなかった。
「分かった。だが明日沖田君も交えて話そう。心配するな」
「……はぃ」
そう、自分一人で抱えてしまい所だが夢主の世話人のもう一人を外して話は進められない。
斎藤が沖田を気遣うと、衝立の向こうから布団が捲れる音がした。
「ははっ、だったら今から話しましょうか」
「沖田さんっ!」
衝立の向こうから声が聞こえたと思ったら、ついっと沖田の顔が覗いた。
「これだけ話していたら僕だって起きちゃいますよ、ははっ。斎藤さん、ありがとうございます。面倒な役回りを引き受けてくれて」
「フン、気にするな。なかなか滑稽だったぞ」
悪くは無かったと伊東との酒席を嘲笑った。
「ああいう人との時間を楽しめるのは斎藤さんの特技ですね」
「言ってくれるじゃないか」
「ふふっ。さぁ、狭いでしょ、こちらへ来て座り直してください」
沖田に誘われるまま、夢主と斎藤は狭い衝立の奥から出た。
その間に沖田は部屋の外を覗いた。
「大丈夫ですか、ここでお話しても……」
「大丈夫でしょう、どこも部屋の明かりは消えています」
「構わん、伊東さんは戻らんし、腹心達も外に出ている。それに伊東さん以外にそう動き回る奴はいないさ。自分でせねば気が済まない男と見た」
「そうですか……」
夢主も耳を澄ますが辺りは静かだった。
「それで伊東は何を企んでいるんですか、斎藤さん何か聞き出せたんですか」
沖田が逸るが、斎藤はニッと顔を歪めて笑むと間をとった。
「まぁ急くな。俺だってそう簡単に情報を聞き出せる訳じゃない。だが手を組みたいと言われたのには裏があるだろうな。単なる務めに励みましょうって調子じゃなかったぜ。それから夢主に」
ちらりと目線を夢主に移して続けた。
「興味を持っている、確実にだ。情報を持っていると気付いているだろう。情報源として近付きたがっている。そしてもう一つ」
斎藤は見つめたまま表情を硬くした。
「これは推測だが、女としても」
夢主は体の芯が震えるような悪寒を感じた。
今度は斎藤が目を逸らして伏せた。
隊を揺るがす存在になると斎藤も感じていた。故に何の気なく訊ねてしまったのだ。
「そうですね……芹沢さんは傍にいるのが怖くて……伊東さんは見られていることが怖いというか……傍にいなくても、怖いです」
「そうか」
「伊東さんのこと私も詳しくお聞きしたいです、斎藤さん」
伊東に関しては夢主も詳しい知識は無かった。
後年、隊を分けて出て行くことと、その先に待つ暗殺、油小路の変。
ざっくりした流れしか分からなかった。
「分かった。だが明日沖田君も交えて話そう。心配するな」
「……はぃ」
そう、自分一人で抱えてしまい所だが夢主の世話人のもう一人を外して話は進められない。
斎藤が沖田を気遣うと、衝立の向こうから布団が捲れる音がした。
「ははっ、だったら今から話しましょうか」
「沖田さんっ!」
衝立の向こうから声が聞こえたと思ったら、ついっと沖田の顔が覗いた。
「これだけ話していたら僕だって起きちゃいますよ、ははっ。斎藤さん、ありがとうございます。面倒な役回りを引き受けてくれて」
「フン、気にするな。なかなか滑稽だったぞ」
悪くは無かったと伊東との酒席を嘲笑った。
「ああいう人との時間を楽しめるのは斎藤さんの特技ですね」
「言ってくれるじゃないか」
「ふふっ。さぁ、狭いでしょ、こちらへ来て座り直してください」
沖田に誘われるまま、夢主と斎藤は狭い衝立の奥から出た。
その間に沖田は部屋の外を覗いた。
「大丈夫ですか、ここでお話しても……」
「大丈夫でしょう、どこも部屋の明かりは消えています」
「構わん、伊東さんは戻らんし、腹心達も外に出ている。それに伊東さん以外にそう動き回る奴はいないさ。自分でせねば気が済まない男と見た」
「そうですか……」
夢主も耳を澄ますが辺りは静かだった。
「それで伊東は何を企んでいるんですか、斎藤さん何か聞き出せたんですか」
沖田が逸るが、斎藤はニッと顔を歪めて笑むと間をとった。
「まぁ急くな。俺だってそう簡単に情報を聞き出せる訳じゃない。だが手を組みたいと言われたのには裏があるだろうな。単なる務めに励みましょうって調子じゃなかったぜ。それから夢主に」
ちらりと目線を夢主に移して続けた。
「興味を持っている、確実にだ。情報を持っていると気付いているだろう。情報源として近付きたがっている。そしてもう一つ」
斎藤は見つめたまま表情を硬くした。
「これは推測だが、女としても」
夢主は体の芯が震えるような悪寒を感じた。